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アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリの言葉

みんなのピアノ選びから抜粋


 ミケランジェリ-伝説のルガーノリサイタル1981 -DVD~付属ライナーノーツを読んで~
 
ライヴ映像を撮影したディレクター、ヤーノシュ・ダルヴァシュの話に、確かピアノはミケランジェリ自身の楽器だったと思う、もしかすると、この演奏会の少し前にドイツ・グラモフォンの録音で使われたものかもしれないという気になる記述を見つけました。
 
 リサイタルの2か月前に収録したミケランジェリ初のデジタル録音は1910年代のスタインウェイが使用されていますが、リンクの動画からも新品では醸せない深い味、温かい響きが聴こえてきませんか?

1981年スイス・ルガーノでのライヴ録音

  
また、1974年に来日した時のインタヴュー(『レコード芸術』1975年1月号に掲載されたもの)も紹介されており、ここでミケランジェリは当時、現在のピアノ製造の在り方にも通ずる問題点を語っています。以下、 そのインタヴューの記事より引用。

-ピアノは今後さらに構造的に変わっていくとお思いですか?

A.B.ミケランジェリ
さらに良くなるということより、前の状態に戻ることが先決問題だ。今でも良いピアノを作れないことはないのだが、生産の方式がアメリカになり、なんでも作ればよいという状態になってしまった。

早く作らなければならないために、部分品の質が低下し、安く作るために良い材料を使わなくなった。つまり、大量生産をするために、製作期間が短くなった。どんな小さな楽器でもそうだが、ことにピアノは手工業的に作られるべきもので、絶対に工場で大量生産するべきものではない。

みんなのピアノ選び
 
 

株式会社浜松ピアノ 代表取締役社長

植田 信五


ディアパソンD-164R 整調編③

今日も我が息子が来ています。

季節に似合わず腕と脚にぐるぐる包帯しながら鼻水を垂れて・・・鼻風邪とトビヒに同時に闘っております。

 

来月で1歳になりますが、この1年間で何度高熱を出したことやら。

色んな菌と闘ってますますたくましくなってくれることを願っています。

 

 

では、ディパソンD-164Rの整調の続きです。

 

弦合わせ調整でハンマーのポジションが決まったら、次はハンマーと鍵盤の奥にある黄色い部品(バックチェック)の噛みあわせの調整です。

 

 

 

続いて、ハンマーを支える棒(シャンク)の下にあるサポートという部品が真下にくるように調整するサポート合わせ調整です。

これは野球のバットやテニスのラケットの芯(中心)にあてることで、少ない力で無駄なく飛ばすようなもので、サポートの左右のズレを修正しハンマーの真下に持ってくることで鍵盤からのパワーをもれなくハンマーに伝えることができます。

 

 

【整調項目】

・ネジ締め(アクション・キーフレーム・本体)
・鍵盤(バランス・フロントキーピン)磨き
・鍵盤(バランス・フロントホール)調整
・棚板調整
・鍵盤(白鍵・黒鍵)高さ調整
・弦合わせ(走り・傾き・間隔)調整
・サポート合わせ調整
・バックチェック合わせ調整
・ジャック位置(前後・高さ)調整
・鍵盤白鍵深さ(沈み量)調整
・ハンマー接近調整
・ハンマードロップ調整
・打弦距離調整
・鍵盤黒鍵深さ(沈み量)調整
・ハンマーストップ調整
・レペティションスプリング調整
・シフトストップネジ調整
・ダンパーレバー・ブロック調整
・ダンパーかかり(始動)調整
・ダンパー総あげ調整
・ダンパーストップレール調整
・ソステヌートロッド調整
・各ペダル調整(踏み込み量・遊び量)

 

 

まだまだやるべきことがたくさんあります。続きは来週の火曜日です。

少しずつの作業なので完成するまでご試弾はできませんが、今月半ばまでには仕上がると思います。

 

 

 

>>>お薦めブランド ディアパソン

>>>調整の必要性

 

 

 

 

1台1台丁寧な調整を心がけています

三木 淳嗣(委託調律師)


アドバイスとセールストークを分けて考えましょう

みんなのピアノ選びから抜粋


同じスタインウェイでも音色は一台一台違い、同じ音色のものはないといっても過言ではない。よく日本のピアノ店へ行って選ぼうとすると、店員さんが、「わが社のピアノは全部同じ音で、お選びになる必要はありません」などというが、あれはウソである。
・・・(中略)・・・

同じ30万円のピアノでも、40万円の値打のものもあれば、20万円でも高いと思われる音のものに出会うこともある。どんな安物ピアノを買う時でも、よくわかる人に選んでもらわなければ損だ!・・・
高城 重躬『スタインウェイ物語―ピアノのメカニズムと演奏技法』(ラジオ技術社)

如何でしたでしょうか。
そのスペックに明らかな欠陥や手抜きがない限り、ピアノが音楽的に機能しているならば、後はお客様のお好みで選べば宜しいのではないかと私は考えています。

昔はピアノの情報を得る手段が少なく、予備知識のない方ばかりだったため、「あのピアノはアクションにプラスチックを使っているから問題あります」「合板が使われているピアノは音の響きが良くないですよ」「外国製は狂いやすいから日本製のピアノにした方が間違いありません」

