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アクション模型のご注文をいただきました!

ご注文を頂いたグランドピアノのアクション模型



ピアノ教室を開講されているピアノの先生からグランドピアノのアクション模型をご注文いただきました。

※お値段は約5万円です

このアクション模型をピアノ教室に置いて生徒さんに見て触ってもらってピアノの打弦メカニズムを理解されると、生徒さんの弾き方が微妙に変わってくるようです。

ピアノという楽器は鍵盤からリモートコントロールで打弦するという他の楽器にはない特性を持っていますので、このアクションのメカニズムを少し知ると、一鍵、一鍵のタッチを大切に考えるようになって頂けるのではないかと思います。

アップライトピアノのアクション


グランドピアノのアクション


ピアノの複雑なメカニズムは木が主材料ですが、内部の関節部分には金属のピンとフェルトが使われてそれぞれがリンクして働いていますので、このメカニズム全体を新品時はもちろんですが、日頃のメンテナンスでも念入りに調整をする必要があります。

このメカニズムの歪みを修正してから丁寧な擦りわせ調整を行うと、力まなくて大きな音が出せますし、粒が揃った小さな音も綺麗に出すことができます。

最終的にハンマーの形状を整えてハンマーの固さを適正にすることでお好みの音色に近づけることができます。

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株式会社浜松ピアノ 代表取締役社長

植田 信五


ペダルを軽くしたい

タイトルの通り今回は、
「ペダルを軽くしたい」というご要望で、新品から2年目のカワイグランドピアノのペダルの内部の構造と重くなる原因をご紹介します。

 

まずペダルが重くなる原因は大きく分けて2つ。

ペダル、そしてダンパー。

ペダルが土台でその上にダンパーが乗っているので、今回は土台のペダルを細かく見ていきました。

 

 

ペダルをバコッと外し、
まずは原因その1・・・突上げ棒のトップの汚れ、または錆び。

原因その2・・・突上げ棒と途中覆われているフェルトとの擦れ。

 

 

原因その1・・・突上げ棒のトップがこんなに汚れていました。

ここを磨いてマックルーブという薬品でコーティングしました。

 

 

原因その2・・・突上げ棒とこの白いフェルトが擦れる部分を磨いて、フェルトにはテフロンパウダーを擦り込んで摩擦抵抗を減らしました。

 

 

 

原因その3・・・突上げ棒と底のゴムとの接触面がこんなに汚れていました。このまま放置すると雑音が出てきますので磨き上げてゴムにはテフロンパウダーをつけて摩擦抵抗を減らしました。

 

 

次にペダルをひっくり返して底の面を上に向けて、カバーを外します。
するとシーソーのように動く中央部分に軸があります。

 

原因その4・・・この軸が少し錆びてきてました。

 

磨いてツルツルにして、マックルーブでコーティング&テフロンパウダーをつけて摩擦抵抗を減らしました。

結果こういう動きになりました→こちら(1分動画)

 

 

次はペダルの突上げ棒がダンパーを持ち上げる仲介役を担っている部分です。

原因その5・・・L字金具の汚れ。これが軸になって回転運動といってもほんの僅かですがこれも磨き上げてマックルーブでコーティング&テフロンパウダーを付けて摩擦抵抗を減らしました。

 

 

外すとこんな感じです。

原因その6・・・L字金具が通る穴の側面との擦れです。ここもテフロンパウダーを擦り込んで摩擦抵抗を減らしました。

 

 

原因その7・・・最初の原因その1で突上げ棒のトップが当たる部分です。

中央部分に凹みがあります。
凹むことは仕方ないのですが、更にその中央部分が圧縮されてテカッてるのが見えるかと思います。
このテカッてる所と突上げ棒のトップが擦れる際にブレーキがかかるので少し解してテフロンパウダーを擦り込みました。ここはよく雑音が出るところです。

 

 

原因その8・・・ダンパーのリフティングレールを持ち上げる部分のロウソクと呼ばれる部品の先っちょが汚れていました(このロウソクとダンパーの仕組みを以前Youtubeでご紹介していますので、興味ある方はご覧ください→こちら

