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マンションのピアノ防音対策で最初に知っておくべき2つのこと

ピアノの防音対策はなかなか厄介な問題ですが最初に知っておくべきことが二つあります。


人は意識を集中するとそれが拡大してしてきます。
  
仕事でも何でもそうですが意識を集中しているとよく見える(細かい違いが判る)ようになりますが、ピアノの音も騒音として捉えて意識を集中していると騒音が大きく聞こえるようになりますので、防音対策は最初が肝心ということになります。


マンションでは大掛かりな防音工事は法律により困難です

一戸建てと違いマンションの場合は、建築法の関係で一つの部屋だけ構造を大きく変える程の防音工事は難しいということがあり、たとえ防音工事をしても何デシベルを何デシベルまで下げるということになります。

 

サイレントピアノの進化版が発売されています

ところでピアノ防音に関してはヤマハやカワイでも研究が進み、従来からサイレントピアノがありましたが、2015年3月にヤマハからサイレントピアノの進化版であるトランスアコースティックピアノが発売され、これを見ると電子技術の進化には目を見張るものがありますが、これもやはり一長一短があります。

ヤマハHPより





デジタルとアナログの違い


デジタルとアナログの違いは説明が難しいのですが、身近なもので年賀はがきに例えると、ワープロで印刷した年賀状と手書きで書いた年賀状の違い見たいなようなもので、明らかにワープロの方が綺麗で読みやすいのですが、下手な字でも手書きの年賀状は読む人に筆者の気持ちが伝わります。

ピアノは心を謳う楽器ですが、良く調整されたアコースティックピアノを上手い人が弾くと魅力的な音色や響きがしますし逆の場合は魅力的な音色になりませんが、これが電子音源になると誰が弾いても電子楽器なりの良い音色になります、それで好いじゃないかと云われればそれまでですが。

たとえばNHKのハイビジョンでプロが撮影した素晴らしい景色を見るのも楽しいですが、現地に行くと風や温度や湿度や匂い、時には犬の糞まであるかも知れませんがこれらを五感で感じることができます、これが自然界のアナログの世界で人間も同様にアナログの存在です。

なかには高級なアコースティックピアノからサンプリングしたデジタル音源は、アコースティックの雑味まで取り除いていますので、その意味では生の音源より心地良いという方もおられます。

そのような観点からピアノを見ると、電子音源を使ったピアノはポピュラー・ジャズピアノにはある意味で適していると思いますが、クラシックピアノには適しているようには思えません。

なぜなら同じピアノ演奏でもクラシックピアノに演奏者が要求されるものとポピュラー・ジャズピアノに要求されるものがかなり違うからですが、ポピュラー・ジャズピアノ教室ならOKですが、もしクラシックピアノを学ぶピアノ教室(大半)なら、別に高級ピアノでなくても安価な中古ピアノでも構いませんが、良く調整されたアコースティックピアノが必須かと思います。

云うまでもなくピアノは弦楽器と打楽器を組みわせた独自の仕組で音を出す楽器です。

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株式会社浜松ピアノ 代表取締役社長

植田 信五


ピアノ庫で前日調整

ここはピアノ庫です。

ピアノ庫は空調管理を行なう部屋で、24時間同じ温度湿度をキープすることができます。

ピアノは木材・フェルト・クロスといった自然素材に加え金属部品も使用していますので、多湿や過乾燥な環境に置くと各部品が変形(伸縮)したりサビたりしてきますので、特に湿度は出来る限り一定(50%前後)に保つことがピアノにとっては良い環境とされています。

 

 

いつも立会いのコンサートの時は終演後にピアノをこのピアノ庫に戻して、
「過酷な環境の中、今日一日おつかれさま!」 と心の中で話しかけて帰るのですが、実は本番のステージでは空間も広い為なかなか空調(温度湿度)を保つ事が厳しいため、また熱い熱いライトも浴びてピアノも熱くなってくるのでまさにステージはピアノにとっては過酷な状況なのです。

ですので本番が終わると、このピアノ庫の心地良い環境で休んでもらいます。

 

 

 

今回は明日に小中学校の音楽発表会で使用するため前日調整をしました。
ステージはたくさんの人で準備をしていたため今回はピアノ庫で作業です。

 

 

 

早速状態はどうかな?と鍵盤を押し下げてみると・・・

鍵盤が明らかに深い。

 

 

鍵盤のアフタータッチが明らかに多いので、打弦距離(静止状態のハンマーから弦までの距離)の寸法を測ってみると、やはり狭い。

 

 

 

