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ピアノの音質チェック 実践編

みんなのピアノ選びから抜粋

購入前に全ての音を聴いてみること

思い描く通りに気持ちよく演奏できるピアノの条件を考えるならば、
各音の質感が不自然なく揃っていること、あるいは隣り合った音の粒立ちが連なっていること
大前提と言ってもよいでしょう。

 
では実際にショールームでピアノの音の均一性・均質性をテストする方法をご紹介します。

ピアノを弾ける方はムラのないレガートで半音階を弾きながら、全ての音に注意を払って聴いてみましょう。
(ちなみにこれはブレンデルが上記の著書で推奨している方法です)
このときピアノメゾフォルテぐらいの音量がオススメなのですが、まずは各音を弾く指の強さが均一であるように心がけて下さい。



自分は弾けないからなぁ…、という方には別の手段もあります。
弾く指を1本に決めて、力を入れ過ぎず、適度な音量で鍵盤を押しましょう
そして左端の低音からひとつずつ順番に右隣の鍵盤を鳴らしながら、右端の高音まで聴いてみます。「カエルの歌」のように、ときには反復して音を比較してみるのも非常に効果的ですよ。



ひとつひとつの鍵盤を一定の強さで叩くことならば、コツさえ覚えればどなたでも出来るはずです。滑らかに連なる半音階を弾くことはプロの演奏に近い領域になりますので、むしろ同一の指でポンポンと音を鳴らすチェックの方がすぐに馴染めるかもしれません。

※グランドピアノの場合、ソフト(左)ペダルを使用した状態の音質も同じ要領でチェックしましょう。

みんなのピアノ選び

ピアノの調律とメンテナンス

Chromatic scale

株式会社浜松ピアノ 代表取締役社長

植田 信五


個体差による落とし穴 CASE STUDY

みんなのピアノ選びより抜粋

個体差による落とし穴

とあるピアノの先生よりご依頼を頂いて、ご実家のピアノを10年振りにメンテナンスしたときのことです。

「このピアノと同じモデルを知人宅で聴いて気に入ってね。
店のショールームでも確認して購入を決心したけれど工場から届けられた新品は音がこもっている感じで・・・。調律師さんに調整して貰ったけどやっぱり好きにはなれなくって。それ以来あまり使っていないのよね」

そのピアノは落ち着いた音色で決して悪い楽器ではなかったのですが、迫力のある響きを楽しみにしていた先生の満足を得ることはなく、結果あまり愛着を持つことができなかった、というお話でした。

羊毛を圧縮して作られるハンマーフェルトはピアノの性格を決める重要なポイント。フェルトの硬さ、形状、密度、質量は1台ずつ微妙に異なるため音質やタッチ感にも違いが生じます。
(画像はグランドピアノのハンマー)


聞けば購入時に販売スタッフからは「展示品とほぼ同じようなピアノが工場から出荷されます」と説明を受けたとのこと。

お客様のイメージに合った(あるいはイメージ以上の)ピアノであれば良いのですが、期待はずれ、というより音楽的な個性が好みと異なるピアノが届いてしまう場合があるので購入する側も注意が必要です。
言うなれば、ピアノは一点物に近い特性をもつ工芸品なのです。

もちろん納品後に調律師がユーザーの希望する音やタッチに近づけることも可能ですが、内容によっては多くの作業時間を要します。

最後の仕上げ、整音中のハンマー


やはりお客様ご自身が気に入ったピアノをそのまま購入される方が間違いないでしょう。もし店頭に展示しているピアノを好まれたなら現品購入も視野に入れてみては??

みんなのピアノ選び

ピアノの調律とメンテナンス

 

株式会社浜松ピアノ 代表取締役社長

植田 信五


楽器の個性 ピアノには必ず個体差があります

みんなのピアノ選びより抜粋

ピアノには必ず個体差があります

あなたは犬や猫などのペットをカタログや通販で購入されますか?
ペットショップでお目当ての動物に接して、見た目やしぐさ、性格を見定める方もいらっしゃるのでは。

実はピアノ探しも一緒なのです。
もちろんメーカーによって音やタッチに特徴や傾向はあるのですが、
たとえ同じメーカーの同じサイズのピアノであっても個体差が存在します。
 
都内練馬区からお出で頂いて浜松の竜洋工場で3台のディアパソンから選定中のお客様 立会いは浜松在住の職人調律師の山原氏

 











ピアノ内部には大量の木材、フェルト、クロス、皮などの天然素材が使用されていますし、メカニックの調整や音の仕上げには職人の手が入ります。

ですから1台1台に差が生まれるのは当たり前、この個体差が電子ピアノ、電化製品との決定的な違いと言えるでしょう。

明るく派手に鳴り響くピアノから深みのある柔らかい音のピアノまで、スッと軽いタッチからモワッと抵抗感あるタッチまで、そうした個々の異なる性格こそアコースティック楽器の面白さ、奥深さなのです。

このような理由から、私はまず各メーカーのピアノを積極的に試弾されるようお客様にご案内しています。そして新品購入の際には、出来るならばメーカーに同じモデルを複数台用意してもらってその中から1台に絞り込む作業、選定をされるように勧めています。

実際に何台か弾き比べられたお客様は大抵驚かれます。
「同じメーカーでもこんなにも違うんですね」「わざわざ選びに来た甲斐がありました」と。

都内港区のファツィオリジャパンで、ファツィオリピアノをご試弾頂いた田中節夫先生


自分にピッタリと思える1台を見つけることは、とても根気の要る作業です。しかし一生に一度になるかもしれない買い物です。

悩んで苦労して手に入れた楽器への愛情は、きっと格別なものになります。これから購入される皆様、ぜひ好奇心をもってピアノ選びを楽しんで下さい!

☆POINT
「全く同じピアノは世の中に存在しません。実際に弾いて気に入ったピアノを選びましょう」

お薦めブランド ディアパソン

みんなのピアノ選び

お薦めブランド ファツィオリピアノ

株式会社浜松ピアノ 代表取締役社長

植田 信五


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