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ヤマハのトランスアコスティックピアノとカワイのエニータイムについて

ピアノの防音対策はなかなか大変ですが、対策としてハイブリットピアノのトランスアコスティックやエニータイムのご相談を時々受けることがあります。

名称もトランスアコスティックというようなネーミングなので、内容を良く知らない方は、アコスティックピアノの音量が自由に変えられと誤解されている方もおられます。

アコスティックピアノとデジタル(音源)ピアノを融合させて、いつでもピアノを弾けるハイブリットピアノの制作研究に熱心なのがヤマハとカワイですが、この技術を持っているのは世界でもヤマハとカワイだけなので、もしこれが世界で認知されれば他のピアノメーカーは淘汰されることになるかも知れません。

カタログで見る限り、一見デジタルピアノとアコスティックピアノの好いとこ取りのピアノに見えますが、これは私見ですが、手間はかかる(製造コストが高くメンテナンス費用も)上に性能的にも、特にアコスティックピアノとしては中途半端なピアノのように思います。

いつそのこと防音対策としてメンテナンスフリーの安価なデジタルピアノを利用して、アコスティックピアノが弾ける時間帯には丁寧に調整したアコスティックピアノを弾いた方がはるかに効率が良いと思います。

ハイブリットピアノにアコスティックピアノの鍵盤やアクションを使う以上丁寧な整調が必要ですし、弦を張ってハンマーがあるならこれも調律と整音が必要ですし、デジタル音源使用時にはハンマーシャンクをストッパーで強制的に止めるので打弦感も本来のアコスティックピアノと異なります。

普段の生活シーンでほとんどデジタル音源を使う場合でも定期メンテナンスが必要ですし、それをしなければ弾き難いが音が良い高級なデジタルピアノで終わってしまいます。

高価なハイブリットピアノですが、電子機器を内蔵しているので寿命も15~20年といったところではないでしょうか。

昔、電気ピアノというものがあり、これはピアノの響板を取り除いて、ピアノの音をマイクで拾いスピーカーで音を出すものでしたが、いつの間にか淘汰されました。


デジタル音源をスピーカーではなく響板で鳴らします(カワイのエニータイム)


デジタル音源をスピーカーではなく響板で鳴らします(ヤマハのトランスアコスティックピアノ)

ハンマーの動きをセンサーで読み取るというカワイのエニータイム



鍵盤の動きをセンサーで読み取るヤマハのトランスアコスティックピアノ



アコスティックピアノは叩けば音が出るので誰が弾いても同じ音がすると思われている方もおられるかも知れませんが、ヴァイオリンと同じように上手い人が弾くと良い音がして、そうでない人が弾いたら良い音がしません。これをデジタル音源に置き換えるとだれが弾いても同じ音がします。

そのような理由でポピュラー・ジャズピアノならデジタル音源を使ってもほとんど問題ないのですが、クラシックピアノには不向きと云えます。

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株式会社浜松ピアノ 代表取締役社長

植田 信五


マンションのピアノ防音対策で最初に知っておくべき2つのこと

ピアノの防音対策はなかなか厄介な問題ですが最初に知っておくべきことが二つあります。


人は意識を集中するとそれが拡大してしてきます。
  
仕事でも何でもそうですが意識を集中しているとよく見える(細かい違いが判る)ようになりますが、ピアノの音も騒音として捉えて意識を集中していると騒音が大きく聞こえるようになりますので、防音対策は最初が肝心ということになります。


マンションでは大掛かりな防音工事は法律により困難です

一戸建てと違いマンションの場合は、建築法の関係で一つの部屋だけ構造を大きく変える程の防音工事は難しいということがあり、たとえ防音工事をしても何デシベルを何デシベルまで下げるということになります。

 

サイレントピアノの進化版が発売されています

ところでピアノ防音に関してはヤマハやカワイでも研究が進み、従来からサイレントピアノがありましたが、2015年3月にヤマハからサイレントピアノの進化版であるトランスアコースティックピアノが発売され、これを見ると電子技術の進化には目を見張るものがありますが、これもやはり一長一短があります。

ヤマハHPより





デジタルとアナログの違い


デジタルとアナログの違いは説明が難しいのですが、身近なもので年賀はがきに例えると、ワープロで印刷した年賀状と手書きで書いた年賀状の違い見たいなようなもので、明らかにワープロの方が綺麗で読みやすいのですが、下手な字でも手書きの年賀状は読む人に筆者の気持ちが伝わります。

