[ ]調整の基本、ベッティング・スクリューのお話
グランドピアノは棚板と筬(オサ、鍵盤とアクションを載せている)の隙間が湿度変化により不均衡になるので、その都度、調整するためのベッティング・スクリュー(ネジ)があります。
グランドピアノの棚板
筬に載ったまま引き出された鍵盤とアクション
鍵盤側から見たベッティング・スクリュー
筬を裏側見た写真と鍵盤方向から見えるベッティング・スクリュー
丸い金属部分がピアノの棚板と接しており、ベッティングスクリューで金属部分の出方を調整して棚板と筬の隙間を調整します。
(ソフトペダルを踏むと金属部分を接点として筬が移動します)
なぜ棚板と筬の隙間の調整がなぜ基本的に重要なのか?
鍵盤と棚板(ピアノ本体部分)の隙間が大き過ぎる部分があると、鍵盤を叩いてもその部分はパワーロスが生じるからです。
隙間が大きい部分は、鍵盤を叩いても底なし沼の鍵盤を叩いている感じに似てパワーロスが生じて、思ったような打弦ができません。
ですのでこの棚板と筬の調整が上手く出来ていなければ、他をいくら調整しても弾き難く表現力の劣るピアノになります。
この部分は鍵盤やアクションを支える土台ですので、ここの不具合が全てに悪影響を生じさせます。
ピアノの棚板と筬は湿度の関係でたえず伸びたり縮んだりしていますので、すべての調整をする前にこのベティングスクリューによる棚板と筬の隙間の調整が必要です。
大切な調整ですが、現実にはほとんど行われていないように思います。
その理由は土台であるベティング・スクリューをいじると、その上に載っている一連のメカニズムの調整も同時に必要になるので手間がかかるので、業界では日頃からベティング・スクリューを調整する習慣がありませんが、非常に重要な基本的な調整ですので、ユーザーの方も知っておく必要があると思います。
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