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フォイリッヒの出荷調整(後編)

北海道に納品予定のフォイリッヒ122、前回フォイリッヒ出荷調整(前編)の続きです。

 

 

定規をあててバックチェック(緑色のフェルトがついた部品)の傾きをチェックし同じ向きに揃えます。
ハンマーが打弦した後にこのバックチェックで受け止めます。

 

 

 

今度はワイヤーを曲げて奥にあるキャッチャーという部品(黄色いスキンがついている部品)との噛み合わせを調整します。

 

 

鍵盤の奥に付いているキャプスタンスクリューを上下させて、矢印のジャックという部品が隙間なくいくように調整。

 

 

次は鍵盤の傾きを調整します。
平らな定規を鍵盤の上に置くと白鍵が傾いているのがよく分かります。
バランスキーピンを左右に動かして(アクリル棒でコンコンと叩いて微調整してます)調整。

 

 

 

白鍵の高さの調整、数種類の紙を抜き足しして鍵盤の高さを隣同士揃えます。

 

 

鍵盤の間隔も揃えます。レとミが異様に空いてますね。鍵盤の傾きと高さを合わせて最後に間隔の調整です。

 

 

 

 
【Before】白鍵の上面が凸凹があります。


【After】凸凹がなくなり平らになりました。

 

  

黒鍵の間隔(手前・真ん中・奥の間隔)を揃え高さを白鍵から12mmに揃えます。

 

 

 

高さがキレイに揃ったら鍵盤の深さ(沈む量)の調整です。

高さ同様鍵盤の下に数種類の厚みのドーナツ状の紙を抜き足しして10mmに揃えます。黒鍵も揃えます。

 

ジャックという部品が手前に脱進するタイミングを揃える調整。ハンマーに近づけた時の弦との隙間を見て揃えます。

 

 

打弦後のハンマーのストップ位置をバックチェックを前後させて揃えます。

 

ジャックという部品を受けるジャックストップレールの位置調整。矢印の部分の隙間を1mmに調整してます。

 

 

ブライドルテープ(赤いチップがついた紐)の位置を揃えます。

 

 

ダンパーが一斉に上がるようにタイミングを一つ一つ揃えます。結構いい感じに揃っていたので微調整で済みました。

 

鍵盤を押し下げてダンパーが始動するタイミングを一つずつ揃えます。奥にある見えないスプーン状の部品に感覚で引っかけて前後させて調整してます。写真ではわかりづらいかもしれません。

 

 

 

調律を49A=442Hzに合わせます。

 

2本弦と3本弦はハンマーをあてて同時に当たるように噛み合わせを調整します。

 

 

 

音色を聴いてff、ppそれぞれ聴いてハンマーの硬さを調整。写真は先端の右部分だけを少しほぐしているところです。

 

ペダルの雑音があったので確認すると下前板の塗装面がピカピカなので接合面から音がしていたので黒いクロスにテフロンパウダーを擦り込ませて調整。

 

 

 

完成しました。
写真では分かりづらいですがフォイリッヒは蝶番がシルバーになっててきれいです。

あとは付属の木製インシュレーター(キャスターの下に敷くお皿)をオーダーするのでそれが出来るのを待つのみです。
北海道のS様、長らくお待たせしました。
もうすぐ納品です。喜んでいただけると嬉しいです。

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お薦めブランド フォイリッヒ

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>>>納品前の出荷調整の重要性とは

 

1台1台丁寧な調整を心がけています

三木 淳嗣(委託調律師)


ピアノの寿命は何年くらいと考えれば良いか?

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ピアノは消耗品の交換と必要なメンテナンスをすれば優に100年以上の寿命があり、しかも新品時よりも楽器として性能(鳴りや響き)が良くなります。

300年前に製作されたストラディバリウスの弦楽器が人気がある理由として、木は年数が経過するほど強固になるという特性がありますが、ピアノにも同じことが言えます。

しかし構造がシンプルな弦楽器に比べピアノは内部構造が複雑で消耗部品(ハンマー、弦、フェルト類)の交換は手作業故に、新しくピアノを1台製作するほどのコストがかかります。

部品交換、修理費用もどこまでやるかで大きな幅がありますが、アップライトで50万円~120万円、グランドで100万円~300万円と云ったところかと思います。

ところでピアノの消耗部品の寿命ですが、使用頻度や設置環境により異なりますが、過去の経験から判断すると30~40年と思われます。

そのような背景からピアノの寿命を考えた場合、やはり最初から素材的に良いピアノで長く愛着を持てるピアノを選ぶ必要があります。

弊社でリニューアルした1969年製のヤマハ

100年前のスタインウェイ(UP)でアンティークカフェでコンサート

大正時代のオーバーホールされたペトロフピアノ

ショパンが愛したと云われるフランスのプレイエル




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株式会社浜松ピアノ 代表取締役社長

植田 信五


調整不良のピアノで練習していると力んだ演奏になる

調整不良のピアノで普段から練習していると必然的に力んだ演奏が身に付きますが、このことはほとんど知られていません。

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音大志向の学生さんのご試弾にも立ち会う機会が多い筆者ですが、さすがに難しい曲を力強くダイナミックにお弾きになる方が多いのですが、ただバンバン弾くという感じでピアニシモがないので演奏に繊細さを感じません。

その時に「たぶん今お使いのピアノは調整が出来ていないんだろうなあ~」思ってしまいます。

良く調整されたピアノならば、そんなに力まなくても軽く叩くだけでも十分に鳴りますが、普段から調整が出来ていないピアノで練習していると知らず知らず力んで弾く様になります。

調整が不十分なピアノでいつも練習されている方が、もし本番で良く調整されたピアノを弾くと第三者には荒っぽい演奏をするように感じられるのではないでしょうか。

ピアノの調整とは、鍵盤から打弦するまでのメカニズムにパワーロスがないように最適に調整することを言います。

良く調整されたピアノならば、大きな音も力まず出せますし小さな音も粒が揃った綺麗な音が容易に出せます、これを表現力豊かなピアノと定義します。

鍵盤から打弦するまでの複雑なメカニズムが微妙にリンクしています(アップライト)


鍵盤から打弦するまでの複雑なメカニズムが微妙にリンク(グランドピアノ)


一連のメカニズムを丁寧に調整して鍵盤からの力がハンマーにパワーがロスなく伝わり、弦のスイートスポットをハンマーが正確に叩くようにする必要があります(アップライト)




先ずは全ての鍵盤がスムースな動きになるように鍵盤調整が重要です


グランドピアノの鍵盤とアクション


弦のスイートスポットを正確に打弦するようにハンマーシャンク(棒)の歪みの修正も必要です

弊社のメンテナンスの作業風景を動画でご紹介しています。
ご紹介しているのは高級ピアノですが、弊社ではヤマハ、カワイその他のピアノでも同様なメンテナンスを行います。




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植田 信五


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