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ピアノの背の高さによる具体的な違いは?

アップライトの場合、一般に背が高いピアノの方が良いとされていますが、その理由を検証したいと思います。

左が背が低い小型のピアノ(高さ118cm)の鍵盤、右が背が高い大型のピアノ(の高さ132cm)の鍵盤ですが、違いがお分かりいただけますでしょうか?



白鍵の大きさは同じですが、鍵盤の全長は右の鍵盤が長くなり、中央の赤いフェルトの所が鍵盤のシーソー運動の支点になりますので、背が高いピアノの方がシーソー(鍵盤)が長くなる分、弾き易くなります。

背が高いピアノは、鍵盤の先っぽのキャプスタンボタンをワイヤーで支えて(低いピアノはネジ)いますが、ワイヤーは曲げることができるので、キャプスタン・ボタンの位置を奥か、手前にするかによりテコの原理で、弾いた時に感じる鍵盤の重い軽いの調整ができますが、ネジの場合はその調整が出来ません。

そのような違いが関係して、結果として小さなピアノは粘っこいタッチ?(重い、軽いではなく)になる(感じる)傾向があるようです。

さらに背が低いピアノは巻き線が短くしか張れないので、低音域の巻き線が太くなります。

その結果として低音が不明瞭になり魅力に欠けます。
その真逆は大ホールに設置されている奥行き270㎝のフルコンサートピアノの低音の巻き線は長く張れるので巻き線を細くすることが出来、結果として歯切れが良い魅力的な低音になります。

このような違いあるので、同品質のピアノなら背が高いアップライトピアノの方が弾いて気持ちが良いということになります。

しかし現実には?

理論上はそうなのですが、試しに先日、来店された中学3年生の男の子(彼は耳が良くてピアノ演奏が上手、まだ先入観がない)に、展示中のヤマハの大型の高級版の131㎝のアップライトと小型のペトロフの118㎝のアップライトを弾き比べてもらったのですが、あきらかに背が低いペトロフが魅力的で、これが欲しいとのことでした。

中学生の彼が試弾したペトロフピアノP118C1

なので上質で丁寧に調整されたピアノならば、コンパクトなピアノでも大型のピアノを凌駕する魅力を持っています。

昔のように広い応接間がない現在の家は、リビングの近くにコンパクトで上質な木目のアップライトをさり気なく置いて演奏を楽しむのが、部屋自体もお洒落になり気持ちが良いのではと思いました。

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株式会社浜松ピアノ 代表取締役社長

植田 信五


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