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調律≠メンテナンス

みんなのピアノ選びから抜粋

はたして納品した後も、そのピアノを長い年月に渡って気持ちよく使用できるかです。ユーザーにとっては重要な問題ですよね!

もちろん耐久性については、各メーカーによるピアノの構造的な要因(木材の乾燥、金属フレームの鋳造、各部品の品質等)がまず第一に挙げられますが、納品後に定期的にお伺いする調律師のメンテナンスによっては、10年後20年後の楽器の運命が大きく左右されます。

ここで、皆様にひとつご質問です。
調律メンテナンス(維持管理)、この違いを理解していますか?

出荷調整中の浜松在住の職人調律師の山原氏


調律は狂っている音程を合わせる作業(チューニング)です。
しかし、毎年調律さえすれば、ピアノの状態が安泰かのように錯覚しているお客様のあまりの多さに、正直私は違和感を覚えます。

実際のところ「調律お願いします」と依頼を受けた調律師が実施する一般的な作業を挙げると、音合わせ(調律)、鍵盤・アクションの簡単な動作チェック、それにピアノ内部の掃除といったところでしょうか。
まぁ短期的にみて問題なく音は出るだろう、といった程度の最低限のサービス内容なのですが、今まではこれで良しとされてきました。

ところが、いまやユーザーの意識や傾向は変化しつつあります。
隣の家がピアノを購入したから我が家も、と安価なピアノが爆発的に売れて大量生産された時代は、もはや過去の話となりました。

たとえ価格が高くとも上質なピアノを、孫の代まで大切に使いたい!
そのような愛好家が少しずつ増え始めているのが業界の現状です。

また、これからの時代、そうした本当に音楽が好きなお客様しかピアノ(とりわけ高価な欧米製ピアノや新品のグランドピアノ等は)を購入して頂けないのではないか、とも接客の現場で感じています。

こうしたユーザーの本物志向への変化を考えると、従来の調律サービスの内容では、対応が不充分であると言わざるを得ません。
そこで求められるのがメンテナンスの発想です。

浜松ピアノ店のメンテナンス風景


みんなのピアノ選び

ピアノの調律とメンテナンス

 

株式会社浜松ピアノ 代表取締役社長

植田 信五


新品ピアノと中古ピアノ、どちらがオススメですか?

みんなのピアノ選びから抜粋

お客様からよく尋ねられるご質問です。
中古ピアノの利点はまず何といっても手頃な価格で手に入ること。
子供がいつまで続けるか分からないので高価な新品はちょっと手が出ないなぁ・・・という方が中古ピアノを求めるケースが近年とても増えています。

確かに新品の半額ほどで入手可能なので魅力的である一方、中古ピアノの良し悪しが判別できないから不安、誰が使ったのか分からないピアノは嫌、新しい方が安心!と迷わず新品を選ぶ方もいらっしゃいます。

各ピアノ店のポリシーによっても勧められるピアノが異なるので困惑するお客様も多いのではないでしょうか。

良い中古ピアノを見分けるポイントについては既に他のHPでも多く書かれています。たとえば・・・

①外装や内部のクリーニングはもちろん弦やピンなど金属パーツのサビ・汚れが除去されていること

②アクションや鍵盤が基準の範囲内で弾きやすく均一に調整されていること

③フェルト・クロスなど消耗する各部品を適切に処置もしくは交換修理されていることなどなど。

全くその通りです。
ただ正直なところ以上に挙げたような作業はいざとなれば納品後でも対応できるレベルといえます。

機械を使って行う本体の外装クリーニングは現場では難しいかもしれませんが、アクションや鍵盤は車に載せて持ち帰って修理することが可能です。その他の調整、清掃作業などもその場で処理できる内容です。

※もちろん購入後に余計な出費が伴いますので上記の内容は購入時にきちんとチェックしましょう!
ぜひ最初からメンテナンスとクリーニングがきちんと完了した中古ピアノをお買い求め下さい。

ではお客様にとって最も厄介で納品後にトラブルとなり得る問題とは何か。それは響板割れ駒割れと呼ばれる症状です。

このピアノをうっかり購入すると最悪の場合あなたが高額な修理費と運送費まで負担する羽目に・・・。
(アクションや鍵盤の修理とは異なりピアノ本体を工房に移動しなければ困難な修復となります)

弦の交換のため弦を外した状態です。
使用環境が厳しいと大切な響板が深刻な事態に陥ります。

弦の振動を響板に伝える駒


チューニングピンを支えるピンブッシュを新しいものに交換ます。


みんなのピアノ選び

ピアノの寿命

株式会社浜松ピアノ 代表取締役社長

植田 信五


ショールームは“楽器”と“調律師の技術”を検証する場

みんなのピアノ選びから抜粋

「手入れのよい2流品の製品のほうが、ほったらかしにされたもっと良い銘柄のピアノよりもまさしく上位にあることがよくあります」イェルク・デームス/渡辺健訳『演奏のよろこび』(白水社)より

特に数多くピアノを揃えている店において楽器全てを最高のコンディションで日常管理するのは至難の業。

当然ながら店頭展示ピアノは頻繁に手入れすべきですが、経営者の言い分からすると「調律師に店のピアノばかり調整させてもお金にならん。給料払っているのだから外で調律代を稼いでこい。」というのが多くの楽器店にみられる実態であります。

未調整、あるいは仕上げてから時がしばらく経っているポテンシャルを秘めたピアノと、いまベストな状態に整えたばかりの平凡なピアノを並べて展示したとします。

すると時として、音(調律)の気持ち良さ、弾き心地(タッチ)の点において楽器本来の性能とお客様の評価が逆転してしまうことがあります。

最近では近所の楽器店だけではなく、わざわざ遠方の店に出向いてまで理想のピアノを追い求める熱心な方が増えてきています。おそらく各店の対応と楽器の仕上がりを比較・検証してみたい意識の表れでしょう。 

「調整でピアノの性格がこんなに変わるとは知らなかった!」
「あそこで弾いたときはタッチ重かったけど、この店のは弾きやすい」
とは複数の店で同じメーカー、同じモデルを弾いたお客様のご感想。
第一印象がイマイチだったピアノが調整で一変することも“無きにしもあらず”。たった一台のピアノで判断を下すのはあまりに早計です。

ピアノを調整する工具の一部をご紹介。
すべてはユーザー好みの音とタッチのために。



みんなのピアノ選び

ピアノの選び方と問題点

株式会社浜松ピアノ 代表取締役社長

植田 信五


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