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アンティーク(ビンテージ)ピアノの魅力と問題点

普通の中古ピアノとは違い、100年落ちのピアノをリニューアルしたもの、いわゆるアンティーク(ビンテージ)と呼ばれるピアノは、ノスタルジックな魅力があり一部の愛好家に人気があります。

1918年製のペトロフピアノ(京都芸術センター)

右側の1926年製スタインウェイと左の1877年製のグロトリアン・スタインヴェック

1906年製のプレイエル

古いピアノは響板も埋め木して補修します

 
響板の補修し消耗部品であるハンマーや弦、フェルト類を新品に交換したピアノであっても、ピアノ内部には接着箇所が膨大にあり、それらの膠(にかわ)の接着面もさすがに100年も経過すると脆くなっているので、どこが剥がれるかは誰にも予想ができません。

ですからファーストピアノではなく、セカンドピアノとして丁寧に使用し、空調管理(温度湿度)も万全を期す必要がありますが、それでも想定外のところが剥がれて故障する可能性があります。

しかも一旦トラブルとなると修理も厄介なことになることが多いので、メンテナンスの大変さ(費用)も頭に入れておく必要があり、それらを勘案してアンティークピアノのメンテナンスは請け負わない調律師も多いので、何かあってもすぐに駆けつけてくれ、面倒な修理も気軽に対処してくれる、近くに住む古いピアノの修理に長けた調律師の確保が必要です。

ピアノの調律とメンテナンス

ピアノの寿命

 

株式会社浜松ピアノ 代表取締役社長

植田 信五


ヨーロッパ製ピアノは日本での使用は不向きか?

確かに日本の夏場の高温多湿はピアノには好ましくなく、これはヨーロッパ製、日本製、中国製に関係なく高級なピアノ(デリケート)ほど、無垢の木材を多く使用するので温度、湿度の変化の影響が強く出ます。

ヨーロッパ製ピアノの展示が多い浜松ピアノ店 ショールーム


たとえ国産のピアノでも木材は全て輸入材ですし、輸入、国産を問わず高級なピアノほど自然素材(無垢材等)を多く使うので温度や湿度といった環境の変化には敏感です。

しかし高級なピアノは使用木材も屋外で数年の自然乾燥を経て使われますが、量産ピアノは、工場内で短時間で人工乾燥した木材(響板等)が使われるので、木材の細胞を痛めて楽器の命である響板の寿命も縮めることになります。

屋外で数年自然乾燥されてから使用される木材(ペトロフの工場にて)

無垢材をつかったペトロフの鍵盤蓋(ペトロフの工場にて)

また最近はアクション内部のムービングパーツに、従来の木の替わりに、木より軽く鉄より堅いカーボンファイバー(炭素繊維)を使ったものがありますが、これは軽くて歪みがなく均一な形状で合理的ですが、堅過ぎて木のように適度なたわみがないのでタッチに違和感が生じます。

カーボンとクロス(赤色部分)を使ったカワイのアクション

昔ながらの木とクロス(赤色部分)を使ったアクション(スタインウェイ)


しかもアクション内部のセンターピン(関節部分)はカーボン(木)とクロス(自然素材)が一体化したデリケートな部分なので、ここがひとたび湿気ると、湿気を吸わないカーボンはクロスだけに湿気が集中するので、一旦湿気ると木に比べ自然復元力が極端に劣ります。

一般的な量産ピアノは工業化に適した伸縮や歪みが少ない積層材等や人工素材を多用して大量生産されるので、均一で安定した品質という意味では良いのですが、天然素材が多い高級ピアノに比べると、音色や響きと云った楽器としての魅力は乏しくなります。

ピアノの選び方とその問題点

株式会社浜松ピアノ 代表取締役社長

植田 信五


お薦めの調律師は?

気になる箇所を丁寧に伝え、完了後に必ず試弾・確認すること。

メーカー別とか資格という観点ではなく、調律だけでなく、整調や整音を日常的、習慣的に行っている調律師がお薦めですが、作業完了後に仕上がり具合が希望通りか確認する必要があります。

鍵盤のバランスホール調整


サポート合わせ調整

レペティションスプリング調整

ハンマー弦あたり調整


つまり作業前に気になる細かい希望(音色、タッチ他)を伝えた上で、作業前後に試弾して、明確にタッチや音色が良くなった否かを評価して、演奏者自身が判断するしかありません。

日頃のメンテナンスも「整調 + 調律 + 整音」をセットで行なうべきですが、それには最低でも約半日の作業時間になりますので、調律だけよりも少し高くなりますが、ピアノの性能(音色、タッチ、表現力)に取っては価値があります。

ピアノの調律とメンテナンス

 

 

 

株式会社浜松ピアノ 代表取締役社長

植田 信五


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