[ ]シゲルカワイのメンテナンスのご報告
弊社を通じてシゲルカワイをご購入頂き、納入調整だけはカワイのMPAの方が行い、その後のメンテナンスは弊社で行なうこととなりました。
実はこのシゲルカワイをご購入頂く前に使用していたヤマハG3が、他社で毎年定期メンテナンスを行なっていたにもかかわらず不調で、改めて弊社が調整の依頼をいただき、その際の仕上がりに大変感激していただいて、人生最後のピアノということで弊社を通じてシゲルカワイをご購入頂きました。
今回お伺いした際に、気になるところをお聞きしたところ。。。
「まず低音部の音色がおかしい」と。
どのようにおかしいのか詳しくお聞きしたら、
ラの音を弾いて
「このラの音が金属的な音が混ざっていて、隣のソの音はこんな音色はないのに、ラとレも耳につくような金属的な音が混ざって聴こえる。好みの音色ではない」とのこと。
これは納入調整の際にMPAの方にお伝えしたにもかかわらず、何も変わってなかったそうです。
※後日、他のMPAの方から話を聞くと、たぶん月の調律の台数をノルマがあるので、次の訪問先に行かざるを得なかったのでしょうという回答でした。
他には気になるところはないかお聞きしたところ。。。
「タッチが重いかな・・・」
今回のご要望は以上で、調整にとりかかろうと・・・その前にお客様と一緒に内部のチェックをしました。
まず鍵盤を軽く持ち上げたら、
ほとんどの鍵盤が下りてこない・・・
この時点でブレーキがかかっているので重くなる原因になります。
泥濘のある地面を車で走るような感覚です。
定規をあててバランスキーピンの並びをチェックしてみると・・・
デコボコです。最高音の鍵盤に関しては凄く高い位置に。
鍵盤を先端を持ち左右に振ってみると遊びがなかったので、裏に貼ってある赤いクロスを圧縮して調整しようと確認してみると、クロスの接着が剥がれていました。
コテ(アイロン)をじっくり当てて再接着しました。
鍵盤のバリ(切断加工の際に加工面に発生する残材部)がたくさん残っていました。
スタインウェイなどの高級ピアノではバリはきれいに取り除かれていますが、中でも最高にきれいな仕上がりはファツィオリです。
以前ヤマハのピアノで鍵盤から雑音がしていて、見てみるとこのバリが隣のバリと擦れていたことがありました。正直、工場でこのバリ除去の工程は徹底して行なってほしいものです。
今回の作業内容は、
・バランスキーピン並び調整
・フロントキーピン傾き調整
・フロントキーホール調整
・バランスキーホール調整
・棚板調整
・ジャック前後高さ調整
・ハンマー接近調整
・ハンマードロップ調整
・打弦距離調整
・レペティションスプリング調整
・調律
・低音部の整音
以上の項目を調整し5時間かかりましたが、最後にご試弾いただいて、
「低音の音色も良くなった。鍵盤もすごく滑らかになった。」とOKいただけました。
やはり喜んでもらえると嬉しいものです
ピアノの性能(タッチ、音色、表現力)を大切にお考えの方に
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弦楽器等、他の楽器と違うピアノならではの特殊性をご理解頂くためのもので、一旦ピアノの特殊性をご理解頂くとピアノに対する概念や対処も大きく変わり、これまで以上にピアノと良い関係が築けます。
浜松ピアノ店代表 植田 信五 筆者プロフィール
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