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ピアノの寿命

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ピアノの寿命は、響板修理が必要になった時と定義します。

ここで云うピアノの寿命とは、修理代が高額になり、修理コストと性能の折り合いを考えた時に、新品に買い替えた方が経済的には合理的だと考えられる場合を寿命と定義したいと思います。

もちろん修理をすれば大概のピアノは100年以上十分使用できますが、修理作業は全てが手作業なので作業効率が悪く、本格的なオーバーホールの費用は新品の量産ピアノの価格に近くなります。

アップライトの響板

国産の1980年製ピアノ、響板の小さな割れからか雑音が発生

響棒の剥がれからも雑音が発生

響板の修理には、全部の弦を外す必要があるので高額になる。

広い面積を持つピアノの響板の修理には、修理の際に障害になる弦とフレームを一度外す必要がありますので、その機会を利用して、響板修理だけでなく消耗部品の弦やハンマー交換、ダンパーフェルトや他のフェルト・クロス類を新品に交換し、チューニングピンもワンサイズ太いものに交換し、外装も再塗装する方が作業効率が良く合理的なので、そのような理由で響板の修理は総額では高額になります。

修理費用は仕上げの品質(精度)等で一概に言えませんが、ちょっとした同型の国産ピアノが購入できるくらいの金額になりますが、それでも従来品より高品質な部品を使い、高精度な作業内容で丁寧に仕上げれば、性能も寿命も新品並みかそれ以上になる可能性もあります。

そのような高額な修理費用を考えると、ピアノの楽器としての寿命は、響板がへたったり、割れた響板(隙間が出来た響板)から雑音が出るようになって、響板修理が必要になった時が、ピアノの一応の寿命の目安といえます。

但しヨーロッパ製のような高額なピアノの場合は相対的に修理代に割安感があり、愛着もありますので大概は修理をします(すなわち寿命ではない)。また国産ピアノでも、愛着があり思い出の詰まったピアノの場合は思い切って新品同様になるようにリニューアルするのもお薦めです。

使用頻度よりもむしろ設置環境が重要です。

寿命は使用頻度も影響しますが(消耗部品の交換で解決)、むしろ設置環境(空調)の方がピアノの寿命に大きく関わるように思います。楽器保管庫のように年間を通じて温度、湿度の安定した部屋に置いてやると、響板や消耗品も含めてピアノの基本的な寿命は飛躍的に長くなります。

環境対策は、適切な除湿機と加湿機の併用をお薦めします。

 

ピアノの寿命は何年くらい!?


京都芸術センターで使われている
1918年製ぺトロフ(補修されて現役)

ピアノは本格的なオーバーホールさえやれば、優に100年以上の使用が可能ですが、古いピアノはそれなりにコスト(リスク)があります。

弦楽器と違いピアノの弦は常時強い張力(1台で約20トン)で張られ、弦楽器の魂柱のようなものはなく、響板には絶えず強い弦圧がかかっていますし、使用頻度により弦に金属疲労が起きます。

また響板の構造は、木材を横に何枚もつなぎ合わせて作るので、環境(過乾燥等)によりそのつなぎ目に隙間ができて雑音が発生したり、常時かかる強い弦圧のために響板自体に反りがなくなった(響板のヘタリ)時には調律不能になりますので、そのような時には響板の修理が必要になります。

高級ピアノの響板は昔ながらの自然乾燥です。

最近の量産ピアノは、昔のように木材を屋外で何年も自然乾燥するのではなく、短期間で強制的に人工乾燥した響板を使用するので、木の細胞を痛めると云われていますが、その分、響板の寿命も短いと考えられます。

加えて消耗部品の経年劣化もありますので、本来の気持ちが良い音色や響きを期待するなら、早めに(15~30年)消耗品(弦、ハンマー、フェルト、クロス類一式)も、新しいものに交換するのが望ましいと思います。
このようなオーバーホールをすると、新品同様に快適に使用できます。

ちなみにオーバーホールの費用は、個体差とどこまで丁寧に仕上げるかで大きく異なりますが、メーカーや使用部品で異なりますので、あくまで目安ですが、一応の標準的な相場を申し上げますと、部品代がハンマー一式16万円前後、弦一式8万円前後、その他フェルト、クロス、チューニングピン等5万円前後、工房までの往復運送費、これに工賃(40万円~)が加わります。

さらに、この機会を利用して大概は外装もリニューアルしますが、これも一部再塗装か全塗装かで工賃が違いますが5万~30万円ほどとなりますが、これはあくまで目安です。
ちなみに納期は1ヶ月~2ヶ月といったところです。

アンティークピアノの場合

一部の愛好家にノスタルジックな魅力で人気があるアンティークピアノ(いわゆる100年物)ですが、フルオーバーホールをすれば、味があり魅力的なピアノに仕上がります。

ただ弦楽器と違い内部構造が複雑なピアノは、内部に膠(ニカワ)を使った膨大な接着箇所があり、それらは100年かそれ以上昔の接着ですので、それらの接着が突然剥がれる懸念があり、想定外のトラブルが起こる可能性があります。

ですからアンティークピアノは、ファーストピアノではなくセカンドピアノとして大切に使用し、設置環境(温度・湿度)にも特に気を使う必要があります。

またトラブルがひとたび起これば、その修理に面倒な手間がかかることが多いので、そのアンティークピアノを販売した業者以外は、メンテナンスを引き受けないという調律師も多いので維持管理費用を含めて細心の注意が必要です。

余談ですが、ある高校の創立100周年記念の行事として、当時、高校にあった1880年代のスタインウェイをメーカー(ハンブルグ工場)に依頼してオーバーホールしたことがあります。

この時には消耗品はもちろんですが、響板やアクションまでそっくり新品に交換して、以前のピアノで使ったのは外装のケースとフレームのみでしたが、後々まで責任があるメーカーだからやったのだと思いますが、100年以上経過した古いピアノでもここまでやれば安心ですが、修理費用も新品の価格並みになりました。

ハンマーの新旧比較ですが、上部が平らになったもの(ハンマーの肉厚が薄い)が旧で、交換の必要があります。

丁寧に復元されたクララ・シューマンが愛用されたと云われる1877年製のグロトリアン・スタインヴェック(劉生容記念 館)です。

これからピアノを購入して、一生愛用しようとお考えなら、少し高価でも良質の材料(特に響板)を使って作られたピアノを購入し、丁寧に調整した上で、適切な空調管理を心がければ、大きな修理をせずとも快適な状態で長くご愛用できると思います。

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