棚板の変化でベッティングスクリューのボタンが張り気味になっていたことが原因でした。
調整し直すと、鍵盤の深さや打弦距離も正常値に戻りました。

(棚板調整の解説動画はこちら

 

 

ちなみにですが、ベッティングのボタンが張り気味になると、鍵盤の両端についているこの拍子木の中央白い部品に必要以上に圧力がかかったまま擦れるので、シフトペダル(左のペダル)が異様に重く感じたり雑音(圧力がかかるので棚板が擦れる音)が出たりします。

 

 

 

調律は微調整で済みました。

 

 

スタインウェイのフルコンDモデルは低音部の巻線が3本のところがあるので(Sモデル~セミコンCモデルは低音巻線は2本まで)フルコンならではの低音部がハッキリとした音階が出せて気持ち良く感じます。もしフルコンに触れる機会があればこの低音を意識してみてください。きっと違いが感じられると思います。

 

 

 

おまけですが、ピアノカバーの畳み方の手順です(戻す時は逆の手順)

右折って、左折って、クルクル巻きます。

 

>>>ピアノの調律するタイミングは?

>>>ピアノの湿度対策の記事

 

1台1台丁寧な調整を心がけています

三木 淳嗣(委託調律師)


ピアノから出る雑音〜蝶番編〜

 

「弾いてる時に何か変な音が混ざって聴こえる」

「日によって変な音が出たり出なかったりする」

 

このような言葉をメンテナンスの現場でよく耳にします。

 

これは「共鳴振動」といって、同じ固有振動数を持つもの同士が干渉し合う現象ですが、

例えば、

・長さの同じ振り子の一つを揺らすと、もう一つも揺れだす。
・グラスをスプーンで軽く叩くと、触れていない同じ大きさのグラスも震える。

これが共鳴振動です。

実はピアノも同じ現象がよく起きて、音を鳴らした時に同じ周波数の物が同時に震えだして共鳴することがあります。

 

 

アコースティックピアノを弾かれる方は見たことあるかと思いますが、ピアノには蝶番がたくさん使われています。
これはグランドピアノですが、屋根を開け閉めするためにこのような蝶番がついています。

 

 

 

屋根の左側にもついています。

 

 

譜面板にもよく見ると蝶番がついています。

 

この蝶番が鍵盤を弾いた時に共鳴して、金具が震えて雑音が出るのです。

ではこの共鳴振動をなくす方法は?

 

結論から言いますと ・ ・ ・

 

残念ながら、完全に共鳴しないようにすることは不可能です。

 

 

では諦めろと?

いえ、出る確率を減らす方法はあります。

 

それは出来る限りネジを固く締めて隙間をなくし震えないようにするというもので、

これは私のやり方ですが、まずはどこに共鳴しているか音の出所を特定して、その部分のネジというネジをとにかく増し締めします。
ネジがバカになっているところは埋め木をするか長めのネジを入れ替えるかして、できるだけ固くなるように締めます。

 

 

 

ネジが緩んでいると隙間ができて、金具やプラスチック等が震えて接触面から雑音がでるのです。

このネジの増し締めでも共鳴が治まらない場合は、蝶番の中に入っている芯棒(軸)を金槌で叩いて少しずらします。それでも治まらない場合は、芯棒を少し抜いて数か所プライヤーで曲げて入れ直します。これで回転運動が少し妨げられ硬くなるので共鳴が出にくくなります。

 

 

  

鍵穴からもよくビビリ音がするので、可能な限り分解してネジの緩みをチェックします。

 

ここまでしても、また共鳴振動が起こることがあります。なぜでしょう?

 

それは湿度です。

 

このネジたちはほとんどが木材に取り付けられています。
その木材は多湿だと膨らみますし、逆に乾燥すると痩せてきてネジが緩んできます。

ですので、日によって共鳴現象が出たり出なかったりするのは、その日の天候や空調によって湿度が変わるためなのです。

 

この共鳴振動現象は新品、中古関係なくほぼ全てのピアノはこの蝶番を使用しているので、必然的に

ピアノは共鳴振動が起きる楽器なのです。

 

しかし出来る限り共鳴する確率を減らしたいのであれば、対策として定期メンテナンス時にネジの増し締めをしてもらい(その際に、どこの音を弾いた時に雑音が出たか予めメモをしておいて技術者にお伝えしてみてください)、また普段から空調管理をするなど心がけてみてください。

 

今回は雑音の原因として蝶番をピックアップしましたが、実はピアノ内部の雑音はこの蝶番だけではないのですが、それはまたの機会にご紹介したいと思います。


>>>ピアノの空調管理について

1台1台丁寧な調整を心がけています

三木 淳嗣(委託調律師)


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