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スタインウェイK-132納品前の人手間

 

先月になりますが、スタインウェイK-132が無事に納品されましたので、納入調整(納品後、お部屋の響きに合わせての再調整)に岡山市内K様宅におじゃましました。

今回はこのピアノが納品される直前の作業をご紹介します。ちなみにどのピアノ(新品も中古品もヨーロッパ製も国産も)同じ作業ですのでピアノに関心がある方の参考になれば嬉しいです。

 

 





 
弦を巻き付けているチューニングピン(調律の際に回すピン)約240本を1本ずつ磨きます。

 





弦を押さえているプレッシャーバー(弦押さえ)と弦も同じく磨きます。

 

 



新品ですが時間と共に金属パーツは空気中の水分に反応してくすんできますので納品前に再度磨きます。


 




鍵盤とアクションメカニックを外して素っ裸になったところで、こちらの金属パーツも磨きます。

 




これは鍵盤がささっているフロント(手前)キー(鍵盤)ピンの方向を全て同じになるように揃えています。






弦を叩くハンマーの関節部分のネジを念の為増し締めします。時々これが乾燥によってネジが緩み、ハンマーがグラグラと・・・例えて言うと歯がグラグラしたような状態になり、鍵盤からハンマーに行くまでにロスが生じますのでしっかり締め直します。
 
 




これは弦と駒の写真ですが、駒と弦はしっかり密着していないと1本うなりといって弦から余計なうなり、つまりクリアーな音が出なくなるので、真鍮の棒を弦に当て木槌で軽く叩き駒に密着させます。
 
 
 






鍵盤を左右に揺らし適度な遊びをつくります。遊びがないと最悪の場合鍵盤が上がってこなくなりますので要チェックです。
 
 
 




さて、ピンセットでつまんでるこれは一体何でしょう?






正解は→こちら

新品のピアノはこれがよく出てくるんです。


さてさて、いくつかご紹介しましたが、このピアノは店頭で何度も繰り返し調整されていますが、ピアノという楽器は木材やフェルト等が使われているため、湿気によってこの部品が変形します。
また金属パーツは必ずサビていきますので、納品前に再度全ての部品をチェックしそして88鍵全ての音とタッチが揃うように調整(整調・調律・整音)をし、出来たてホヤホヤの最高の状態で納品をします。

この納品前の調整を出荷調整といいます。


この出荷調整を行うためご契約からすぐに納品というわけにはいかず、出張メンテナンスの合間に行なっていますので、少なくとも7~10日程はいただき、一手間人手間じっくりと仕上げていきます。
そして納品後、実際にお部屋で弾いてみるとショールームで弾いた時と響きが違って聴こえますので、納入調整でお部屋の響きに合わせてユーザー様のお好みの音色とタッチに再度調整するのです。

ピアノはある意味セミオーダー品ですね。




音色とタッチを大切にされているK様、末長く素敵なピアノLIFEをお楽しみくださいませ~

そして楽しいお話をありがとうございました。
 
 
 
 

1台1台丁寧な調整を心がけています

三木 淳嗣(委託調律師)


リトルボーイ再会

前回の小さなお手伝いさんにピアノメンテナンスの再度訪問で再会しました。

今回は1日コース(8時間)の作業でリトルボーイY君にお手伝いしてもらおうかと思いましたが(笑)難しい内容なので、外装のお掃除を伝授しました。

艶出しの外装なのに全く艶がなく曇っていたので、まずは固く絞った濡れタオルに中性洗剤(食器用洗剤)を数滴つけてゴシゴシと汚れを落とし、綺麗な柔らかい布で乾拭きをした後でワックスがけを。

大きなキズはあまりなかったので、Y君はピカピカに仕上げてくれました。

あ、強制ではないですので(笑)
何かお手伝いたいしたいと言ったので、頑張ってもらいました。

 

その間に私は、中身の作業を始めました。

 



【鍵盤フロントホール調整】
まずは鍵盤を左右に揺らして、適正な遊びがあるか1鍵ずつチェック。

 

 

 



