[ ]ピアノの選び方とその問題点 その③
生産国表示も、今ではあてにならない。
業界用語で製造ラインのことをファースト・ライン、セカンド・ライン、サード・ラインと区別して呼ぶことがありますが、この意味は本国で全て製造されたものがファースト・ライン、他国(中国、インドネシア)で半分を委託生産した後、本国で最終仕上げしたものがセカンド・ライン、全て他国で委託生産されたものがサード・ラインというような意味で使われます。
本来の意味での日本製、ドイツ製はファースト・ラインですが、今ではスタインウェイやファツィオリ等の高級ブランドや一部高級品を除けば、ヤマハ、カワイをはじめヨーロッパの老舗ブランドも、その多くがセカンド・ラインで生産されていながら、生産国表示はドイツ製や日本製で販売されているのが実情です。
中国のハイルーン社の広報誌より
サード・ラインで初めて中国製やインドネシア製の表示になりますが、このような生産事情も頭に入れてピアノ選びをすれば、限られた予算内で意外と魅力的なピアノに出会える可能性が高くなります。
たとえば中国のハイルーン社で委託生産されるウェンドル&ラングは1910年装創業のオーストリアの老舗ブランドですが、今は中国で委託生産しているお蔭で、国産ピアノにはないヨーロッパテイストのステキなデザインの木目のアップライトが60万円、グランドでも120万円から購入できます。
箱全体で鳴るヨーロッパトーンを奏でる老舗のヨーロッパブランドが、国産の低価格帯ピアノ並みの価格で味わえるという意味でとても魅力的です。
弊社2Fに展示中のウォルナットのチッペンデール仕様で150万円
ちなみに椅子はイタリアのディスカチャーチ社製
ヨーロッパや日本のメーカーが中国で生産や委託生産する理由は?
①人口13億人?の中国ですが、今その中国が今空前のピアノブームで世界最大のピアノ市場になっていること。
②ヨーロッパや日本でピアノを作って中国に輸出する35%という高額な関税がかかるので、中国でピアノを販売したければ、余程の高級ブランド以外は中国でピアノを生産せざるを得ないという事情があります。