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鍵盤の鉛調整(ウエイト調整)についての詳しい解説  №2

鍵盤の鉛調整(ウエイト)を行うには前提条件があります

鍵盤の鉛(ウエイト)調整作業そのものは、手慣れた技術者なら1日の作業時間で完了しますが、鉛調整を行う前に、必ず鍵盤、アクション、ダンパーの丁寧な調整をやる必要があり、これだけで一通りやるには手慣れた技術者で新品で3日間の作業時間(中古品ならその倍以上)が必要になります。

ピアノは自然素材を主体とした鍵盤、アクション、ダンパーの複雑なメカニズムがお互いに微妙にリンクしていますので、これらの伸縮と歪みを修正した上で、それらの丁寧な擦り合わせ調整を行う必要があります。

それを行って初めて本来の個々の鍵盤に必要な重さがわかりますので、これなくしていきなり鉛調整を行っても、本来の調整をした時の鍵盤の重さが不均衡になるので鍵盤の鉛調整を行う前に必ずメカニズム全体の調整が必要になり、それが鉛調整の前提条件です。

なので今お使いのピアノの鍵盤が重いからと云っていきなり鉛調整はできず、その前にメカニズム全体の調整が必要になります。

鍵盤の鉛調整の前にすべての動的メカニズム(鍵盤、アクション、ダンパー)を、必ず丁寧に調整する必要があります。






動的なメカニズム(鍵盤、アクション、ダンパー)の調整が完了してから、一鍵、一鍵、どこにどの大きさの鉛を埋めれば良いかを調べます

鉛の種類



今までの鉛を抜きその後を埋め木します。

形を整えます

新たに鉛を埋める穴を開けます

新たな位置に適切な鉛を埋め込みます



最適な鍵盤を重さにするためにはこれだけの手間がかかりますが、弊社から出荷するピアノは新品、中古品に関わらず、全てのピアノを納品前に丁寧な調整を施しますので、さらに快適なタッチをお望みの方には10万円で一鍵、一鍵、鉛調整を行います。

鉛調整をして頂いたお客様から感想を頂きました

ディアパソン164R、納入されました。ショールームで弾いた時とは別物に仕上がっていました。どこのホールのフルコン?という感じの弾き心地です。娘は近場のホールはかなり弾いていますが、ホールのピアノより弾きやすい、あったかい音も好き、心地いい、とのこと。鉛調整していただいて大正解でした。
一千万のピアノの意味が分かりました。他も丁寧に調整いただいたのだと思います。

一旦に納品してからでは、お届け先ですべての調整と鉛調整は困難ですので、一旦、ピアノを弊社でお預かりしますので、お客様にかなりの金額のご負担になります。

 

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株式会社浜松ピアノ 代表取締役社長

植田 信五


鍵盤の鉛調整(ウエイト調整)についての詳しい解説  №1

鍵盤には必ず鉛が埋め込まれています。



鍵盤の鉛の大きさと埋め込む位置で基本的なタッチ(鍵盤の重さ)が決まります



鍵盤に埋め込まれた鉛の大きさと位置で、鍵盤が何グラムで下がり何グラムで元に戻るかという、いわゆる鍵盤の重さが決まりますが、あまり重くすると(ダウン)今度は鍵盤の戻り(アップ)が遅くなるので弾き難いピアノになりますので、あくまでダウンとアップのバランンスの上に成り立っていますので、鍵盤の重さ(ダウン)は大体50g位が標準としてそれに対して重め軽めになります。

たとえば適切に調整されたスタインウェイの鍵盤の重さ(タッチ)は、S-155~B211までは47gの重さで鍵盤が下がり(ダウン)、20gの重さで上がる(アップ)ように設計されており、セミコンとフルコンサートピアノは低音部が52g~高音部47gになっています。

スタインウェイのような高級ピアノとヤマハ、カワイの高級ピアノはどこが違うのか?

