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新品でも7割、世の中のほとんどのピアノは半分ほどしか持てる性能を発揮していません。

過激なタイトルですがその根拠は、本来の調律の意味は整調・調律・整音の3つの要素が含まれていますが、ほとんどのピアノが新品時から調律だけですまされ整調が全く行われていないことが、本来の性能を発揮させていない理由です。

整調とは
演奏者の指の細かい動きを、鍵盤を通してロスなく、正しく弦の最適な位置をハンマーで叩くように調整し、鍵盤からハンマーまでの動きを全鍵揃える調整(所要時間24時間以上)


たとえば弊社が納品前に行う出荷調整は一連の作業に新品で3日間をかけますが、本来はピアノという複雑な構造を持った楽器はそれが普通のことです。

最初に十分な出荷調整を施したピアノなら、約半日かける定期メンテナンスで、簡単な整調を行った後に調律をして、最後に音色の粒を揃える整音で快適なピアノを維持できます。

今回、弊社が行う一連の出荷調整(納品前に行う整調・調律・整音)を様子を3回に分けてご紹介します。

№1 先ずは1日かかる鍵盤調整から始めます

調整は必ず土台部分から始めて、上に上にと作業を進めていきますので、先ずは土台となる鍵盤を載せている筬と棚板の遊びを無くすことから作業を進めますが、この鍵盤調整だけで新品で1日かかりますが、中古品ならそれ以上の時間がかかります。

作業の前に鍵盤の下掃除から始めます。

ベッティング・スクリューで調整して、棚板と筬(おさ)の無駄な隙間を無くして、鍵盤からの入力ロスを無くします。




フトントキーピンと鍵盤バランスピンを磨きます。


フロントキーピン並び調整


鍵盤バランスキーピン並び調整


鍵盤バランスホール調整


鍵盤バランスホール調整


鍵盤高さ調整


白鍵高さ調整

 
ご覧頂いた通り特別な技術ということではなく、当り前のことを当たり前にやっているだけですが、この鍵盤整調をやるだけでも弾き易いピアノになることは容易にご理解頂けると思います。
  
   中古ピアノのメリット・デメリット
 

当店でピアノを選ぶメリット

 

株式会社浜松ピアノ 代表取締役社長

植田 信五


最近の中古ピアノの事情

日本の中古ピアノの大半が中国に輸出され続け、今ではもう国内にはめぼしい中古ピアノは少なくなっており、その中古ピアノもファーストユーザーからのものはむしろ少なく、古い中古品が何度も再販されて使われたピアノも多く、消耗部品の寿命が心配なピアノが多いのが実情です。※ピアノの消耗部品はハンマーやフェルト類、弦です。

1Fショールームに展示中の内外装をリニュアルした中古ピアノ


 
同じメーカーの同じピアノでも、新品以上に良いと悪いの性能差が出るのが中古ピアノの特徴です。

古いピアノを本来の性能を甦らせるには、目に見える外装の修理や磨きは勿論ですが、内部の錆び落としから始め、部品の修理や消耗部品の交換も必要ですし、それまでの環境や前のユーザーの癖がついているので、新品以上に丁寧な整調や整音が必要ですので、古いピアノにそれなりの性能を期すると、その分コストがかかります。

鍵盤下のピン(バランスキーピン・フロントキーピン)磨き


隣同士の鍵盤の深さを統一しないと音量や弾き心地も揃いません

連打する上でかかせないフレンジコード(白いヒモ)も新品に交換









ここでご紹介した以上に、新品に比べて調整作業に入る前の準備に手間がかかります。
  
きちんとした性能を出そうとすると手間がかかる中古ピアノですが、展示即売会やネット等で安売りされる中古ピアノは、最初からコスト的な制約が強いので、最低限のクリーニングと修理だけで済まされているものが大半になります。

このような中古ピアノは、故障はしないまでも、弾き難く音色や響きが劣り、さらに消耗品の寿命も心配な中古ピアノになりますが、現状では中古ピアノを購入される大半の方がピアノ未経験者なので、性能的には余程のことがない限りクレームにはなりません。

しかし上達してきて音色、響き、タッチ、表現力等の違いが少しでもわかるようになってくると当然不満が出てきますので、それらの性能回復のために新たな再投資(効率が悪いので割高になる)が必要になります。

ですので同じ中古ピアノでも、最初からある程度のコストと時間をかけて部品交換や調整すれば、俗に云うバーゲン価格にはなりませんが、長期的にも快適な性能を発揮するピアノに仕上がります。

中古ピアノのメリット・デメリット

当店でピアノを選ぶメリット

 

 

株式会社浜松ピアノ 代表取締役社長

植田 信五


展示即売会の中古ピアノはなぜ安いのか?

仮に同程度のヤマハのアップライトピアノが、展示即売会では29万円8千円、他店では39万8千円だとすれば25%もの価格差がありますが、どちらがお得かは使用者の価値観で異なります。

特に絶体単価の安い20万円~30万円の中古ピアノの場合、コスト的に手間のかかる作業は極力省かれることが多くなり、外装修理や調律以外の内部の丁寧な整調や整音は期待できません。
 
新品でも同様のことが云えますが、これが使い込まれた古いピアノとなると内部の整調や整音をどこまで丁寧にやるかで、性能に大きな差が出るのが普通です。
 
ですのでピアノが鳴れば良いとお考えの方は安価の方、タッチや音色、響きの気持ち良さや表現力等の性能面に期待すれば、少し値段が高くても内部の整調や整音に良く手が入ったピアノが良い訳ですが、食べれば誰でも違いがわかる食品等と違い、ピアノの場合は自分で演奏してみないとその違いがわからないが厄介です。

新品にくらべ中古ピアノは錆び落としや部品交換等の余分な手間をかけてから、初めて整調・調律・整音に取りかかります。












古いピアノは古い分だけ機能を正常に戻すために、外装磨き以外にも内部の錆び落としや修理、部品交換等の手間がかかるので、単に古いピアノだから安価にはならないことを理解しておく必要があります。
 
中古ピアノのメリット・デメリット

当店でピアノを選ぶメリット

 

株式会社浜松ピアノ 代表取締役社長

植田 信五


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