店員によるネガティブキャンペーンのような売り文句がまことしやかに通用していました。どれも確固たる根拠のないものばかりなのですが…。

気の毒なのは、こうした話に惑わされて、結果的に粗悪なピアノを購入してしまったお客様です。

ハンマーフェルトだけドイツ製品を採用、 ブランド名をドイツ語で冠しただけの東南アジア製ピアノなのに、我が家のピアノはドイツ製と信じて疑っていないユーザーを今までに何度もお見かけしてきました。

よほどセールストークでスペックばかり強調されたのか、もはや洗脳商法に近いものを感じます。ただ、当時と違って、現在はパソコンや携帯電話が普及した高度な情報化社会です。

インターネットで検索すれば、仕様の違いのみならず音の違いまで聴覚的に比較することも可能ですし、そのメーカーについての他のユーザーの感想や調律師の意見を求めることも出来ます。

となれば、スペックを主とした説明では、すでに情報収集したお客様には満足して貰えないのでは??と私は思うのですが、いまだ多くの店で相変わらず前時代的なセールスが展開されています。

これでは販売低迷も致し方なし、本当にピアノが好きな方の支持を得られる訳がありません。

そんなマンネリズムに陥っている販売の現場が変わるために、勿論あなたが有益な情報を得るためにも、ひとつ私から提案があります。

ピアノを見るために店を訪れたとき、まずはどのような音やタッチが好きなのか店員に伝えましょう。

「○○○(楽曲、ピアニスト、作曲家など)が好きなんですけど、どのピアノがあなたのオススメですか?」

「このピアノの音色に良く合いそうな楽曲がありましたら教えて下さい」等と、ご自身の音楽的な好みを話してみるのも面白いと思います。どんな反応が店員から返ってくるでしょうか。

音楽を知る者であれば、スペック以外の切り口からも“そのピアノの良さ”を説明してくれるはずです。

あなたの嗜好に合わせて、または楽器の特色を活かして、気になるピアノでパラパラと弾いてくれたら、ただ言葉だけで設計や材質のウンチク話を聞かされるよりも、よほど説得力がありませんか?

こんなことを言うと、お客に先入観を与えるから良くない!と異議を唱える人がいるかもしれませんが、個人的な意見を自重して控えるのと、質問されて答えられないのとでは大きな違いです。

「この料理に合うワインを」と尋ねられて答えに困るソムリエを、はたしてお客様は信頼するでしょうか。

強く惹かれるピアノが定まりましたら、調整をおこなった調律師にも解説をお願いしましょう。
自分好みの音やタッチに近づけて貰えるか、遠慮なく相談してみては如何でしょうか。

弊社店頭で調律師(三木)の立会いでご試弾中のお客様
 
浜松のカワイ竜洋工場で、ディアパソンをご家族で選定中のお客様


調整した本人にしか分からないこともありますし、ピアノ内部の状態、作業内容、その楽器の個性など、カタログやネットには書かれていない裏情報を教えてくれると有難いですね。

納品後の付き合いまで考えると、むしろ技術的な責任を負う調律師の方が本音を語ってくれるかも…。
     
私の考えるピアノ選びの基本ポイント常にお客様の側から好奇心をもってアプローチすること。営業マンや調律師に対して、気兼ねしたり、受身にまわる必要は全くありません。

音楽的(楽曲、半音階などを弾くことで、音とタッチを確かめる)
品質的(内部のアクション、響板などを覗いて、ピアノの構造や調整状態を確かめる)に自分に相応しいピアノをじっくり品定めすることは、間違いのないピアノ選びの必須条件です。

それは、とりもなおさずピアノには個体差があるから、アタリとハズレが存在するから。 

 何十万円、何百万円と支払う金額を考えれば、ためらうことなく 店のスタッフには質問を重ねるべきです。

本来アコースティック楽器に個体差は付き物。購入前に吟味するのはヴァイオリン等では当然の行為です。

どうもピアノは工業製品のイメージが強いのか、そうした認識が希薄な方が多いようです。実物を見も聴きも触りもしないでネットで注文する等、あまりにもリスキーな買い物と言わざるを得ません。

見る眼、聴く耳の肥えた消費者が増えてくれば、必然的に販売側もサービス改善に迫られることでしょう。

とくに高級ピアノを販売する人間は、単なる知識の受け売りや安易な値下げ話を持ち出すのではなく、楽器に対する愛情と深い見識のもと、“そのピアノ”の個性と価値を的確に伝えるスキルが必要となります。

これからのピアノ選びは質と個性の時代。
それにはプロのアドバイザーが接客現場に欠かせません。
マニュアルではなく顧客目線で、自分の言葉でピアノの魅力を語れる人材の育成は業界の急務ですね。

☆POINT
ピアノ選びで最後に明暗を分けるのは、 メーカー選びでも、店選びでもなく、むしろ店員選び!?音楽性と品質を満たすピアノを責任もって選別してくれるスタッフを見つけましょう。 

みんなのピアノ選び
 
 当店でピアノを選ぶメリット
 

株式会社浜松ピアノ 代表取締役社長

植田 信五


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