遊びがない場合は鍵盤の裏にある赤いクロスを圧縮して調整。







【弦合わせ調整】
ハンマーの並びがよくないので間隔を調整。このあと弦のど真ん中に当たるよう調整。





 
【鍵盤高さ調整】
鍵盤の上に平らな定規をあて、凸凹の鍵盤を平らに揃える調整。







【ハンマー接近調整】
ジャックという部品が抜けるタイミングを揃える調整。ハンマーと弦の隙間を見ます。これが88鍵揃うと音色もタッチも随分と良くなります。







【ダンパー総あげ調整】
弦の振動をとめるダンパー(白いフェルト)
右のダンパーペダルを踏み込んだ時、バラつかず一斉にダンパーが上がるよう一つずつ調整。ハーフペダルの際に大きく影響します。

この日の作業内容は、

 

⚫︎鍵盤バランス・フロントホール調整
⚫︎弦合わせ調整
⚫︎鍵盤高さ調整
⚫︎キャプスタン前後・左右調整
⚫︎ジャック高さ調整
⚫︎ハンマー接近調整
⚫︎鍵盤深さ調整
⚫︎ハンマーストップ調整
⚫︎ダンパー総あげ調整
⚫︎ダンパーかかり(始動)調整
⚫︎調律
⚫︎弦あたり調整
⚫︎ハンマー弾力調整

でした。




最後にY君に弾いていただき、とても弾きやすくなったと喜んでいました。

横で聴いていたお祖母様も音が一つ一つ澄んで音量も随分と出るようになったと。それもそのはず、色んな場所でブレーキがかかっていたのでそれを普通に取り除いただけで本来の性能を取り戻すことが出来ました。

Y君は途中で自身のデジカメでパシャパシャと。

友達に見せるんだよ~と喜んでました。
 
 



好奇心旺盛なY君、この写真を友達に見せてどんな楽しいお話をしてくれるのでしょうかね~

1台1台丁寧な調整を心がけています

三木 淳嗣(委託調律師)


リトルボーイ

 
今日はいつもお世話になってるT先生のご紹介で、生徒さんのピアノのメンテナンスに初めてお伺いしました。
ご使用者はまだ若干8歳のリトルピアニストY君ですが、今回ピアノの中身を見るのは初めてだそうで、お祖母様も一緒にピアノの中身を見ながら、ピアノの仕組みをご説明の上、少し修理箇所があったので鍵盤とアクションメカニックを持ち帰り、修理後に再度別の日に1日コースで調整することになりました。
 
今回はせっかくお伺いしたので、ピアノの土台である鍵盤下のバランスキーピン(88本)とフロントキーピン(88本)のサビ取りを行なうことにしました。
 
ここでY君、かんなり興味津々の様子で・・・
 
 
「ボクもやる!」
 
 
というわけで急遽小さなお手伝いさんが加わり初の共同作業となりました。
 

 


 
若干8歳ですがこれがまた手際が良いのなんの。
サビが取れにくいと言うので、そういう時は一旦こっちを使ってやるといいよと教えてあげると、うまく使いこなし挙げ句の果てに教えてもいないのに
「これはこう持ってこっちからやった方がいいね」と。
 
この発想力、手際、こりゃ~技術者向きだなと直ぐに察知しました。
おかげで1時間強かかりそうだったのが1時間ほどでサビ取り作業が完了しました。
 
現在若者が育っていないピアノ調律業界。若干8歳ですがここに良き資質を持ち合わせたY君。
さりげなく将来の夢を聞いてみました(笑)
 
すると・・・
 

 
 
「ボクお医者さんになりたいの。お医者さんになって病気の人を助けてあげるの」
 

 
もう、何も言うことないです(T ^ T)
その優しい心があればきっと良い医者になれるよ。大きくなってもその思いを大切に持ち続けておくれよ。
最後はY君お気に入りの妖怪ウォッチを熱弁してくれました。
 

 




リトルボーイ、また会おう!






 

1台1台丁寧な調整を心がけています

三木 淳嗣(委託調律師)


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