[ ]出張メンテナンス in 京都・大阪・兵庫①

出張メンテナンス 午前中は京都府I様宅へお伺いしました。
ピアノはボストンGP178
先日メールで、「シフトペダルを踏んで弾くと隣の音が混ざって聴こえる」とご連絡いただきまして、確認してみると・・・


左のペダルを踏むと鍵盤とアクションが右に少し動いて音色を変える仕組みになっていますが、上の写真のように隣の弦に僅かながら触れています。

こちらの部品が圧縮されて(潰れて)右に動く可動範囲が広がった事が原因でした。
新しいピアノの部品は厚みがありますが、使っていくとだんだん圧縮されて(潰れて)薄くなります。
例えば新しい椅子なんかでも数年も座っていたら座面のクッションが圧縮されて凹んできますよね、いわゆるそういう状態です。別の言い方で「部品が馴染む」ともいいますが、新品のピアノは馴染むまでに変化が大きいとはこういうことを指します。

ペダルを踏んだ時の右に動く量を鍵盤の両端についている「拍子木(ひょうしぎ)」というこの黒い塊のネジで調整します。
このネジを引っ込めると右にたくさん動き、ネジを出すと動く量が減ります。

これで右に当たらなくなりました。
そして写真では見えにくいですが、〇で囲んだ部分。ハンマーの左の角が一番左の弦に触れると、シャリシャリした音が混ざるので左の弦にもギリギリ当たらないようにしてます。
これで確認していただきOKいただきました。
シフトペダルの解説動画はこちら→シフトストップネジ調整


【今回の作業内容】
・鍵盤下掃除
・キャプスタンスクリュー磨き
・鍵盤バランスフロントホール調整
・ジャック前後高さ調整
・ハンマー接近調整
・ハンマーストップ調整
・シフトストップネジ調整
・調律
・弦あたり調整(整音)
I様、ありがとうございました。

午後は大阪府M様
ピアノはスタインウェイO型

鍵盤下の掃除からバランス・フロントホールの調整、鍵盤の動きを1鍵ずつチェックして遊びの量や穴の隙間の量を揃えます。

棚板調整、詳しくは動画をご覧ください→棚板調整解説動画

棚板調整でベッティングスクリューというボタンを調整したら、次に奥と手前に隙間がないか確認し拍子木の圧力の調整をします。
写真は手前を叩いていき浮いていないか確認しています。もし浮いていた場合、弾いた時にその浮いた隙間からパワーが漏れてしまいます。
メンテナンス依頼をいただいた時にこの棚板調整がうまく調整できていないことが多く、ベッティングスクリューというボタンが出過ぎていて、その結果として手前側が浮いた状態になってパワー漏れしているピアノをよくみます。
当然ながらボタンを適正な量に調整し直すと本来のパワーが漏れなくアクションを通じて弦まで届きますので、音量がかなりアップした(※)と驚かれます。
※この棚板調整は、鍵盤の土台になり、これを動かすと鍵盤の高さや深さの量が全て変わるため、棚板調整を一からやり直す場合、鍵盤の高さ調整、深さ調整の全てを調整する必要があり半日以上の調整時間が必要になります。

【今回の作業内容】
・鍵盤下掃除
・バランスキーピン磨き
・フロントキーピンマックルーブ塗布
・キャプスタンスクリュー磨き
・フロントバランスホール調整
・棚板調整
・拍子木圧力調整
・ジャック前後高さ調整
・ハンマー接近調整
・ハンマードロップ調整
・レペティションスプリング調整
・ダンパー総あげ調整
・調律

作業終了後ちょうど帰宅した長男の息子さんがご試弾。
M様ありがとうございました。
>>>定期メンテナンスで行なう整調・整音
>>>調律・メンテナンスのお客様の感想
1台1台丁寧な調整を心がけています
三木 淳嗣(委託調律師)