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ピアノ日誌 / 植田 信五

基本的に初心者用ピアノというものは存在しない

安価な初心者用国産グランドピアノとは?

先日、お客様から浜松のメーカー(遠州ピアノ)が作っている初心者用の安価な新品の国産コンパクトグランドピアノが120万円ほどであるとのことなので詳しい情報が欲しいとの依頼を受けました。

調べてみると遠州ピアノとは東洋ピアノ(アポロ)の元幹部が最近、起業したピアノメーカーで、国産のコンパクトグランドが120万円ほどの低価格で初心者用という案内がされていました。ちなみに東洋ピアノはかなり以前から浜松に工場はなく全て中国で委託生産しています。

日本製格安グランドピアノの遠州ピアノ ENSCHU


基本的に初心者用ピアノというのものはない


初心者用があるなら中級者用、上級者用があるのか?と疑問が出てきますが、ピアノに限っていえばそれはあり得ません。高額なピアノと安価なピアノがあるだけです。

たとえばスタインウェイは高価なピアノですが、高価だから上級者用というわけではなく、高価故に丁寧に調整がされているので、だれでも弾けるピアノで弾き易いという意味では最も初心者に向いています。

お子様にはどんなピアノを選んだら良いか?

中国で委託生産されるドイツの老舗ピアノメーカー

メードインヤマハ、カワイの時代

ところでピアノ業界のルールでは、日本製やドイツ製という生産国の表記は、実は最終組み立てをした国が生産国の表記を許されることになっていますので、たとえばピアノのペダルを取り外した状態で部材として日本に輸入し、日本でペダルを取り付けると日本製という表示が許されます。

最近は従来の日本製という表記ではなくメイドインヤマハ、メードインカワイなどの表記が増えてきて、メーカー担当者に聞くと、どこの国で作ってもヤマハはヤマハ、カワイはカワイなのだそうです。

知っておきたいピアノの生産国表示の業界ルール


中国で委託生産するピアノメーカーが増えている

中国の通貨、元の為替レートが異常に安い(理論値の五分の一位)ので、中国で委託生産するピアノメーカーが増えています。

中国のピアノ工場を視察する習近平国家主席


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弦楽器や他の楽器と違うピアノならではの特殊性をご理解頂くためのもので、一旦ピアノの特殊性をご理解頂くとピアノという楽器に対する概念や対処も大きく変わり、これまで以上にピアノと良い関係が築けます。

浜松ピアノ店代表 植田信五 

筆者プロフィール


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株式会社浜松ピアノ 代表取締役社長

植田 信五


ピアノの防音で音響対策が盲点

防音は遮音と吸音の組み合わせ

楽器の場合、遮音と吸音のバランスが悪いとまずいことになります、過去の失敗例で思い出すのは、マンションで防音工事完了後にグランドピアノを納品したのですが、後日、ピアノを移動して欲しいと連絡があり、理由を聞くと、奥様が歌を唄っても全然響かないそうで、防音工事のやり直しをされた方がおられました。


大概のホールは音響対策がされています



ホールの大きな反響板


以前、あるホールにスタインウェイの納品した時、予算不足で反響板がなく、こけら落としでピアノとフルートのアンサンブルをしたのですが、相手の音が聞こえなくて困ったことがありました。

一戸建の防音室 住宅街で夜中でもドラム演奏が可能

音響を考慮されたマンションでの防音

上記の防音工事をされたテクニカルサウンドの中辻社長と筆者



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浜松ピアノ店代表 植田信五 筆者プロフィール


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独自の出荷調整で音色・タッチ・表現力が大幅に向上します

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植田 信五


優秀な調律師が育たないピアノ業界の裏事情

デジタル人材優遇の記事



AIとかコンピューターのプロミングが出来るデジタル人材には初任給を2割アップして年収も勤続数年で高額支給するという内容の記事が日経新聞の1面に大きく掲載されていました。逆に究極のアナログ人材の一つがピアノの調律師ではないかと筆者はこの記事を読んで思いました。

優秀な調律師を育てるには下積み10年が必要です

たとえば宮大工は一人前のカンナがけが出来るまでに10年かかると云われますが調律師も同様です、ピアノの調律はできても、一番手間がかかる整調(調整)が早く正確にできるようになるには、やはり10年近くの下積み期間が必要です。

下記の調律師の越智氏(元スタインウェイ、現在はファツィオリ)の話では、最初に入社した松尾楽器さんではダンパー調整を3ヶ月をやらされたという話を聞きましたが、ダンパー調整もオン、オフなら簡単ですが、ハーフペダル、クオーターペダルを使うのであればダンパーの精密調整が必要になります。

調律師 越智晃氏のご紹介



修業期間でも給与の保証が必要

ですから浜松にあるヤマハ、カワイの調律学校は期間1年で卒業、年間の授業料も全寮制で400万円ほどと高額ですが、1年で一通り覚えたところで卒業、ここまでは問題ないのですが、すぐに売り上げ確保のために外回りの有料調律に回って、しかも毎月の台数ノルマもあり効率の悪い調整の下積(利益を生まない)の研修期間はありません。

アナログの技術は研修で身に付くものではなく、何年もの地味な基礎訓練を積み重ねるしか体得できません。しかも調整は極めて効率が悪く、さらにお客様もメーカー幹部も調整の重要性を理解していないので、てっとり早くお金になる有料調律を重視しており、日頃の仕事で調整作業を行う機会がないので、精密な調整ができる調律師が育っていません。

調整のような地味な作業は嫌がられる

仮にメーカーや販売店に育てる気持ちがあっても、大概の若い人は地道な作業を嫌がってすぐに辞めていくので、余程、音楽やピアノという楽器が好きで、地味な精密調整も好んでやるような人でないと、実力ある調律師になるのには向かないように思います。

調律師の収入は低い

さらに言えば、仮に充分な修行期間を経てせっかく調律全般(調整・調律・整音)の技術を身につけても、肝心のピアノユーザーさんも、その技術力に十分な価値を見出さないので低評価となり、他の一般の仕事に較べても低賃金労働になります。

調律料金は高い?

調律料金は払う側からみると高いと思われるかも知れませんが、もらう側からみると案外安いことになります、その理由は、医療等は予約制で患者さんが医療施設まで来てくれるので連続して効率良く仕事ができますが、ピアノの場合は調律師自身が個別にお客様に予約を取り、しかも約束した時間に一軒一軒、移動訪問する必要があるので、アポ取り作業、移動時間、交通費が必要で、それらが相当なストレスと時間的ロスになり、お陰で1日にできる正味の作業時間も限られます。


しかしながらアナログピアノは、いかに高級ピアノでも優秀な調律師の技術と情熱がないと本来の性能を発揮しないのですが、それをメーカー、販売店、ユーザー様も調整の重要性をよく理解していないので、ピアノの性能向上に必要不可欠な精密調整が出来る調律師が育っていません

 

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他の楽器と違うピアノならではの特殊性をご理解頂くためのもので、一旦ピアノの特殊性をご理解頂くとピアノに対する概念や対処も大きく変わり、これまで以上にピアノと良い関係が築けます。

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