基本設計や材質が違うのはすぐに真似ができるのですが、ヨーロッパの高級ピアノとヤマハ、カワイが決定的に違うのは、日本の高級ピアノは仕上げの最終段階で丁寧な調整が行われず、加えて鍵盤の鉛の埋め込みも一律に埋め込まれているので、結果的に鍵盤の重さが不均衡となり、せっかくの高級ピアノであっても気持ち良く弾けません。

真の高級ピアノは丁寧な仕上げの調整(鍵盤、アクション、ダンパー)を行った上で、鉛(ウエイト)調整も一鍵、一鍵について鉛調整を行うので、設計通りの均一なタッチを実現しているので、弾くと気持ちが良いタッチになっています。

ヨーロッパの高級ピアノのように最終段階で職人の手間(丁寧な調整と鉛調整)をかけないと真の高級ピアノには仕上がらないのですが、そのためのコストアップもさることながら、そのような技術者を育てていないので日本のメーカーには同じことができません。

鍵盤の裏側にひかれた線が写真からわかりますでしょうか?(写真はヤマハのグランド)
いわゆる量産ピアノメーカーの場合は、メーカー工場でこの線に沿って画一的に鉛を埋め込むための目安に写真のような線がひいています。 

真の高級ピアノは、全ての擦り合わせ調整が終了してから、鍵盤ひとつ一つのアップとダウンを測定してからを手作業で鉛の大きさと位置を決めます。このあたりが高級ピアノメーカーと量産ピアノメーカーの一番の違いです。

鍵盤の重さを均一にするために弊社で国産グランドの一鍵ずつ重さを計測して穴をあける位置に印をつけているところですが、こうすることにより国産の普通のグランドでも準高級ピアノになり弾いて気持ちが良いピアノに仕上がります。

鍵盤ウエイト調整風景


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植田 信五


1967年製ヤマハU1を完全オーバーホール中です!

元々は黒色で足もストレート脚でしたが、黒の塗装を剥いで下地を出した上で、塗装の下に眠っていた本来の自然な木目を出しウォルナット艶消して脚も猫脚に改造、似合いのイタリア製の椅子を付けてみました。

1967年製ヤマハU1


外装は見ればわかりますが、問題は中身の消耗部品です。
弦はドイツのレスロー、低音域の巻線はデーゲンに張り替え、ハンマーもドイツの高級なアベル、チューニングピンも新品に交換しました。





消耗品の交換が完了後、丁寧に調整しましたので、いつもの田中先生に弾いてみてもらったところ、ソフトな音色にも関わらず良く鳴るピアノに仕上がり、隣に展示してあるシャンシャンといういつものヤマハとは別物の魅力的な音色に仕上がりました。

私見ではここまでやるともう十分ではと思いますが、完璧性?の弊社の三木君は、これから鍵盤の鉛調整をしてタッチ(重さ)を均一にするそうなので、完成までもう少し時間がかかるようです。

古いヤマハのアップライトでここまで手を入れたピアノは他にないと思います、その訳は、ここまで手を入れてもヤマハの中古ピアノということであればあまり高く売れないので、個人の思い出のピアノ以外は普通、ここまでやらないからです。

理論的には、古いピアノは古い弦楽器同様に木が固く強固になっているので楽器として新品より優れたものになりますが、弦楽器と違い構造が複雑なピアノは劣化した消耗品の交換に手間(コスト)がかかるので、スタインウェイのような高級ピアノでないと採算が取れないので普通はやりません。

ちなみに完成後の販売価格は本体とイタリア製の椅子、木製インシュレーター等の付属一式、税込で約80万円を予定しています。

それを普及品のヤマハのU1(高さ121㎝)でやったわけですが、ここまでやると上記の理論を証明することができるという意味で意義あるように思いますが、ぜひピアノ愛好家の方は話のタネに、ぜひご試弾ください。

ところで鍵盤の鉛調整ですが、鍵盤には必ず写真のように鉛が埋め込まれていますが、1千万円クラスのスタインウェイ等は新品時にメーカーで一鍵、一鍵、個々の鍵盤の重さを測りながら鉛を埋め込みますが、国産ピアノの場合はたとえ高級グランドでも一律に鉛を埋め込むので、鍵盤の重さが重い鍵盤と軽い鍵盤ができて弾き難くなります。

それの解消のためには二度手間になりますが、改めて鍵盤ひとつ一つの重さを測定して、古い鉛をは外してからその後を埋め木をしてから、あらたに鍵盤の適切な位置に適切な重さの鉛を入れる作業をすることです。

鍵盤に埋め込まれた鉛



良く調整をしてからが条件ですが、一つひとつの鍵盤の鉛調整をすると均一なタッチになります。

鍵盤の鉛調整作業








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