[ ]鍵盤を軽くしてほしい
今日は倉敷市S様宅のヤマハG1のメンテナンスでした。
他社で定期的にメンテナンスをしていたにも関わらず
とにかく鍵盤が重いのでどうにかして欲しい!とのご依頼でした。
初めてお伺いさせていただきピアノの
状態を見ると、やはり調律だけの
メンテナンスしかされておらず
肝心な整調・整音の調整不足が原因でした。
とりあえずお試しで、1日コースの調整をしました。
今回の要望は
「鍵盤を軽くして欲しい」ということなので、
ただ普通に調整するだけではなく鍵盤が重い原因を一つずつ確認しながら作業しました。
まずは鍵盤を外し掃除、
ベタベタしたバランス・フロントキーピンを
全て磨き滑りを良くしました。
(重く感じる原因その1、ベタついた部品は摩擦抵抗が増す為重くなります)
鍵盤バランス・フロントホール左右の遊びチェック。
バランス・フロント共にほぼ全鍵遊びがなかったのでクロスを圧縮する作業をしました。
(重く感じる原因その2、左右の遊びがない為部品の摩擦抵抗が増し重くなります)
ハンマー整形後にハンマーのポジション合わせ(弦合わせ調整)
ローラー(黄色の部品)の滑りがあまり良くなかったためテフロンパウダーを付けます。
(重く感じる原因その3、部品の摩擦抵抗が増していた為重くなります)
ジャックの前後高さ調整。
(重く感じる原因その4、ジャックの高さが高過ぎて始動時に摩擦抵抗が増える為重くなります)
打鍵距離調整。
ハンマーの高さ・並びを揃えます。
ハンマー接近調整。
(重く感じる原因その5、ジャックの動くタイミングが早い為重くなります)
ドロップ調整。
(重く感じる原因その6、ドロップ量が多い為重くなります)
ハンマーストップ調整。
(重く感じる原因その7、打弦後ハンマーがストップするタイミングが遅い為重くなります)
スプリング調整。
(重く感じる原因その8、スプリングが弱過ぎて部品の戻りが遅くなる為重くなります)
49A=442Hzに調律。
弦あたり調整。
ハンマーと3本の弦が同時に当たるように調整します。
人で例えると、歯の噛み合わせの原理によく似ています。
最後に硬いハンマーに針入れ作業します。
朝9時から始め18時過ぎにとりあえず作業が終わり、
お客様へ確認をしていただきました。
「全然別のピアノになったみたい!軽い、軽くなった!」
と喜んでいただけました。
ちなみに鍵盤の重さを計測すると、7g(ダウンウエイト)も軽くなりました。
鍵盤の重さの原因はいくつかありますが、
その大半が部品のサビや汚れによって摩擦抵抗が増えること、
また各部品のポジションや動作の
タイミングをちきんと合わせていけば、
ほとんどが解決出来ます。
まだ全ての作業工程が終わったわけではありませんが、
とりあえず今日は1日で出来ることをしました。
また定期メンテナンスでやり残した工程を、
少しずつ進めていくことでご了承いただきました。
S様お世話になりました!