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グランドピアノとアップライトピアノは何が違うのか?

アップライトのメリットはスペース効率が良い(場所を取らない)、製造コストがグランドの約半分(安い)の2点ですが、メカニズムの違いからくる表現力や弾き心地、音の抜け等はグランドの方が断然優れています。

グランドピアノは弦や響板が水平なので背が低く演奏者に圧迫感を与えず音も必要なら遠くに音を飛ばすことができます。

逆にアップライトピアノは背がので演奏者に圧迫感があり、前面の演奏者側はケースで蓋をした状態で、音は後ろ(壁側)に抜けますので演奏者には音が籠って聞こえます。

グランドはダンパーも水平なので引力で自然に下に下がります。


 
弦が水平なのでハンマーも打弦した後は自然に下に戻るグランド。

グランドは鍵盤の奥行きも長く取れ全てに構造が自然です。

また鍵盤の動きをハンマーに伝えるメカニズムが、アップライトピアノは鍵盤を一番下まで押し下げた状態から、元の高さ(10mm)まで鍵盤を上げないと2回目の音を出すことが出来ませんが、それに比べ、グランドピアノは鍵盤を押し下げた状態から半分位上げたところで2回目の音を出すことが出来ます。

結果として連打がアップライトピアノは1秒間に7回、グランドピアノは1秒間に14回連打が可能になります。これはグランドピアノにレペティションレバーシステムという機能が備わっているためです。

さらに、グランドピアノはダンパーペダル、ソフトペダルも自然に機能して、演奏者の細かいテクニカルな表現が可能です。

何を一番重視するかでグランドかアップライトかの選択肢が違います。

同予算で考えた場合、純粋にピアノのより良い(上質な)音色と響きを楽しみたいということを重視すればより高級(高品質)なアップライト、音色や響きよりも高度な演奏テクニックや表現力を重視すればグランドピアノの選択になると思います。

この境界線が大体ご予算200万円前後で、200万円以上のご予算の場合は、スペースが許す限り大概はグランドピアノの選択になります。

物理的な違いは概ね前述の通りですが、そのような価値観とは別に、ピアノを大切な一生ものの楽器として考え(良いピアノを所有する喜び)、自宅でさりげなく良い音色や響きでピアノ演奏を楽しみたいという向きには、良質の小型のアップライトピアノも一つの選択肢かも知れません。

よくいただくご質問をまとめました。

 

 

株式会社浜松ピアノ 代表取締役社長

植田 信五


調律の時期は半年か、1年ごとが適切か?

よくご質問頂く調律の時期ですが、調律(音の高さを合わせる作業)の保持時間は設置環境によりごく短時間でも微妙に狂ってくるのが調律です。

たとえばコンサートホールではコンサートごとに調律をしますが、演奏は勿論ですが、舞台の強い照明でピアノのフレームや弦、響板等が温められ2時間の演奏時間内でも微妙に狂ってきます。

逆に24時間の適切な空調の部屋(楽器保管庫等)にピアノを置くと、1年経過してもほとんど調律は狂いません。

このように設置環境次第で、調律だけでなく整調や整音も変化してきますので、そのようなピアノの特性上、演奏者が違和感を覚えた時がメンテナンスの時期と云えます。

これにはかなりの個人差がありますので、本来は半年とか1年と云う特定の期間というものはないのですが、少しの狂いでも気になる方は早め早めが好ましいと思います。

ところで今後数年は弾かないということであれば、弦楽器が弾かない時は弦を緩めるのと同様にピアノも弦を緩めてピアノ(響板)を休ませるという意味で、無理に調律はしない方が良いと思います。

但し新たに弾き始める時には数回の調律が必要になりますが、ピアノは調律しないと壊れるということはありません。

ピアノの調律とメンテナンス

株式会社浜松ピアノ 代表取締役社長

植田 信五


知っておきたいピアノの生産国表示の業界ルール

現在は中国が世界一のアコスティックピアノの消費国であり生産国ですが、13億の人口を持つ中国ですのでこれからもピアノの消費量が伸びるものと思われます。

しかし他国から中国へピアノを輸出すると35%という高率の貿易関税(ちなみに日本はゼロ)を中国に取られるので、今は日本のヤマハ、カワイをはじめヨーロッパの老舗メーカーも、自社のピアノを中国で生産し中国で販売(関税がゼロ)、残りを中国から世界に輸出するという仕組みになっています。

日本やヨーロッパのピアノメーカーも、今は中国で委託生産しており、生産規模の№1がパールリバー(国策会社)、№2が杭州ヤマハ、№3がハイルーン、他にも中国には30社以上のピアノメーカーがあると云われています。

写真は中国№3のハイルーン社の広報誌ですが、ここは主にヨーロッパメーカーのピアノを委託生産しているところです。



多くのヨーロッパのピアノメーカーも中国で委託生産しています。


業界用語でファースト・ライン、セカンド・ライン、サード・ラインという言葉がありますが、これの意味は本国で全て製造されたものがファースト・ライン、他国で半分を委託生産、本国で最終仕上げしたものがセカンド・ライン、全て他国で委託生産されたものがサード・ラインという意味でよく使われます。

本来の意味での日本製、ドイツ製はファースト・ラインですが、前述の事情でヤマハ、カワイをはじめヨーロッパの老舗ブランドも、その多くがセカンド・ラインかサード・ラインで製造されており、今ではファースト・ラインは一部の高級ブランドか高級品に限られます。

ピアノの場合は最終組み立てをした国を生産国とする業界ルールがありますので、矛盾していますがファースト・ラインに加えセカンド・ラインまでが、日本製、ドイツ製等の表示がされています。

お薦めブランド ウェンドル&ラング

お薦めブランド フォイリッヒ

株式会社浜松ピアノ 代表取締役社長

植田 信五


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