[ ]鍵盤が重くて困るというご相談をよく頂きます
「うちのグランドピノは鍵盤が重くて重くて、弾きづらいのでなんとかならないですか?」というご相談で依頼者宅にお邪魔して、まずは鍵盤のダウンウエイトを計測してみました。
あくまでも基準ですが、50gの重りを鍵盤に置いてゆっくり下がる位が標準で、それより数字が小さいと軽め、数字が大きいと重めとなります。スタインウェイはS~B型のダウンウエイトが47gです。
中音部のダウンウエイトを数鍵分計測すると、なんとほとんどが69g・・・これは重いはずです。
部品の摩擦抵抗が多すぎ、部品の動くタイミングが合っていない。簡単にいうと、調整が不十分なだけです。これをきちんとやると本来の重さに戻ります。
鍵盤を外した土台の部分をチェック。
この細長い金属のピンはバランスキーピン。
鍵盤はこの部品に擦れながら動きますが、かなり錆びや汚れがあります。
1本だけ磨いてみました。
バランスキーピン88本を1本ずつ磨きます。
ピカピカに戻りました。
手前のフロントキーピン88本も同様に。
鍵盤とアクションメカニックの結合部分
キャプスタンスクリューも磨いて摩擦抵抗を最小限に抑えます。
鍵盤がスムーズに動くよう調整(解説はこちら→フロント・バランスホール調整動画)
この黄色い部分に部品が擦れて動くので、表面にテフロンパウダーを擦り込み摩擦抵抗を減らします。
ジャック調整(解説はこちら→ジャック調整動画)
ハンマー接近調整(解説はこちら→ハンマー接近調整動画)
まずは最初に計測した数鍵と同じ位置でダウンウエイトを計測。69gだった鍵盤が・・・なんと、ほとんどが51gまで軽くなりました。
このように調整だけでも鍵盤はずいぶん軽くなりますが、それでも重い場合、最後の手段として鍵盤の鉛調整を行い鍵盤(ダウン・ウエイト)を軽くします。
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資料をご覧になった方の感想
弦楽器や他の楽器と違うピアノならではの特殊性をご理解頂くためのもので、一旦ピアノの特殊性をご理解頂くとピアノという楽器に対する概念や対処も大きく変わり、これまで以上にピアノと良い関係が築けます。
浜松ピアノ店代表 植田信五
筆者プロフィール
ネット上では公開できない業界の矛盾店や裏話を満載、全44ページのピアノ選びの新しいバイブルです DVD付