ピアノは心を謳う楽器ですが、良く調整されたアコースティックピアノを上手い人が弾くと魅力的な音色や響きがしますし逆の場合は魅力的な音色になりませんが、これが電子音源になると誰が弾いても電子楽器なりの良い音色になります、それで好いじゃないかと云われればそれまでですが。

たとえばNHKのハイビジョンでプロが撮影した素晴らしい景色を見るのも楽しいですが、現地に行くと風や温度や湿度や匂い、時には犬の糞まであるかも知れませんがこれらを五感で感じることができます、これが自然界のアナログの世界で人間も同様にアナログの存在です。

なかには高級なアコースティックピアノからサンプリングしたデジタル音源は、アコースティックの雑味まで取り除いていますので、その意味では生の音源より心地良いという方もおられます。

そのような観点からピアノを見ると、電子音源を使ったピアノはポピュラー・ジャズピアノにはある意味で適していると思いますが、クラシックピアノには適しているようには思えません。

なぜなら同じピアノ演奏でもクラシックピアノに演奏者が要求されるものとポピュラー・ジャズピアノに要求されるものがかなり違うからですが、ポピュラー・ジャズピアノ教室ならOKですが、もしクラシックピアノを学ぶピアノ教室(大半)なら、別に高級ピアノでなくても安価な中古ピアノでも構いませんが、良く調整されたアコースティックピアノが必須かと思います。

云うまでもなくピアノは弦楽器と打楽器を組みわせた独自の仕組で音を出す楽器です。

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株式会社浜松ピアノ 代表取締役社長

植田 信五


ピアノ庫で前日調整

ここはピアノ庫です。

ピアノ庫は空調管理を行なう部屋で、24時間同じ温度湿度をキープすることができます。

ピアノは木材・フェルト・クロスといった自然素材に加え金属部品も使用していますので、多湿や過乾燥な環境に置くと各部品が変形(伸縮)したりサビたりしてきますので、特に湿度は出来る限り一定(50%前後)に保つことがピアノにとっては良い環境とされています。

 

 

いつも立会いのコンサートの時は終演後にピアノをこのピアノ庫に戻して、
「過酷な環境の中、今日一日おつかれさま!」 と心の中で話しかけて帰るのですが、実は本番のステージでは空間も広い為なかなか空調(温度湿度)を保つ事が厳しいため、また熱い熱いライトも浴びてピアノも熱くなってくるのでまさにステージはピアノにとっては過酷な状況なのです。

ですので本番が終わると、このピアノ庫の心地良い環境で休んでもらいます。

 

 

 

今回は明日に小中学校の音楽発表会で使用するため前日調整をしました。
ステージはたくさんの人で準備をしていたため今回はピアノ庫で作業です。

 

 

 

早速状態はどうかな?と鍵盤を押し下げてみると・・・

鍵盤が明らかに深い。

 

 

鍵盤のアフタータッチが明らかに多いので、打弦距離(静止状態のハンマーから弦までの距離)の寸法を測ってみると、やはり狭い。

 

 

 

棚板の変化でベッティングスクリューのボタンが張り気味になっていたことが原因でした。
調整し直すと、鍵盤の深さや打弦距離も正常値に戻りました。

(棚板調整の解説動画はこちら

 

 

ちなみにですが、ベッティングのボタンが張り気味になると、鍵盤の両端についているこの拍子木の中央白い部品に必要以上に圧力がかかったまま擦れるので、シフトペダル(左のペダル)が異様に重く感じたり雑音(圧力がかかるので棚板が擦れる音)が出たりします。

 

 

 

調律は微調整で済みました。

 

 

スタインウェイのフルコンDモデルは低音部の巻線が3本のところがあるので(Sモデル~セミコンCモデルは低音巻線は2本まで)フルコンならではの低音部がハッキリとした音階が出せて気持ち良く感じます。もしフルコンに触れる機会があればこの低音を意識してみてください。きっと違いが感じられると思います。

 

 

 

おまけですが、ピアノカバーの畳み方の手順です(戻す時は逆の手順)

右折って、左折って、クルクル巻きます。

 

>>>ピアノの調律するタイミングは?

>>>ピアノの湿度対策の記事

 

1台1台丁寧な調整を心がけています

三木 淳嗣(委託調律師)


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