[ ]ピアノ業界の現場力が落ちている!?
過日、大手の技術専門学校の先生と情報交換をさせていただく機会がありました。
菅楽器修理、弦楽器修理、ピアノ調律、合わせて100名程の卒業生の就職斡旋ですが、お話によると若年労働者不足から就職率はほぼ100%のようですが、問題は職場で長続きせず、すぐに辞めてしまうことにあるようです。
先生のお話では菅、弦楽器業界も少子化で盛り上がらず、販売・修理の仕事も減少気味なので、これからは単に壊れたから修理するというのではなく、正常な楽器をさらに演奏者の希望に合わせた高度なチューニングができる技術力がないとこれから先は仕事がなくなるとのことでしたが、これはピアノの調律師も同じです。
調律師の技術力云々という前に、特に調整作業は手間がかかり根気が要る作業の連続ですが、これを順番通りに当たり前のことを当り前にやれる調律師がいないことです。
鍵盤が調整の土台なので、先ずは鍵盤調整から行う必要があります、地味な作業ですが重要な作業です。
このような基本的な整調の作業を手を抜かず、出荷調整は勿論、定期メンテナンス時にもやらないと、調整の土台ですからいかなるピアノも快適な演奏は出来なくなります。
調律師の仕事というのは一般的には、お客様宅で1時間少々の調律で2万円程のお金を稼ぐスマートな仕事と理解され、そのイメージのまま高い授業料(2年間で300万円前後)を払い専門学校に行く人が多いのですが、本来の調整や整音の技術を身につけるには、卒業後最低でも6年~10年の修業期間が必要です。
しかし若い人はこの下積みの修業が苦手な上に、将来の明るいビジョンが見える職場環境が極端に少ないので、音楽やピアノが好きな上に、器用でこのような細かい作業も好きな人でないと長続きしません。
グランドピアノの整調や整音がきちんとできる調律師は極めて少数ですが、一流の調整や整音の技術を身につけると、たとえ将来、もっとピアノ業界が低迷しても、性能を重視するピアノ愛好家の方からは確実に支持されますので、やりがいもあり将来も仕事に困ることはないと考えています。
ピアノの調律とメンテナンス