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個体差による落とし穴 CASE STUDY

みんなのピアノ選びより抜粋

個体差による落とし穴

とあるピアノの先生よりご依頼を頂いて、ご実家のピアノを10年振りにメンテナンスしたときのことです。

「このピアノと同じモデルを知人宅で聴いて気に入ってね。
店のショールームでも確認して購入を決心したけれど工場から届けられた新品は音がこもっている感じで・・・。調律師さんに調整して貰ったけどやっぱり好きにはなれなくって。それ以来あまり使っていないのよね」

そのピアノは落ち着いた音色で決して悪い楽器ではなかったのですが、迫力のある響きを楽しみにしていた先生の満足を得ることはなく、結果あまり愛着を持つことができなかった、というお話でした。

羊毛を圧縮して作られるハンマーフェルトはピアノの性格を決める重要なポイント。フェルトの硬さ、形状、密度、質量は1台ずつ微妙に異なるため音質やタッチ感にも違いが生じます。
(画像はグランドピアノのハンマー)


聞けば購入時に販売スタッフからは「展示品とほぼ同じようなピアノが工場から出荷されます」と説明を受けたとのこと。

お客様のイメージに合った(あるいはイメージ以上の)ピアノであれば良いのですが、期待はずれ、というより音楽的な個性が好みと異なるピアノが届いてしまう場合があるので購入する側も注意が必要です。
言うなれば、ピアノは一点物に近い特性をもつ工芸品なのです。

もちろん納品後に調律師がユーザーの希望する音やタッチに近づけることも可能ですが、内容によっては多くの作業時間を要します。

最後の仕上げ、整音中のハンマー


やはりお客様ご自身が気に入ったピアノをそのまま購入される方が間違いないでしょう。もし店頭に展示しているピアノを好まれたなら現品購入も視野に入れてみては??

みんなのピアノ選び

ピアノの調律とメンテナンス

 

株式会社浜松ピアノ 代表取締役社長

植田 信五


楽器の個性 ピアノには必ず個体差があります

みんなのピアノ選びより抜粋

ピアノには必ず個体差があります

あなたは犬や猫などのペットをカタログや通販で購入されますか?
ペットショップでお目当ての動物に接して、見た目やしぐさ、性格を見定める方もいらっしゃるのでは。

実はピアノ探しも一緒なのです。
もちろんメーカーによって音やタッチに特徴や傾向はあるのですが、
たとえ同じメーカーの同じサイズのピアノであっても個体差が存在します。
 
都内練馬区からお出で頂いて浜松の竜洋工場で3台のディアパソンから選定中のお客様 立会いは浜松在住の職人調律師の山原氏

 











ピアノ内部には大量の木材、フェルト、クロス、皮などの天然素材が使用されていますし、メカニックの調整や音の仕上げには職人の手が入ります。

ですから1台1台に差が生まれるのは当たり前、この個体差が電子ピアノ、電化製品との決定的な違いと言えるでしょう。

明るく派手に鳴り響くピアノから深みのある柔らかい音のピアノまで、スッと軽いタッチからモワッと抵抗感あるタッチまで、そうした個々の異なる性格こそアコースティック楽器の面白さ、奥深さなのです。

このような理由から、私はまず各メーカーのピアノを積極的に試弾されるようお客様にご案内しています。そして新品購入の際には、出来るならばメーカーに同じモデルを複数台用意してもらってその中から1台に絞り込む作業、選定をされるように勧めています。

実際に何台か弾き比べられたお客様は大抵驚かれます。
「同じメーカーでもこんなにも違うんですね」「わざわざ選びに来た甲斐がありました」と。

都内港区のファツィオリジャパンで、ファツィオリピアノをご試弾頂いた田中節夫先生


自分にピッタリと思える1台を見つけることは、とても根気の要る作業です。しかし一生に一度になるかもしれない買い物です。

悩んで苦労して手に入れた楽器への愛情は、きっと格別なものになります。これから購入される皆様、ぜひ好奇心をもってピアノ選びを楽しんで下さい!

☆POINT
「全く同じピアノは世の中に存在しません。実際に弾いて気に入ったピアノを選びましょう」

お薦めブランド ディアパソン

みんなのピアノ選び

お薦めブランド ファツィオリピアノ

株式会社浜松ピアノ 代表取締役社長

植田 信五


新品ピアノと中古ピアノ、どちらがオススメですか?新品ピアノは安全?

みんなのピアノ選びから抜粋

新品ピアノは安全?

やっぱり中古ピアノは怖いから新品を購入した方が間違いないだろう、そう考えておられる方も実は油断大敵です。

下の画像は某国で製造されたアップライトピアノの新品ですが弦の振動を響板に伝える役割を果たす駒が割れています
弦を屈折させる駒ピンからひどい割れが・・・。アコースティック楽器は木が肝心要です。


低い音域を弾いたときに金属的な雑音が混じっていたので下のパネルを開けて調べたところ激しい亀裂が・・・。こうしたケースは稀かもしれませんが新品であっても木材を使用する以上絶対に安全とは断言できない事実を心に留めて下さい。(本来あってはならないことですが)
ご心配な方は響板に加えて駒も一緒に点検した方が無難でしょう。

以前「ピアノの外観よりも内部のアクションや木材を一台ずつ比較して観察する方が好きなんだ」と話されたお客様がいました。世界にひとつとして同じ木目はないのでそうした愉しみ方も面白いですよね。

右下の画像はペトロフ(東欧チェコの老舗メーカー)の新品ピアノの響板。創業者のサインらしき?ロゴが見えます。

メーカーごとに特徴あるデザインが描かれていますので積極的に中を覗いてみましょう。グランドピアノならば簡単に響板と駒をチェックできます。1台ごとに異なる木目を比較するのもまた一興ですよ。


※納品後すぐ割れに気づいたユーザーが販売店にクレームしたところユーザー自身の温度湿度管理に責任を転嫁されたという悪質な事例も聞きます。その意味では“お店選び”も慎重にご検討下さい。

まずは「好き嫌い」ありき。でも「良し悪し」を見抜くことも大切!

瑞々しい潤いある新鮮な響き、乾いた渋さをもった円熟の響き、どちらのピアノを選択するかはあなた次第。
人間と同様に「老い」も「若き」もそれぞれに一長一短あるものです。

ただし好き嫌い良し悪しは別物。ピアノ購入時には両方の視点を持ち合わせる必要があります。

すでにお分かりかと思いますが、“新品”と“中古”というカテゴリーではピアノの優劣はつけられません
1台1台に出来不出来がありますし、買い手売り手の「好き嫌い」といった感情も多分に含まれるからです。

しかし楽器の“良し悪し”については答えがハッキリしています。
いくら音やタッチが気に入って購入したピアノでも、楽器本体に重大な欠陥があっては本末転倒ですよね。

そのリスクを回避するためには何よりお客様ご自身がピアノの内面をじっくり観察する意識をもつこと!
品質が粗悪な楽器を見抜く目を自ら養うことも、間違いの無いピアノ選びには不可欠なのです。

☆POINT
「他人の言葉やカタログに書かれている内容はあくまで参考程度に。
 新品中古にとらわれず、己の目と耳を鍛えて楽器の本質に迫りましょう」
 

 

株式会社浜松ピアノ 代表取締役社長

植田 信五


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