[ ]ファツィオリのメンテナンス in 高知県
今日は高知市M様宅へメンテナンスでお伺いさせていただきました。
ピアノはファツィオリF183
作業に入る前に気になっていることをお尋ねすると、「中低音部に比べてメロディラインでよく使う次高音あたりで耳につく音がある。曲を弾いている時に気になる」とのこと。以上の点を踏まえて作業にとりかかりました。
多くの方が誤解しているのが、どのメーカーも基本構造はだいたい同じなのでメンテナンスもほぼ同じです。要は調律だけでなく整調・整音を含んだ3点セットをちゃんとやるかどうかがピアノのコンディションを整える上で最も重要なことです。
ピアノは、鍵盤に触れ間接的にアクションを操作してハンマーで弦を叩き音が出ますが、動くように調整します。この作業を「整調」といい、タッチ感だけでなく音色の核になる部分を作り出します。
まずは土台(鍵盤の下)に髪の毛・ホコリ・木屑等の掃除をし、最小限の摩擦抵抗にする為鍵盤のピンの向きを揃えたり、鍵盤のピンを88本磨き、全て同じ滑り具合にします。少し黒ずみがありました。
鍵盤を左右に動かし適度な遊びがあるか確認、遊びがない鍵盤には
赤いクロスを圧縮して適度な遊びを作ります。
遊びが多過ぎると今度はガタツキになり弾いた時に鍵盤がカタカタと
震えますので、両方のチェックをします。
アクションと棚板の隙間の調整(棚板調整)と、鍵盤の高さを揃える調整。
アクションのジャックという部品の前後と高さの調整。
連打やキレイなピアニッシモを出すための元になる部分です。
ジャックという部品の動きのタイミングを揃える「ハンマー接近調整」と「ハンマードロップ調整」
この調整でタッチ感だけでなく音の輪郭がぼんやりかクッキリか、伸びにも大きく関わります。
打弦後のハンマーストップの位置を弦から15mmに揃えます。
これがキレイに揃わないとピアニッシモ〜フォルテッシモが正確に出ません。
ハンマーフェルトの下にある黄色い部品(バックチェック)のワイヤーを前後に曲げで調整します。
スプリング調整。ジャックという部品を早く戻してあげる為の通常アップライトピアノにはないレペティションレバーの調整。
このスプリングが弱いと連打やトリルが入りませんし、強いとピアニッシモがキレイに入りません。
ハンマーが弦に圧縮されて溝(弦溝)がついてきたので、圧縮された部分を
ブラシでかきだし形状をリセット。無駄に削ったりしなくて済みます。
左から数えて49番目のA(ラ)を442Hzに合わせて調律。
鍵盤を1鍵ずつ弾いていき、硬くなった音のハンマーに少し針を入れてほぐし、
隣同士違和感ないように整音します。
今回の要望には、アクションの動きのバラツキ・調律・ハンマーの硬さの
バラツキを調整しただけですが、奥様に確認をいただき、
「メンテナンス直後はいつも音が変に分散せずまとまってるのが不思議〜」
とのことでOKいただきました。
奥様と旦那様と楽しいお話も出来て時間を忘れ長居させていただきました。
M様お世話になりありがとうございました。