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ピアノの選びの失敗例 

過日、関東にお住まいで世界ブランドがデザインした国産のグランドピアノを購入後1ヶ月の方からお電話を頂き、全国ネットの楽器店で購入したが、音色が全く不満で我慢できないので買い替えたいけど下取りしてもらえるか?というお電話を頂きました。

詳しくお聞きすると試弾はしたけど店内が騒がしいので音色が良くわからなかった、納入調律時に調律師に相談すれば解決すると思ったけど、こんなものですと云われ(このブランドはイメージと違い本来モコモコした音色)これ以上我慢できないので買い替えたいので相談に乗って欲しいという内容でした。

購入後1ヶ月でも中古品になるので下取は実質半値になり大損するので、グランドの精密調整と整音ができる調律師をご紹介するので、その調律師に少々お金がかかるが3~4日かけて調整してもらうと好みの音色のピアノに仕上がりますと云うお話をしましたが、一度嫌いになるともう弾く気にならないようでした。

いくら名人と云われる調律師でもピアノの調整は半日や一日で本来の快適なピアノに仕上げるのは出来ないということを皆様にご理解頂けたらと思います。

調整を理解せずピアノは語れない

全ての基本、鍵盤調整

アクションの調整


仕上げの整音


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株式会社浜松ピアノ 代表取締役社長

植田 信五


ハンマーは最初から良質のものが好ましい

弦を直接叩いて音を鳴らすハンマー音質に関わる大切な消耗部品です。
ウッドに巻かれたフェルトの硬さによって、音やタッチの質感までもが変わるのですが一般ユーザーにはあまり知られていません。

カンカンと派手な音、モコモコしたりまろやかな音、こうした音質の違いは実はハンマーフェルトが“硬い”か“柔らかいか”による影響が大きいわけです。

ヨーロッパ製の代表格は独レンナー社。スタインウェイをはじめ一流ピアノメーカーが採用している老舗ブランドです。他にはアベル(独)、ロイヤルジョージ(英)も有名です。

一方、ヤマハ、カワイなど工業力があるメーカーは現在ハンマーも自社生産しています。

左からスタインウェイ、ヤマハ、カワイ


左から レンナー アベル ロイヤルジョージ


ピアノを弾き込んでいくとハンマーに弦の溝がついてくるので、この弦溝をなくすためにハンマーを削ってファイリング(整形作業)をして、この作業を繰り返していきますので段々ハンマーの肉厚が薄くなっていきます。



上部がペッタンコになったハンマー

ハンマーをファイリンクしています




仕上げの整音作業で同じピアノでも音色が大きく変わります。


最近は古いハンマーを交換することが多くなりましたが、相当な手間がかかるのでハンマー交換には20万円以上の費用がかかります。

本題はここからなんですが

浜松のベテラン職人さん曰く、「ヤマハのハンマーは新品の時は好いんだけれど、ファイリング(削る)すると一気に音色の線が細くなるダニ、最初からそんな風に作ってあるんだろうね」

この職人さんのお奨め交換用のハンマーはドイツ製のアベルですが、ドイツのレンナーやアベルのハンマーは、ハンマーを削っていっても最後まで性能が劣化せずに使いきることが出来そうですので、最初から上質なハンマーを使う方が得策のようです。

国産ピアノではディアパソンがレンナーハンマーを使用しています



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植田 信五


ピアノの寿命は何年位と考えるべきか?

ピアノの寿命は経年劣化と設置環境(温度と湿度)や使用頻度で異なりますが、過去の経験から不具合が出てくるのは大体40~50年くらいからと考えます。

しかしながら古くなった消耗部品(弦、フェルト類、ピン)を順次交換して必要な修理を施せば、古い弦楽器と同様に新品より鳴りが良い魅力的なピアノになります。

しかし弦楽器と異なり構造が複雑なピアノの場合は、本格的なオーバーホールは手間がかかるので新しく1台のピアノを製作するほどのコストかかります。

ピアノ(楽器)の命とも云える響板



響板の割れを埋め木して再利用

消耗品の弦とハンマー、チューニングピンを新品に交換済みの1960年代のピアノ

古いフェルトも張り替えします




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