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ピアノの寿命についてのお話 その③

ピアノの寿命は何年くらい!?

ピアノは本格的なオーバーホールさえやれば、優に100年以上の使用が可能ですが、古いピアノはそれなりにコスト(リスク)があります。

弦楽器と違いピアノの弦は常時強い張力(1台で約20トン)で張られ、弦楽器の魂柱のようなものはなく、響板には絶えず強い弦圧がかかっていますし、使用頻度により弦に金属疲労が起きます。

また響板の構造は、木材を横に何枚もつなぎ合わせて作るので、環境(過乾燥等)によりそのつなぎ目に隙間ができて雑音が発生したり、常時かかる強い弦圧のために響板自体に反りがなくなった(響板のヘタリ)時には調律不能になりますので、そのような時には響板の修理が必要になります。

高級ピアノの響板は昔ながらの屋外での自然乾燥された木材が使われます。


最近の量産ピアノは、昔のように木材を屋外で何年も自然乾燥するのではなく、短期間で強制的に人工乾燥した響板を使用するので、木の細胞を痛めると云われていますが、その分、響板の寿命も短いと考えられます。

チェコのペトロフ社の手間をかけた伝統的な響板作り




再生された100年前のチェコ製ピアノ(現在はペトロフ社に合併済)
このピアノは、現在、島根県の国宝松江城のある公園の敷地内にある興雲閣の大広間に設置され、コンサート等に利用されています。



ピアノの寿命

 

株式会社浜松ピアノ 代表取締役社長

植田 信五


ピアノの寿命についてのお話 その②

使用頻度や年数よりもむしろ設置環境が重要です。

寿命は使用頻度も影響しますが(消耗部品の交換で解決)、むしろ設置環境(空調)の方がピアノの寿命に大きく関わるように思います。

楽器保管庫のように年間を通じて温度、湿度の安定した部屋に置いてやると調律やメカニズムの狂いも最小限であるばかりでなく、響板や消耗品も含めてピアノの基本的な寿命は飛躍的に長くなります。

環境対策は、楽器保管庫と同様に温・湿度計を設置して除湿機と加湿機の併用しつつ適切な室温と湿度管理が必要です。



手間がかかりますが、快適なピアノ性能を維持するためには、あと後の整調や調律等の手間(コスト)を考えると、こちらの方が安上がりです。



余談ですが、昔から良く使われていたピアノの乾燥剤はほとんど無意味です。乾燥剤が有効なのは小さな密閉された瓶やビニール袋の中では有効ですが、広いピアノの内部空間は大量の空気が流れていますし、外部の響板まで含めたピアノ全体の管理には乾燥剤は用をなしません。

 ピアノの寿命

株式会社浜松ピアノ 代表取締役社長

植田 信五


ピアノの寿命についてのお話 その①

ピアノの寿命は響板修理が必要になった時と一応定義しておきます。

ここで云うピアノの寿命とは、修理代が高額になり、修理コストと性能の折り合いを考えた時に、一般的には新品に買い替えた方が経済的には合理的だと考えられる場合を寿命と定義したいと思います。

もちろん修理をすれば大概のピアノは100年以上十分使用できますが、修理(修復)作業は全てが手作業なので作業効率が悪く、本格的なオーバーホールの費用は新品の量産ピアノの価格に近くか、ピアノによりそれ以上になることもあるので、それなりに価値のあるピアノが対象になります。

弊社がリニューアルした昭和初期のヤマハのグランドピアノ
元は黒色でしたが、塗装は剥離して元の木目の色に再塗装して内部の
弦、ハンマー等の消耗部品も交換しました。

浜松在住の補修用の巻き線専門の職人の冨田氏


広い面積を持つピアノの響板の修理には、修理の際に障害になる弦とフレームを一度外す必要がありますので、その機会を利用して、響板修理だけでなく消耗部品の弦やハンマー交換、ダンパーフェルトや他のフェルト・クロス類を新品に交換し、チューニングピンもワンサイズ太いものに交換し、外装も再塗装する方が作業効率が良く合理的なので、そのような理由で響板の修理は総額では高額になります。

修理費用は仕上げの品質(精度やどこまでやるか)等で一概に言えませんが、完璧を目指すとちょっとした同型の国産ピアノが購入できるくらいの金額にはなりますが、それでも従来品より高品質な部品を使い、高精度な作業内容で丁寧に仕上げれば、性能も寿命も新品並みかそれ以上になる可能性もあります。

復元された京都芸術センターの1918年製のペトロフピアノ



ピアノの寿命

株式会社浜松ピアノ 代表取締役社長

植田 信五


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