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ピアノのタッチが変?簡単セルフチェック №2

みんなのピアノ選びより抜粋

ダンパー掛かりのチェック
弦の上にある黒い物体が音を止めるダンパー、弦の下にある白い物体が音を鳴らすハンマー

ダンパーという装置をご存知でしょうか?弦を叩いて音を鳴らすのがハンマー、その弦の振動を押さえて止音するのがダンパーの役割なのですが、実はピアノの弾き心地にも密接に関わっています
※最高音から20鍵位低い音までにはダンパーはないので注意。
高音は弦長が短いため音の減衰が早いという理由からです。

はじめにダンパーの存在を確認してみましょう。
ひとつ鍵盤を押さえて音を鳴らして下さい。底から少しずつ鍵盤を元の高さまで戻していくと途中で音が消えるポイントがあります。そこがダンパーと弦が接触する位置ですので良く覚えていて下さい。

ダンパーの掛かりが半分の状態。左隣は底に達した鍵盤。
 

では次に通常の状態から鍵盤を慎重に押し下げてみましょう。先程のポイント付近で指先に抵抗を感じませんか?この引っかかる感触こそダンパーの重量が鍵盤に加わる位置、ダンパーの掛かりです。

この「掛かり」のタイミングですが、ピアノによって多少の差はあるものの鍵盤の深さに対しておよそ半分まで変更が可能です。各鍵盤を確認して直ぐに抵抗感がある場合は調整で弾き心地が軽くなります。重くしたいときは掛かりを早めて弾き応えを増すことも出来ます。

調律師はハンマーの頂点から弦までの距離を判断して調整します。メーカーによっては工場でハンマーの側面に目安の印をつける場合も。


弾き心地が気になる方は是非ダンパーもチェックしてみましょう!

※ダンパーの掛かりをリセットする際、調律師は右ペダルの効きを揃える緻密な作業も併せて必要となります。依頼されるときは念のため作業時間と料金について事前に調律師に訊いてみましょう。

みんなのピアノ選び

お薦めブランド ペトロフ

株式会社浜松ピアノ 代表取締役社長

植田 信五


ピアノのタッチが変?簡単セルフチェック №1

みんなのピアノ選びから抜粋

鍵盤の動きチェック

使い込みのない新品ピアノ、そして湿気をおびたピアノは、木やクロスが膨張してスムーズに鍵盤が動かなくなることがあります。
また古いピアノでは、鍵盤と接している金属ピンに汚れや錆が発生して摩擦が大きくなっている可能性があります。

まずは上下の動きからチェックです。
鍵盤を少し持ち上げてみて下さい。おそらく1mmは上がります。
黒鍵はつまんで持ち上げても大丈夫ですよ。
このとき正常ならば手を放しても鍵盤がスーと元の状態に戻ります。
上がったまま降りてこないのは摩擦で動きが鈍っている証拠です。

上下の動きをチェック   


次は左右の遊びのチェックです。
鍵盤を沈めた状態で左右にゆすってみて下さい。指に僅かながらコツコツと感触がある程度の遊びが良しとされています。
左右にゆすっても余裕がないときは、鍵盤の抵抗感が増し、指についてこないような、もったりしたタッチになります。ひどくなると弾いたら鍵盤が下がったまま、なんて状態に…。基本的な調整ですから気になるときは調律師に頼みましょう。湿気対策もお忘れなく。
逆にカタカタと遊びが多過ぎる鍵盤は締まりのないタッチ感に。
使い込まれたピアノに見られる症状で修理が必要な目安となります。
中古ピアノを購入される方は要チェックの項目ですね。

左右の遊びをチェック


※補足(右の画像参照)
鍵盤を弾いたエネルギーは「てこの原理」でアクションに伝わります。
このとき鍵盤の「支点」「力点」では金属製のピンとクロスが触れ合います。この接点での摩擦を最小限に抑えるため、調律師は金属ピンの汚れを除去して滑らかな状態に調整する必要があります。

グランドピアノの鍵盤を外した様子。金属ピンを清潔にします。鍵盤裏側の赤い箇所がフロントブッシングクロスと呼ばれるもの。これが湿気で膨らむと摩擦でタッチが重くなります・・・。


※最近では特殊な潤滑剤(油ではありません)をこの金属ピンに塗る処置が流行しています。すっきりしたタッチになりますしグリッサンドを弾いても指の痛さが軽減するのでプロのピアニストにも好評ですよ。興味ある方は調律師に問い合わせてみてください。
 
 みんなのピアノ選び

 
お薦めブランド ペトロフ

株式会社浜松ピアノ 代表取締役社長

植田 信五


外国製ハンマーVS国産ハンマー ハンマー比較論

ーみんなのピアノ選びーから抜粋

弦を直接叩いて音を鳴らすハンマー音質に関わる大切な部品。
ウッドに巻かれたフェルトの硬さによって、音やタッチの質感までもが変わるのですが、一般ユーザーにはあまり知られていません。

カンカンと派手な音、モコモコした円やかな音、こうした音質の違いは実はハンマーフェルトが“硬い”か“柔らかいか”によるものなのです。

ヨーロッパ製の代表格は独レンナー社。スタインウェイをはじめ一流ピアノメーカーが採用している老舗ブランドです。他にはアベル(独)、ロイヤルジョージ(英)も有名ですね。一方、ヤマハ、カワイなど工業力があるメーカーはハンマーも自社生産する傾向にあります。


左から スタインウェイ ヤマハ カワイ


左から レンナー アベル ロイヤルジョージ


88個全てのフェルトに対して針刺し、ファイリング(整形作業)を実施。まずは発音の土台作り。



普段は人目に触れないアクション&ハンマー。丹精込めた整音がピアノに魂を注入します。


 メーカーカタログや楽器店のHPには“○○製ハンマー使用”と謳っているものが多く、それをひとつ目安にされるお客様もいます。

ここで申し上げたいのは、ハンマーのブランドが“楽器の評価”に直結する訳ではないということ。どんなハンマーであっても技術者の手による整音というハンマーの硬さを調整する作業が加わるからです。

右の画像は某ドイツ製ピアノのハンマーを整音しているシーンです。
新しいフェルトは硬く圧縮されているため、このままではまるで金づちで叩いたような音とタッチ。とても演奏できる状態ではありません。

そこで、先端に針の付いたピッカーという工具を使ってフェルト部分をグサグサ刺して、ハンマーに弾力性あるクッションをもたせます。

そうするとフェルトの繊維が膨れ上がって形が崩れてくるので、この後ペーパーやすり等でシンメトリーに削ってやっと第一段階が終了。

ここから全ての音質がきれいに揃うまで、技術者はフェルトに対して、針を刺し加えたり、やすりで削ったり、液体の硬化剤で固めたり、1音1音を確認しながら微妙な調整を繰り返すことになります。

強烈なfffから繊細なpppまで表現可能なハンマーが完成するには、こうした気の遠くなる手間がかけられる事実を知っておきましょう。
有名なハンマーを使うだけではピアノは“楽器”にならないのです。

ですから、もし音楽的にピアノを考えるならば、ハンマーが外国製か日本製であるかよりも、手作業で行われる整音がもつ意味合いの方が遥かに重要です。整音なくしてハンマーを語ることは出来ません。

はたして音の強弱がコントロールしやすい状態に仕上がっているか、
ブランドではなく音やタッチからハンマーの感触を確かめましょう!

みんなのピアノ選び

お薦めブランド ペトロフ

株式会社浜松ピアノ 代表取締役社長

植田 信五


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