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ピアノの寿命についてのお話 ④

本体とは別に、部品の消耗や経年劣化よる部品の寿命も考慮する必要があり、本来の気持ちが良い音色や響きを期待するなら、早めに(15~30年)消耗品(弦、ハンマー、フェルト、クロス類一式)も、新しいものに交換するのが望ましいと思います。

弦を張り替え中の1987年製のヤマハG2 弊社店頭にて



消耗したハンマーと新品ハンマーの比較


コストはそれなりにかかりますが、このようなオーバーホールをすると、新品同様に快適に使用できるようになります。

ちなみにオーバーホールの費用は、個体差とどこまで丁寧に仕上げるかで大きく異なります。

メーカーや使用部品の品質で異なりますので、あくまで目安ですが、一応の標準的な相場を申し上げますと、部品代がハンマー一式16万円前後、弦一式8万円前後、その他フェルト、クロス、チューニングピン等5万円前後、工房までの往復運送費、これに工賃(40万円~)が加わります。

ピアノの寿命

 

株式会社浜松ピアノ 代表取締役社長

植田 信五


ピアノの寿命についてのお話 その③

ピアノの寿命は何年くらい!?

ピアノは本格的なオーバーホールさえやれば、優に100年以上の使用が可能ですが、古いピアノはそれなりにコスト(リスク)があります。

弦楽器と違いピアノの弦は常時強い張力(1台で約20トン)で張られ、弦楽器の魂柱のようなものはなく、響板には絶えず強い弦圧がかかっていますし、使用頻度により弦に金属疲労が起きます。

また響板の構造は、木材を横に何枚もつなぎ合わせて作るので、環境(過乾燥等)によりそのつなぎ目に隙間ができて雑音が発生したり、常時かかる強い弦圧のために響板自体に反りがなくなった(響板のヘタリ)時には調律不能になりますので、そのような時には響板の修理が必要になります。

高級ピアノの響板は昔ながらの屋外での自然乾燥された木材が使われます。


最近の量産ピアノは、昔のように木材を屋外で何年も自然乾燥するのではなく、短期間で強制的に人工乾燥した響板を使用するので、木の細胞を痛めると云われていますが、その分、響板の寿命も短いと考えられます。

チェコのペトロフ社の手間をかけた伝統的な響板作り




再生された100年前のチェコ製ピアノ(現在はペトロフ社に合併済)
このピアノは、現在、島根県の国宝松江城のある公園の敷地内にある興雲閣の大広間に設置され、コンサート等に利用されています。



ピアノの寿命

 

株式会社浜松ピアノ 代表取締役社長

植田 信五


ピアノの寿命についてのお話 その②

使用頻度や年数よりもむしろ設置環境が重要です。

寿命は使用頻度も影響しますが(消耗部品の交換で解決)、むしろ設置環境(空調)の方がピアノの寿命に大きく関わるように思います。

楽器保管庫のように年間を通じて温度、湿度の安定した部屋に置いてやると調律やメカニズムの狂いも最小限であるばかりでなく、響板や消耗品も含めてピアノの基本的な寿命は飛躍的に長くなります。

環境対策は、楽器保管庫と同様に温・湿度計を設置して除湿機と加湿機の併用しつつ適切な室温と湿度管理が必要です。



手間がかかりますが、快適なピアノ性能を維持するためには、あと後の整調や調律等の手間(コスト)を考えると、こちらの方が安上がりです。



余談ですが、昔から良く使われていたピアノの乾燥剤はほとんど無意味です。乾燥剤が有効なのは小さな密閉された瓶やビニール袋の中では有効ですが、広いピアノの内部空間は大量の空気が流れていますし、外部の響板まで含めたピアノ全体の管理には乾燥剤は用をなしません。

 ピアノの寿命

株式会社浜松ピアノ 代表取締役社長

植田 信五


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