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新品ピアノと中古ピアノ、どちらがオススメですか? 中古ピアノは危険?

みんなのピアノ選びより抜粋
 
中古ピアノは危険?
 
乾燥した部屋に放置したことが原因で響板が割れてしまったグランドピアノをユーザーの依頼でオーバーホールするところです。

耐久性には定評のある国産ピアノ。修理のため弦を外した状態です。使用環境が厳しいと深刻な事態に陥ります。画像をご覧ください。くれぐれも温度・湿度管理にご注意を!


響板割れが問題となるのは特定の音を弾いたとき割れ目が振動して“ビリビリッ”とか“シャーン”嫌な雑音が発生する場合です。

修復手順としては、一度弦を外して鉄骨フレームを持ち上げて割れた箇所を響板と同じスプルース材で埋め木、またフレームを収めて弦を張り直す・・・と非常に手間のかかる作業になります。

調律、調整以前に楽器として根本的な問題であるためピアノを選ばれる方にとっては最低限の確認ポイントといっても過言ではありません。

たとえ古くとも響板がすこぶる健常だったピアノも紹介しましょう。
 
昔ながらの総玉一本張り方式。現在弦をターンさせて張る方法が主流ですが一つずつ輪を作ってオリジナルに忠実に修理しました。響板に割れ目ひとつ無いことから材質と今までの管理の良さが窺えます。

下の画像は80年は経っているブリュートナー(ドイツの老舗メーカー)の弦を交換修理したときのもの。
 

ヴィンテージ感のある枯淡の響きは新品ピアノが直ぐには出しえない味わいがあります。その熟成した音が好きで敢えて中古ピアノを求めるお客様も中にはいらっしゃいますが、本当に良い楽器を手に入れるには見極める訓練が必要です。

グランドピアノの場合は屋根を上げて譜面台を外したら弦の合間から響板の状態を確認することが出来ます。

アップライトピアノの場合はパネルやアクションを取り外して中を覗くか、もしくは背面からも確認が可能です。気になるピアノがあれば「響板を見せて下さい」と店員に一声かけましょう。

みんなのピアノ選び

ピアノの寿命

 

株式会社浜松ピアノ 代表取締役社長

植田 信五


新品ピアノと中古ピアノ、どちらがオススメですか?

みんなのピアノ選びより抜粋

新品VS中古品

お客様からよく尋ねられるご質問です。
中古ピアノの利点はまず何といっても手頃な価格で手に入ること。
子供がいつまで続けるか分からないので高価な新品はちょっと手が出ないなぁ・・・という方が中古ピアノを求めるケースが近年とても増えています。

確かに新品の半額ほどで入手可能なので魅力的である一方、中古ピアノの良し悪しが判別できないから不安、誰が使ったのか分からないピアノは嫌、新しい方が安心!と迷わず新品を選ぶ方もいらっしゃいます。

外装を再塗装して新品同様に仕上げた中古ピアノ


各ピアノ店のポリシーによっても勧められるピアノが異なるので困惑するお客様も多いのではないでしょうか。
良い中古ピアノを見分けるポイントについては既に他のHPでも多く書かれています。たとえば・・・

・外装や内部のクリーニングはもちろん弦やピンなど金属パーツのサビ・汚れが除去されていること

・アクションや鍵盤が基準の範囲内で弾きやすく均一に調整されていること

・フェルト・クロスなど消耗する各部品を適切に処置もしくは交換修理されていること、などなど。

新旧のハンマーを並べてみました、消耗したハンマーはそろそろ交換が必要です。


新しいハンマーの整形作業


全くその通りです。
ただ正直なところ以上に挙げたような作業はいざとなれば納品後でも対応できるレベルといえます。

機械を使って行う本体の外装クリーニングは現場では難しいかもしれませんが、アクションや鍵盤は車に載せて持ち帰って修理することが可能です。その他の調整、清掃作業などもその場で処理できる内容です。

もちろん購入後に余計な出費が伴いますので上記の内容は購入時にきちんとチェックしましょう!

ぜひ最初からメンテナンスとクリーニングがきちんと完了した中古ピアノをお買い求め下さい。

ではお客様にとって(そして我々調律師にとって)最も厄介で納品後にトラブルとなり得る問題とは何か。

それは響板割れと駒割れと呼ばれる症状です。
このピアノをうっかり購入すると最悪の場合あなたが高額な修理費と運送費まで負担する羽目に・・・。
(アクションや鍵盤の修理とは異なりピアノ本体を工房に移動しなければ困難な修復となります)

この注意すべき「響板割れ」と「駒割れ」について、新品中古、両方のピアノ内部画像を次にご覧頂きましょう。(そう、新品といえど必ずしも安心とは言い切れないのです!)

みんなのピアノ選び
 
 ピアノの寿命
  

株式会社浜松ピアノ 代表取締役社長

植田 信五


脱“スペック偏重”思考のすすめ 無垢材VS合板VS木質ボード 

みんなのピアノ選びから抜粋

~ピアノのケース素材を比較~

ピアノの鍵盤蓋、屋根、パネルといった外装の木材について。
木材にこだわりある人からすれば、無垢材の方が良いと思うでしょうが、もし木材を乾燥させる工程に不備があったり、納品後のユーザーの管理状態が悪ければ、将来的に木材の収縮から割れ、反り等の支障をきたす恐れがあります。

スタインウェイの塗装の下はこんな感じです。


一方、合板は、薄くスライスした板を木目方向が互い違いになるように重ね貼りした木材。無垢材にみられるような変形はありません。
ご覧の通り、スタインウェイGPの屋根ともなると、選び抜いた木材を貼り合わせています。安物の合板とは音の響きが違うのでしょうか。

鍵盤・アクションを載せる「棚板」が木質ボード。ちなみにヨーロッパ製のアップライトピアノです。


また最近は木質ボード(MDF材)と呼ばれる木屑を接着剤で固めた板材を使用するピアノが増えています。均質で加工しやすく、コストも安いので生産側にとって好都合です。ただ、長い目で見たときの耐久性はどうなのか、10年20年後の状態が気になるところです。

こちらは日本メーカーによる廉価ピアノの棚板。下から覗くと一目瞭然。触感でも分かります。


木材の特徴を知ることは、ピアノを選ぶ良き判断材料になります。
しかし、気をつけるべきは素材選びだけが全てではないということ。

実際に聴こえる音はどうか、長期的に見た場合どうだろうか、金額に見合う買い物と思えるか、自分の好みや条件と照らし合わせながら、あまり近視眼的にならず俯瞰的にアプローチしてみましょう。

(…店員が無垢材をやたら推すけどシーズニングは大丈夫?)
(…合板だから、どちらかというと工業的に作られているピアノだな)
(…値段が安いのはMDF材を多用しているからか…)

そう冷静に分析していけば、ご自身の結論にも納得がいくのでは。
大切なのは、どの素材が優れているか云々よりも、各素材の特徴を知っておくこと。そうすれば無知による後悔を回避できますよね。
値段がどうして高いのかor安いのか、価値をきちんと理解して選んだピアノならば、あなたにとって満足度の高い買い物となるはずです。

 
 

 

株式会社浜松ピアノ 代表取締役社長

植田 信五


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