[ ]知っておきたい良い調律師の定義(グランドピアノ)
大手メーカーの幹部が来店された折に、あえて良い調律師とはどんな調律師と思われますか?という質問をしてみたところ、曰く「人柄の良い人」という返答をされました。
今回は技術的な観点からの良い調律師の定義をご説明させて頂きます。
ピアノは内部に木と金属、フェルトを使った複雑なメカニズムを持ち、これらを介してリモートコントロールで打弦、演奏するという意味で独特の楽器です。
かつてのTVの番組で中華の哲人が大きな鍋で瞬く間に美味しい中華料理を作っていましたが、複雑でデリケートでメカニズムを持つピアノはいかに名人と云えどもそうはいかず、複雑で地道な作業を時間をかけて手を抜かず順番通りやっていくことが重要になりますが、これができる調律師が良い調律師ということになります。
整調
演奏者の指の細かい動きを、鍵盤を通してロスなく正しく弦の最適な位置をハンマーで叩くように調整し、鍵盤からハンマーまでの動きを全鍵揃える調整(15時間以上)
調律
約230本の弦を引っ張り正しい音の高さに合わせる調整(1時間~1時間半)
整音
弦を叩くハンマーフェルトの形状を整え、弦との嚙み合わせや、針を刺して弾力を整え、全てのハンマーの音色の固さ揃える調整(2時間以上~)
具体的にグランドピアノの主要な調整項目を挙げてみます
整調(鍵盤・アクションメカニック・ダンパー(15時間以上)
◎鍵盤(バランス・フロントキーピン)磨き
◎鍵盤(バランス・フロントキーピン)位置・傾き調整
◎鍵盤(バランス・フロントホール)調整
◎棚板調整
◎鍵盤(白鍵・黒鍵)高さ調整
◎弦合わせ(走り・ねじれ・間隔)調整
◎サポート合わせ調整
◎バックチェック合わせ調整
◎ジャック位置(前後・高さ)調整
◎鍵盤深さ(沈み量)調整
◎ハンマー接近調整
◎ハンマードロップ調整
◎打弦距離調整
◎ハンマーストップ調整
◎レペティションスプリング調整
◎シフトストップネジ調整
◎ダンパーかかり(始動)調整
◎ダンパー総あげ調整
◎ダンパーストップレール調整
◎ソステヌートロッド調整
◎各ペダル調整(踏み込み量・遊び)
調律(1時間~1時間半)
整音(2時間以上~)
ハンマー整形
弦あたり(3弦・2弦合わせ)
ハンマー弾力(針入れ)調整
他
雑音・共鳴・各ペダルチェック
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ピアノの性能(タッチ、音色、表現力)を大切にお考えの方に
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ネット上では公開できない業界の矛盾点や裏話を満載、全44ページのピアノ選びの新しいバイブルです

間違いだらけのピアノ選び ~ 目 次 ~
【第一章】大半のピアノが本来の性能を発揮していない
◎ピアノは8千個の部品◎ピアノはリモートコントロールで打弦する楽器
◎仕上げが整音
◎試弾は調整されたピアノでないと意味がない
◎ピアノはセミオーダーの楽器です
【第二章】調整によるエピソードのお話
◎中古ピアノが高い勉強代に
◎安価でも高級ピアノより魅力的
◎ブランドを信じて購入したが失敗
◎調整が自慢のシゲル・カワイでも不満
◎値段ほど差がない高級ピアノ
◎好みのスタインウェイがなかった
◎丁寧な調整でヤマハでも満足
◎好みのスタインウェイを求めて
◎スタインウェイはトリルができるがヤマハは?
◎ヤマハは温泉に浸かったような音?
◎ピアニストと専属調律師のお話
◎腱鞘炎になって困っている
【第三章】中古ピアノの問題点
◎中古ピアノは安かろう、悪かろうが多い
◎さらなる中古ピアノの問題点
◎古いピアノは楽器としての性能が良いか?
【第四章】調整シーンを写真でご案内
◎グランドピアノの調整作業
◎アップライトの出荷調整作業
【第五章】主に中国で生産される現代のピアノ
◎最近のピアノの生産事情
◎ファースト、セカンド、サードラインという業界用語
◎メードインチャインナ&浜松ピアノ店フィニッシュ
【第六章】日本のピアノ事情
◎毎年減少する日本のピアノ市場
◎余談ですがスタインウェイについて
【第七章】筆者のブランド選びの見解
◎コストパフォーマンスが高いか否か
◎ピアノは素材という考え方
◎メンテナンスについて
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