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鍵盤の鉛調整(ウエイト調整)についての詳しい解説  №1

鍵盤には必ず鉛が埋め込まれています。



鍵盤の鉛の大きさと埋め込む位置で基本的なタッチ(鍵盤の重さ)が決まります



鍵盤に埋め込まれた鉛の大きさと位置で、鍵盤が何グラムで下がり何グラムで元に戻るかという、いわゆる鍵盤の重さが決まりますが、あまり重くすると(ダウン)今度は鍵盤の戻り(アップ)が遅くなるので弾き難いピアノになりますので、あくまでダウンとアップのバランンスの上に成り立っていますので、鍵盤の重さ(ダウン)は大体50g位が標準としてそれに対して重め軽めになります。

たとえば適切に調整されたスタインウェイの鍵盤の重さ(タッチ)は、S-155~B211までは47gの重さで鍵盤が下がり(ダウン)、20gの重さで上がる(アップ)ように設計されており、セミコンとフルコンサートピアノは低音部が52g~高音部47gになっています。

スタインウェイのような高級ピアノとヤマハ、カワイの高級ピアノはどこが違うのか?

基本設計や材質が違うのはすぐに真似ができるのですが、ヨーロッパの高級ピアノとヤマハ、カワイが決定的に違うのは、日本の高級ピアノは仕上げの最終段階で丁寧な調整が行われず、加えて鍵盤の鉛の埋め込みも一律に埋め込まれているので、結果的に鍵盤の重さが不均衡となり、せっかくの高級ピアノであっても気持ち良く弾けません。

真の高級ピアノは丁寧な仕上げの調整(鍵盤、アクション、ダンパー)を行った上で、鉛(ウエイト)調整も一鍵、一鍵について鉛調整を行うので、設計通りの均一なタッチを実現しているので、弾くと気持ちが良いタッチになっています。

ヨーロッパの高級ピアノのように最終段階で職人の手間(丁寧な調整と鉛調整)をかけないと真の高級ピアノには仕上がらないのですが、そのためのコストアップもさることながら、そのような技術者を育てていないので日本のメーカーには同じことができません。

鍵盤の裏側にひかれた線が写真からわかりますでしょうか?(写真はヤマハのグランド)
いわゆる量産ピアノメーカーの場合は、メーカー工場でこの線に沿って画一的に鉛を埋め込むための目安に写真のような線がひいています。 

真の高級ピアノは、全ての擦り合わせ調整が終了してから、鍵盤ひとつ一つのアップとダウンを測定してからを手作業で鉛の大きさと位置を決めます。このあたりが高級ピアノメーカーと量産ピアノメーカーの一番の違いです。

鍵盤の重さを均一にするために弊社で国産グランドの一鍵ずつ重さを計測して穴をあける位置に印をつけているところですが、こうすることにより国産の普通のグランドでも準高級ピアノになり弾いて気持ちが良いピアノに仕上がります。

鍵盤ウエイト調整風景


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株式会社浜松ピアノ 代表取締役社長

植田 信五


1967年製ヤマハU1を完全オーバーホール中です!

元々は黒色で足もストレート脚でしたが、黒の塗装を剥いで下地を出した上で、塗装の下に眠っていた本来の自然な木目を出しウォルナット艶消して脚も猫脚に改造、似合いのイタリア製の椅子を付けてみました。

1967年製ヤマハU1


外装は見ればわかりますが、問題は中身の消耗部品です。
弦はドイツのレスロー、低音域の巻線はデーゲンに張り替え、ハンマーもドイツの高級なアベル、チューニングピンも新品に交換しました。





消耗品の交換が完了後、丁寧に調整しましたので、いつもの田中先生に弾いてみてもらったところ、ソフトな音色にも関わらず良く鳴るピアノに仕上がり、隣に展示してあるシャンシャンといういつものヤマハとは別物の魅力的な音色に仕上がりました。

私見ではここまでやるともう十分ではと思いますが、完璧性?の弊社の三木君は、これから鍵盤の鉛調整をしてタッチ(重さ)を均一にするそうなので、完成までもう少し時間がかかるようです。

古いヤマハのアップライトでここまで手を入れたピアノは他にないと思います、その訳は、ここまで手を入れてもヤマハの中古ピアノということであればあまり高く売れないので、個人の思い出のピアノ以外は普通、ここまでやらないからです。

理論的には、古いピアノは古い弦楽器同様に木が固く強固になっているので楽器として新品より優れたものになりますが、弦楽器と違い構造が複雑なピアノは劣化した消耗品の交換に手間(コスト)がかかるので、スタインウェイのような高級ピアノでないと採算が取れないので普通はやりません。

ちなみに完成後の販売価格は本体とイタリア製の椅子、木製インシュレーター等の付属一式、税込で約80万円を予定しています。

それを普及品のヤマハのU1(高さ121㎝)でやったわけですが、ここまでやると上記の理論を証明することができるという意味で意義あるように思いますが、ぜひピアノ愛好家の方は話のタネに、ぜひご試弾ください。

ところで鍵盤の鉛調整ですが、鍵盤には必ず写真のように鉛が埋め込まれていますが、1千万円クラスのスタインウェイ等は新品時にメーカーで一鍵、一鍵、個々の鍵盤の重さを測りながら鉛を埋め込みますが、国産ピアノの場合はたとえ高級グランドでも一律に鉛を埋め込むので、鍵盤の重さが重い鍵盤と軽い鍵盤ができて弾き難くなります。

それの解消のためには二度手間になりますが、改めて鍵盤ひとつ一つの重さを測定して、古い鉛をは外してからその後を埋め木をしてから、あらたに鍵盤の適切な位置に適切な重さの鉛を入れる作業をすることです。

鍵盤に埋め込まれた鉛



良く調整をしてからが条件ですが、一つひとつの鍵盤の鉛調整をすると均一なタッチになります。

鍵盤の鉛調整作業








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ヤマハとカワイ、どっちが好いですか?というご質問  №2

昔はお客様からそのようなご質問を頂くことが多かったのですが、今でも時々いただきます。

今のようなグローバル経済の時代では、ピアノも昔のように浜松で下請けも含めてピアノを一から作るということはなく、最大市場の中国の高関税の問題もありますが、一番効率的に生産できる国で、できる限り工業化して制作するので、そのようにして作られたピアノはどこも似たようような品質になりました。

ヤマハ、カワイの企業風土の違いはありますが、昔のように極端に品質の劣るピアノは今はなくなり、あるのは極論ですが割高なピアノと割安のピアノがあるだけのように思います。

メーカーは国際コンクールに出展してブランドイメージの構築には熱心ですが、実際に市販されるピアノとは大きく異なります。つまり高級イメージを先行させて価格は高級(高額)ですがカタログで謳うほどの高級な性能を出しているようにはとても思えません。

今日はたまたまカワイの技術の幹部の方が来店されたので、そのあたりのことを詳しくご報告したので、品質管理会議で報告するとのことでしたが、真の高級ピアノ作りには現場の若い技術者を時間をかけて育てていく必要があるのですが、それには相当な時間とお金が必要です。

そのためにはメーカーのトップもそれなりの覚悟が必要ですが、現状ではヤマハもカワイもトップの調整の重要性の認識と理解が不足しているように思われます。







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