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古い弦楽器は高評価なのに、なぜ古いピアノは低評価なのか?

弦楽器もピアノも木が主体で構成されているのは同じですが評価はまるで違います。
300年前のストラディバリウスの弦楽器は今では数億円出しても入手できないほどの高評価ですが、100年前のスタインウェイはそのままだとタダ同然です。

100年以上前のスタインウェイのスクエアーピアノ


弦楽器もピアノも主材料は木材ですが、木材は鉄やプラスティックと違い年数を経過すると固く強固になる特性があり、その特性で古い弦楽器の評価が高いわけです。

ピアノが同様に評価されないのは、構造がシンプルで今も昔も構造が同じの弦楽器と違い、ピアノは内部に複雑な構造の消耗部品が多く、打弦の仕組みも今の方(1960年以降)が改良されて弾き易く優れていること、さらに手間をかけて消耗部品を交換しても内部に膠の接着面が無数にあるのでさすがに100年ものになるとトラブルになり易いことがあります。

それでも築後1300年の奈良の法隆寺が今でも健在なように、木材は年数経過で強固で固くなる特性上、楽器とすれば古い方が鳴りが良くなるという魅力を持っています。

ですから適度に古いピアノの消耗品を交換して丁寧に調整してやると手間(コスト)はかかりますが、今のピアノよりも鳴りが良く魅力的なピアノになります。

復元した1967年製のヤマハ(旧、日本楽器)U1 です

この時代のヤマハは黒の塗装を剥ぐと下から綺麗な木目が出てきますので(今のヤマハは不可)、ライトウォルナットの艶消しの木目に仕上げ、脚も猫脚に変えました。


内部磨きが終わってから弦を張りました


外装もここまで仕上げたので、内部の消耗部品もハンマーはドイツのアベルの高級ハンマーに、弦もドイツのレスロー弦、低音の巻き線はドイツのデーゲンという一流品に交換しました、後は鍵盤の鉛調整が完了すれば完成です、ここまで来るのに空いた時間を利用して仕上げているので、もう延べ半年の作業時間になります。

平凡なヤマハの1967製の古いピアノをここまで仕上げることは非常に稀ですが、古いピアノは消耗部品を交換すると以前にも増して性能的にも魅力的になるということを身近なヤマハで実証するために今回は敢えてやっています。

中古ピアノのメリット・デメリット

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間違いだらけのピアノ選び  ~ 目 次 ~

【第一章】大半のピアノが本来の性能を発揮していない

◎ピアノは8千個の部品◎ピアノはリモートコントロールで打弦する楽器

◎仕上げが整音

◎試弾は調整されたピアノでないと意味がない

◎ピアノはセミオーダーの楽器です


【第二章】調整によるエピソードのお話

◎中古ピアノが高い勉強代に

◎安価でも高級ピアノより魅力的

◎ブランドを信じて購入したが失敗

◎調整が自慢のシゲル・カワイでも不満

◎値段ほど差がない高級ピアノ

◎好みのスタインウェイがなかった

◎丁寧な調整でヤマハでも満足

◎好みのスタインウェイを求めて

◎スタインウェイはトリルができるがヤマハは?

◎ヤマハは温泉に浸かったような音?

◎ピアニストと専属調律師のお話

◎腱鞘炎になって困っている


【第三章】中古ピアノの問題点

◎中古ピアノは安かろう、悪かろうが多い

◎さらなる中古ピアノの問題点

◎古いピアノは楽器としての性能が良いか?


【第四章】調整シーンを写真でご案内

◎グランドピアノの調整作業

◎アップライトの出荷調整作業


【第五章】主に中国で生産される現代のピアノ

◎最近のピアノの生産事情

◎ファースト、セカンド、サードラインという業界用語

◎メードインチャインナ&浜松ピアノ店フィニッシュ

【第六章】日本のピアノ事情

◎毎年減少する日本のピアノ市場

◎余談ですがスタインウェイについて


【第七章】筆者のブランド選びの見解

◎コストパフォーマンスが高いか否か

◎ピアノは素材という考え方

◎メンテナンスについて

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株式会社浜松ピアノ 代表取締役社長

植田 信五


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