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調律の時期は半年か、1年ごとが適切か?

よくご質問頂く調律の時期ですが、調律(音の高さを合わせる作業)の保持時間は設置環境によりごく短時間でも微妙に狂ってくるのが調律です。

たとえばコンサートホールではコンサートごとに調律をしますが、演奏は勿論ですが、舞台の強い照明でピアノのフレームや弦、響板等が温められ2時間の演奏時間内でも微妙に狂ってきます。

逆に24時間の適切な空調の部屋(楽器保管庫等)にピアノを置くと、1年経過してもほとんど調律は狂いません。

このように設置環境次第で、調律だけでなく整調や整音も変化してきますので、そのようなピアノの特性上、演奏者が違和感を覚えた時がメンテナンスの時期と云えます。

これにはかなりの個人差がありますので、本来は半年とか1年と云う特定の期間というものはないのですが、少しの狂いでも気になる方は早め早めが好ましいと思います。

ところで今後数年は弾かないということであれば、弦楽器が弾かない時は弦を緩めるのと同様にピアノも弦を緩めてピアノ(響板)を休ませるという意味で、無理に調律はしない方が良いと思います。

但し新たに弾き始める時には数回の調律が必要になりますが、ピアノは調律しないと壊れるということはありません。

ピアノの調律とメンテナンス

株式会社浜松ピアノ 代表取締役社長

植田 信五


知っておきたいピアノの生産国表示の業界ルール

現在は中国が世界一のアコスティックピアノの消費国であり生産国ですが、13億の人口を持つ中国ですのでこれからもピアノの消費量が伸びるものと思われます。

しかし他国から中国へピアノを輸出すると35%という高率の貿易関税(ちなみに日本はゼロ)を中国に取られるので、今は日本のヤマハ、カワイをはじめヨーロッパの老舗メーカーも、自社のピアノを中国で生産し中国で販売(関税がゼロ)、残りを中国から世界に輸出するという仕組みになっています。

日本やヨーロッパのピアノメーカーも、今は中国で委託生産しており、生産規模の№1がパールリバー(国策会社)、№2が杭州ヤマハ、№3がハイルーン、他にも中国には30社以上のピアノメーカーがあると云われています。

写真は中国№3のハイルーン社の広報誌ですが、ここは主にヨーロッパメーカーのピアノを委託生産しているところです。



多くのヨーロッパのピアノメーカーも中国で委託生産しています。


業界用語でファースト・ライン、セカンド・ライン、サード・ラインという言葉がありますが、これの意味は本国で全て製造されたものがファースト・ライン、他国で半分を委託生産、本国で最終仕上げしたものがセカンド・ライン、全て他国で委託生産されたものがサード・ラインという意味でよく使われます。

本来の意味での日本製、ドイツ製はファースト・ラインですが、前述の事情でヤマハ、カワイをはじめヨーロッパの老舗ブランドも、その多くがセカンド・ラインかサード・ラインで製造されており、今ではファースト・ラインは一部の高級ブランドか高級品に限られます。

ピアノの場合は最終組み立てをした国を生産国とする業界ルールがありますので、矛盾していますがファースト・ラインに加えセカンド・ラインまでが、日本製、ドイツ製等の表示がされています。

お薦めブランド ウェンドル&ラング

お薦めブランド フォイリッヒ

株式会社浜松ピアノ 代表取締役社長

植田 信五


世の中のほとんどのピアノは半分ほどしか持てる性能を発揮していません №3

整調(所要時間24時間以上)が完了してから初めて、調律と整音の順で作業をします。

調律
約230本の弦を引っ張り正しい音の高さに合わせる調整(所要時間1時間~1時間半)
お馴染みの調律シーン


整音
弦を叩くハンマーフェルトの形状を整え、弦との噛み合わせや、針を刺して弾力を整え、全てのハンマーの音色の硬さを揃える調整(所要時間2時間以上~)

ハンマー整形

整音シーン


最後に雑音・共鳴・各ペダルチェックを行って出荷調整が終了します。

ピアノの性能を大切に考える弊社が、なぜ整調の重要性を機会あるごとに主張するか少しご理解頂けたかと思います。

ピアノの性能にとって大切な丁寧な整調や整音ですが、効率重視の現代は、一千万円を超えるあの世界の高級輸入ブランドでさえも、手間(コスト)がかかる整調がかなり省かれてきているので、一千万円以下のピアノなら尚更です。

ピアノの調律とメンテナンス

中古ピアノのメリット・デメリット

株式会社浜松ピアノ 代表取締役社長

植田 信五


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