 

 

 

このロウソクの先っちょが若干汚れていたので、磨いてマックルーブでコーティング&テフロンパウダーをつけました。ちなみにこのロウソクの先っちょは中央に穴の開いた黒いゴムキャップ(カワイの場合)に当たります。

 

以上で、ペダルの掃除が終わって一度組み立ててお客様にペダルを踏んでいただきました。

これだけでも随分と軽くなりましたが、お客様はもっと軽くして欲しいと申し訳なさそうに言いました。

 

実は今回のお客様は、昨年突如全身の筋肉が弱まっていく難病になってしまい、一時期は鍵盤を底まで下げることができないほど筋力が弱くなったこともあったそうです。
そんな難病と闘いながら、それでも大好きなピアノが弾きたいという熱い想いにどうしても応えてあげたい!と私は決心して、最終手段を実行しました。

 

 

 

最終手段はこちらのコイルバネです。
これはペダルを上にあげた状態を素早く下に戻す役割ですが、このコイルバネの反発力を減らすべく同じ直径でバネが細いコイルバネを探しました。

 

 

いくつかホームセンターを回りなんとか見つかりました。

指でバネを圧縮して強度を比較すると明らかに軽くなったのでこれを装着してみました。

 

 

そしてお客様へペダルを踏んでいただきました。

 

写真でも見て分かるように踏ん張らなくても下までペダルが下がり、

すぐにこちらを向いてニコッと笑顔で、

「軽くなった、すごく良い」

と言っていただけて安心しました。

 

元々付いていたコイルバネと更にもう一段階細いバネも探せて用意していたので、今後回復してもそうでなくてもすぐに対応出来るようにお客様へ保管していただいてます。

ペダルが重くなってきたなと感じる方は、今回のような作業で大幅に軽くなりますので、もしお困りでしたら一度ご相談ください。

 

>>>ピアノのメンテナンスの重要性

>>>グランドピアノのダンパーペダルの仕組み

 

1台1台丁寧な調整を心がけています

三木 淳嗣(委託調律師)


全ての調整の基礎は鍵盤調整です

専門用語で鍵盤あがきは鍵盤の深さ、鍵盤ならしは鍵盤の高さのことですが、全ての鍵盤の深さと高さが同じになるように調整しないと、鍵盤の上に乗るアクションの動きも全て狂ってきますので調整の基本と云われています。

YOU TUBEでもご案内しています

しかし鍵盤あがきや鍵盤ならしの前に、鍵盤に無駄な遊びがなく、全ての鍵盤がスムースに動くように調整しないと意味がありません。

全ての鍵盤がスムースに動くようにしてから鍵盤の高さと深さを同一に調整するのが鍵盤調整といいますが、手間がかかり鍵盤調整だけで手慣れた調律師でも新品でも1日、中古ピアノなら2日はかかります。

新品のピアノでも、あがきとならしの前にこれだけの作業が必要です。

鍵盤のピンも176本を磨き直します。

新品でも日に日に汚れてくるんです。

磨き終えたらマックルーブでコーティング。

油と違い膜を張るので錆びにくく滑りもよくなり、雑音処理等でピアノのアクションパーツにも使用します。


フロントキーピンの向きも同じ向きに揃えます。

鍵盤のブッシングクロスは雑音防止と摩耗を最小限にする目的でテフロンパウダーを擦り込みます。


バランスキーピンも位置を修正します。

鍵盤の奥のキャプスタンスクリューも磨き直し、左右で輝きが違うのがお分かりでしょうか。

鍵盤を左右に揺すって遊びを揃えます。

全体的にガタ気味だったので針を刺して隙間を狭くしました。こんな時短めのピッカー(整音時の針を刺す工具)が役に立ちます。


今度は持ち上げて元の位置に戻るか確認。



これは鍵盤あがきとならしの前にやるべき作業ですが、普段の定期のメンテナンスでも必要な作業です。



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株式会社浜松ピアノ 代表取締役社長

植田 信五


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