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高級ピアノの定義、真の高級ピアノとは?

カワイのシゲル・カワイやヤマハのSXは国産の高級グランドシリーズですが、このシリーズは共に厳選した素材を使用、ベテランの職人が手作業で仕上げ丁寧な整調と整音を行い、メンテナンスも一流の技術者が担当するという内容のPRをしています。



しかしお隣の市のホールに設置されているメンテナンスをしたばかりのヤマハのS6は、鍵盤が重くて弾き難く演奏者からの評判が悪いし、シゲル・カワイは鍵盤の鉛調整を弊社のような販売店で行わなけれならないほど調整もできていない現実をみると、最近はこれらのPR内容に強い違和感を覚えます。

ピアノは大きなピアノほど弾き応えがして魅力的になりますが、真の高級ピアノは小型のものでも魅力的です。

たとえばスタインウェイの小型グランドのS-155(奥行155㎝)は名器をとも云われますが、その意味は小さなグランドに似合わず魅力的という意味で使われますし、イタリアの高級機、ファツィオリのF-156(奥行156㎝)を試弾されるとコンパクトなボディーながら感動ものの性能を発揮します。





その理由は、これらの高級ピアノはメーカーサイドで鍵盤調整を含めて丁寧な整調を行い、その上で鍵盤一つひとつのダウンウェイを測った上で鍵盤一つひとつに最適な鉛を埋め込んでいますので、国産高級ピアノのように十分な調性を行わない上に、規定に沿って一律に鍵盤に鉛を埋め込むのでは、実際に弾いた時の弾き心地が全く違ったものになります。

これらの問題点は本気で現場の聞き取りをやればすぐわかるはずでメーカーがその気になれば、これらの問題点もすぐに解決できることですが、今はヤマハもカワイも直営店が販売の主力なので、現場からの耳の痛い話はメーカーの経営幹部まで伝わらないのが原因のように思います。

余談ですがその昔、浜松の掛川のヤマハのグランドピアノの出荷調整をしている20代の若い調律師が、弊社の調整に興味を持ち1日かけて弊社に訪ねてこられたことがありました。

彼の話を聞くと、ヤマハグランドのレギュラーシリーズの出荷調整は2時間半、高級なSシリーズで8時間(ざっとやるだけで24時間は必要)だそうで、しかも高級なSシリーズはベテラン技術者がやるのかと聞くと、調律の専門学校を出て数年の彼らがやるのだそうで、PRの内容と実際はずいぶん違ったものでした。

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株式会社浜松ピアノ 代表取締役社長

植田 信五


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