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アンティークピアノの魅力と問題点

一部の愛好家にノスタルジックな魅力で人気があるアンティークピアノ(いわゆる100年物)ですが、オーバーホールをすれば味があり魅力的な音色のピアノに仕上がります。

ただ弦楽器と違い内部構造が複雑なピアノは、内部に膠(ニカワ)を使った膨大な接着箇所があり、それらは100年かそれ以上昔の接着ですので、それらの接着が突然剥がれる懸念があり、想定外のトラブルが起こる可能性があります。

またトラブルがひとたび起これば、その修理に面倒な手間がかかることが多いので、維持管理には細心の注意が必要です。

ですからアンティークピアノはセカンドピアノとして大切に使用し、設置環境(温度・湿度)にも特に気を使う必要があります。

1926年製のスタインウェイ(右)と1877年製グロトリアン・スタインヴェック(岡山市)



1906年製のプレイエル(田中節夫氏所有)

 


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株式会社浜松ピアノ 代表取締役社長

植田 信五


ピアノの寿命は設置環境から大きな影響を受ける

ピアノは木材やフェルトを多用した楽器なので温度と湿度の管理が大切です。

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鍵盤周辺も木とフェルト、金属が微妙にリンク、湿気で木やフェルトが膨らんだりピンが錆たりするとタッチに悪影響が出ます。

鍵盤の動きにも適度な遊びが必要です、湿気も過乾燥も悪影響を及ぼす

低音域の巻線も湿気で錆びて雑音が出てくると巻線の交換が必要になります。

ピアノの近くに温湿度計を置いて部屋の温度・湿度のチェックが必要です。

冬場の乾燥した部屋には加湿器を

エヤコンや除湿機で適度な湿度を保つ


室温と調律の関係が良くわかります



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植田 信五


フォイリッヒの出荷調整(後編)

北海道に納品予定のフォイリッヒ122、前回フォイリッヒ出荷調整(前編)の続きです。

 

 

定規をあててバックチェック(緑色のフェルトがついた部品)の傾きをチェックし同じ向きに揃えます。
ハンマーが打弦した後にこのバックチェックで受け止めます。

 

 

 

今度はワイヤーを曲げて奥にあるキャッチャーという部品(黄色いスキンがついている部品)との噛み合わせを調整します。

 

 

鍵盤の奥に付いているキャプスタンスクリューを上下させて、矢印のジャックという部品が隙間なくいくように調整。

 

 

次は鍵盤の傾きを調整します。
平らな定規を鍵盤の上に置くと白鍵が傾いているのがよく分かります。
バランスキーピンを左右に動かして(アクリル棒でコンコンと叩いて微調整してます)調整。

 

 

 

白鍵の高さの調整、数種類の紙を抜き足しして鍵盤の高さを隣同士揃えます。

 

 

鍵盤の間隔も揃えます。レとミが異様に空いてますね。鍵盤の傾きと高さを合わせて最後に間隔の調整です。

 

 

 

 
【Before】白鍵の上面が凸凹があります。


【After】凸凹がなくなり平らになりました。

 

  

黒鍵の間隔(手前・真ん中・奥の間隔)を揃え高さを白鍵から12mmに揃えます。

 

 

 

高さがキレイに揃ったら鍵盤の深さ(沈む量)の調整です。

高さ同様鍵盤の下に数種類の厚みのドーナツ状の紙を抜き足しして10mmに揃えます。黒鍵も揃えます。

 

ジャックという部品が手前に脱進するタイミングを揃える調整。ハンマーに近づけた時の弦との隙間を見て揃えます。

 

 

打弦後のハンマーのストップ位置をバックチェックを前後させて揃えます。

 

ジャックという部品を受けるジャックストップレールの位置調整。矢印の部分の隙間を1mmに調整してます。

 

 

ブライドルテープ(赤いチップがついた紐)の位置を揃えます。

 

 

ダンパーが一斉に上がるようにタイミングを一つ一つ揃えます。結構いい感じに揃っていたので微調整で済みました。

 

鍵盤を押し下げてダンパーが始動するタイミングを一つずつ揃えます。奥にある見えないスプーン状の部品に感覚で引っかけて前後させて調整してます。写真ではわかりづらいかもしれません。

 

 

 

調律を49A=442Hzに合わせます。

 

2本弦と3本弦はハンマーをあてて同時に当たるように噛み合わせを調整します。

 

 

 

音色を聴いてff、ppそれぞれ聴いてハンマーの硬さを調整。写真は先端の右部分だけを少しほぐしているところです。

 

ペダルの雑音があったので確認すると下前板の塗装面がピカピカなので接合面から音がしていたので黒いクロスにテフロンパウダーを擦り込ませて調整。

 

 

 

完成しました。
写真では分かりづらいですがフォイリッヒは蝶番がシルバーになっててきれいです。

あとは付属の木製インシュレーター(キャスターの下に敷くお皿)をオーダーするのでそれが出来るのを待つのみです。
北海道のS様、長らくお待たせしました。
もうすぐ納品です。喜んでいただけると嬉しいです。

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1台1台丁寧な調整を心がけています

三木 淳嗣(委託調律師)


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