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中古ピアノもきちんと調整すると新品以上に高性能なピアノになる可能性があります。

その訳はピアノの主材料の木材は、鉄等と違い年数が経過するほど堅く強固になるという木材の特性上、古い弦楽器と同様に古いピアノほど基本的には楽器としては優れるからです

しかし実際には大概の中古ピアノは新品に比べて性能的に大きく劣るのは、安く販売するために内部のメカニズムの癖取りや錆び取りをはじめ、内部の十分な調整が省かれている中古品が大半だからです。

丁寧に調整すると中古ピアノと云えども、魅力的な性能を発揮するピアノに生まれ変ることがご理解いただけます。

中古ピアノ(ヤマハYUX)が商品になるまでの主な作業工程を写真で簡単にご説明します。

ハンマーフェルトについた弦の溝。
中心に当たってなくずれたまま跡がついているので綺麗に整形し直します。

連打する上でかかせないフレンジコード(白いヒモ)も新品に交換。環境にもよりますが
10年以上はもちます

 

打弦したハンマーを元の位置に戻す役割のブライドルテープ(赤いチップのついた紐)も
新品に交換します

アクションの裏側にある金属のスプーン(ダンパースプーン)と棒状(ダンパーロッド)のもの
を磨きます、汚れやサビでザラついていたりすると部品同士が擦れ合って雑音が出るからです。

弦が巻きついているチューニングピン、約230本あります。
これも指で1本ずつ磨きます。

弦のサビを可能な限り落とします

ベアリングのピンもピカピカになりました

次は鍵盤下のピン(バランスキーピン・フロントキーピン)磨き、スチールウールとコンパウンドで磨きます

鍵盤の手前側(四角)木口こぐちが少し変色していたので貼り替えました。この修理で1日かかります。この木口はセルロイドで出来ているので経年変化で変色します。

鍵盤のキズや汚れを1鍵ずつ羊毛バフで研磨します



中古ピアノは調整に入るまでに部品を綺麗に磨いたり、消耗品を交換したりと随分手間(時間)がかかりますが、これをどこまでやるのか、つまり新品の部品に交換するのか現行の部品を綺麗に整えて使うのか、それとも全く何もしないのかによって販売価格も変わってきます。

消耗品の程度の良い中古品をじっくりと丁寧に仕上げていけば高性能(音色、タッチ、響き)なピアノになります。低価格重視か?それとも弾き心地や綺麗な音色重視を重視するか?手間のかけ方の違いが性能の違いになります。

まずはフロントピンを定規に対して直角になるようピンを回して全て同じ方向に揃えていきます。




続いてバランスのピンに定規を当てて同じ位置に並ぶようにします。

鍵盤の裏側に赤いクロスがありますがこの穴の幅が狭い、つまり遊びがなかったので広げます。

鍵盤の木の部分の穴が極端に狭くなっていたのでヤスリで広げ丁度良い具合に調整します

ハンマーの方向(傾き)が正しいか高音部・中音部・低音部全て調べます。

ハンマーを一斉に弦にくっ付けてみます

弦の間隔も均等に揃えます。 

 

鍵盤(白鍵)の高さを適正な寸法に合わせ全ての高さ・傾きを揃えます

平らな定規を鍵盤の上面に軽く当ててみるとこんなに隙間があります。つまり鍵盤の高さがガタガタです。おまけに写真の右から3番目の鍵盤は左に傾いています。

白鍵の高さの次は黒鍵の間隔を揃え高さも揃えます

アクションのジャックという部品とそれが当たる部分(バットスキン)の位置を合わせるウイペン調整です。


バックチェックという部品が奥の黄色い部品(キャッチャー)ときれいに噛み合うようにワイヤーを曲げて88個全て調整します。


その下のキャプスタンボタンの位置を88鍵全て前後左右調整します。

キャプスタンボタンの位置を隣同士揃えます。

 

ジャックという部品の高さの調整です

白鍵の深さ(沈む量)を下に挟んである紙パンチングを出し入れして白鍵全てを10mmに揃えます。
隣同士の鍵盤の深さを統一しないと、音量や弾き心地も揃いません。

 

接近するハンマーと弦の間の距離を測りながら88個全て同じ距離に揃えます(ハンマー接近調整)
これが揃っていないと繊細なピアニッシモが出にくくなり音の輪郭も揃いません。


ハンマーが弦を叩いた直後にストップする距離を88個全て揃えます(ハンマーストップ調整)
距離が広いと指にコツコツ感じタッチも重くなり、狭すぎるとフォルテッシモが出せず鍵盤も浅く感じ弾きにくくなります。

ジャックという白い部品のストップバーの距離調整です。低音から高音部まで距離を揃えます。


赤いチップがついているブライドルテープ。前進したハンマーを後ろに戻し素早く2度目の音を出すためのヒモで、この張り具合を88本1つ1つワイヤーを曲げて調整します。

ダンパー調整

弦が駒から浮いていないか真鍮棒で軽く叩いてしっかり密着させます。
これにより弦の1本うなりが解消されます。(通常弦は1本だけではうなりは発生しません)

 

調律

 

まずは弦とハンマーの噛み合わせの調整をします。
歯の噛み合わせをイメージしていただくと分かりやすいと思います。
2本(低音部)または3本(中音~高音部)の弦が、同時にハンマーに当たるように削ってレベル(高さ)を合わせるため、一度ハンマーに色をつけます。

ハンマーを弦にあてた状態で弦を1本ずつはじいて音の長さを聴きます。
当然先に早くあたっていると音の長さが短いので、ハンマーのその部分(3本あれば左or真ん中or右)を板ヤスリで削ります。

整音 気になるところをチェックしていきます


耳につくような硬い音がたくさんあったのでハンマーに少しずつ針をさして再度確認。
深くさしたり先端付近を軽くさしたりと、針を入れる場所や深さによって音が随分変わりますので隣同士の音色(音質)と同じようになるように慎重に行ないます。

 

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株式会社浜松ピアノ 代表取締役社長

植田 信五


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