[ ]ピアノ庫で前日調整
ここはピアノ庫です。
ピアノ庫は空調管理を行なう部屋で、24時間同じ温度湿度をキープすることができます。
ピアノは木材・フェルト・クロスといった自然素材に加え金属部品も使用していますので、多湿や過乾燥な環境に置くと各部品が変形(伸縮)したりサビたりしてきますので、特に湿度は出来る限り一定(50%前後)に保つことがピアノにとっては良い環境とされています。
いつも立会いのコンサートの時は終演後にピアノをこのピアノ庫に戻して、
「過酷な環境の中、今日一日おつかれさま!」 と心の中で話しかけて帰るのですが、実は本番のステージでは空間も広い為なかなか空調(温度湿度)を保つ事が厳しいため、また熱い熱いライトも浴びてピアノも熱くなってくるのでまさにステージはピアノにとっては過酷な状況なのです。
ですので本番が終わると、このピアノ庫の心地良い環境で休んでもらいます。
今回は明日に小中学校の音楽発表会で使用するため前日調整をしました。
ステージはたくさんの人で準備をしていたため今回はピアノ庫で作業です。
早速状態はどうかな?と鍵盤を押し下げてみると・・・
鍵盤が明らかに深い。
鍵盤のアフタータッチが明らかに多いので、打弦距離(静止状態のハンマーから弦までの距離)の寸法を測ってみると、やはり狭い。
棚板の変化でベッティングスクリューのボタンが張り気味になっていたことが原因でした。
調整し直すと、鍵盤の深さや打弦距離も正常値に戻りました。
(棚板調整の解説動画はこちら)
ちなみにですが、ベッティングのボタンが張り気味になると、鍵盤の両端についているこの拍子木の中央白い部品に必要以上に圧力がかかったまま擦れるので、シフトペダル(左のペダル)が異様に重く感じたり雑音(圧力がかかるので棚板が擦れる音)が出たりします。
調律は微調整で済みました。
スタインウェイのフルコンDモデルは低音部の巻線が3本のところがあるので(Sモデル~セミコンCモデルは低音巻線は2本まで)フルコンならではの低音部がハッキリとした音階が出せて気持ち良く感じます。もしフルコンに触れる機会があればこの低音を意識してみてください。きっと違いが感じられると思います。
おまけですが、ピアノカバーの畳み方の手順です(戻す時は逆の手順)
右折って、左折って、クルクル巻きます。