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目で見るヨーロッパ製ピアノと国産ピアノの違い

打弦時に振動しやすいアップライトのアクションですが、これは本体にしっかりねじ止めできれば問題ないので、別にそのネジの取っ手がプラスティックであろうと金属であろうと性能には関係ないように思いますが、国産はプラスティックのネジ、純ヨーロッパ製のペトロフピアノは真鍮のネジになっています。

ペトロフピアノの真鍮のネジ

ヤマハのプラスティックのネジ


アップライトのダンパーペダルとソフトぺダルのバネが、ヨーロッパ製は板バネ、国産はコイルバネです。

コイルバネはオン、オフなら問題ないのですが、ハーフペダルには対応できません、板バネならペダルを踏む圧力が一定なので任意の効かせ方が可能です。

スタインウェイやペトロフはペダルの微調整が効く板バネを使用

鉄パイプにコイルバネを使用するヤマハ、ハーフペダルのような使い方は難しい。

楽器として箱全体で豊かに響かせるには箱(ケース)の作り(材質)が重要ですが、国産は積層材(接着面がスポンジ状になり響かない)を多用し、ヨーロッパ製は無垢材が多く使われていて、この辺りが楽器としての響きに大きく影響しています。

ペトロフピアノの鍵盤蓋


ヤマハの鍵盤蓋


ペトロフピアノの無垢の支柱

ハンドメイドのペトロフピアノの響板


ヤマハの積層材の支柱

音色も響きも違いますが、外装や椅子のデザインも国産品にはないヨーロッパ文化の伝統と魅力を持っています。


 これだけの違いがありますが、それでいて価格はアップライトで120万円~グランドピアノで310万円~(税、諸費用込み)から購入できる純ヨーロッパ製のペトロフは何とも魅力的なピアノです。
 
お薦めブランド ペトロフピアノ

知っておきたい生産国表示のルール

 

 

株式会社浜松ピアノ 代表取締役社長

植田 信五


国産ピアノとヨーロッパ製ピアノの魅力の違いは?

国産ピアノと違い、まだ昔ながらの工法で製造されている純ヨーロッパ製ピアノは独自の魅力を持っています。

日本を代表するヤマハとカワイピアノ


国産ピアノより少し高価ですが、独自の魅力を持つ純ヨーロッパ製のペトロフピアノとレーニッツシュピアノ 浜松ピアノ店に展示中


なぜ馴染みのあるヤマハ・カワイを選ばず、それらより少し高額な純ヨーロッパ製ピアノをお薦めするのか?ということですが、それは楽器としての魅力や特性が両者でかなり異なるからです。

国産ピアノは多くの販売実績があり、メードインジャパンで安心というところが魅力ですが、今では純国産ピアノ(全てを国内生産)は少ないですし、外装のデザインを含めて、相対的に楽器としての魅力に乏しいというところにあります。

文字で云うと国産ピアノはワープロで書いた文字、ヨーロッパ製のピアノは手書きの文字の違いのような違いがあります。

 ピアノの音色は最終整音でかなり自分好みに仕上げることができますが、やはり違うのが自然な木の明るい音色や箱全体で鳴る響きの魅力です。

国産ピアノは音があまり響かず早く減衰して行きますが、ヨーロッパ製は、音色の好みは別にして、ほぼ例外なく音が良く伸びます。

身近な例で云うとお風呂のなかで歌を謳うと自分の声が良く響き、謳って気持ちが良いのと似ています。

なぜこのような違いがあるのか?ということですが、基本的に楽器に対する考え方(哲学)の違いのようで、たとえば最近のカワイのピアノは、内部のアクションに木の替わりにカーボンファイバーを含ませた新素材を使っており、それを隠すことなく積極的にPRしています。

カーボン素材は木より軽く鉄よりも堅く、工場で均一な部品製作が可能で非常に合理的なのですが、湿気を吸収せず(フェルトやクロスとの相性が悪い)堅いが故に木のようなしなりがないので弾き心地に違和感があります。

このように人工素材は合理的なな反面、不自然で違和感がありますが、これは何を大切に考えるかという楽器作りに対する価値観(哲学)の違いのように思います。

両者を同時に比較ご試弾いただくと、その違いを体感いただけると思います。
浜松ピアノ店 ショールームより

浜松ピアノ店 ショールームより


知っておきたい生産国表示の業界ルール

お薦めブランド

株式会社浜松ピアノ 代表取締役社長

植田 信五


アンティーク(ビンテージ)ピアノの魅力と問題点

普通の中古ピアノとは違い、100年落ちのピアノをリニューアルしたもの、いわゆるアンティーク(ビンテージ)と呼ばれるピアノは、ノスタルジックな魅力があり一部の愛好家に人気があります。

1918年製のペトロフピアノ(京都芸術センター)

右側の1926年製スタインウェイと左の1877年製のグロトリアン・スタインヴェック

1906年製のプレイエル

古いピアノは響板も埋め木して補修します

 
響板の補修し消耗部品であるハンマーや弦、フェルト類を新品に交換したピアノであっても、ピアノ内部には接着箇所が膨大にあり、それらの膠(にかわ)の接着面もさすがに100年も経過すると脆くなっているので、どこが剥がれるかは誰にも予想ができません。

ですからファーストピアノではなく、セカンドピアノとして丁寧に使用し、空調管理(温度湿度)も万全を期す必要がありますが、それでも想定外のところが剥がれて故障する可能性があります。

しかも一旦トラブルとなると修理も厄介なことになることが多いので、メンテナンスの大変さ(費用)も頭に入れておく必要があり、それらを勘案してアンティークピアノのメンテナンスは請け負わない調律師も多いので、何かあってもすぐに駆けつけてくれ、面倒な修理も気軽に対処してくれる、近くに住む古いピアノの修理に長けた調律師の確保が必要です。

ピアノの調律とメンテナンス

ピアノの寿命

 

株式会社浜松ピアノ 代表取締役社長

植田 信五


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