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献奏という言葉をご存知でしたか?

ここでいう献奏とは、亡くなられた方が生前に好きだった曲を、葬儀の場で演奏しその方を偲ぶものです。

チェコのプラハにて、筆者撮影


 たまたま演奏依頼の仕事があり、知り合いのピアノ先生にお電話したところ、毎日寝る暇が無いほど忙しいとのことで、その訳をお聞きしますと、これは以前から小耳には挟んでいたんですが、この先生、葬式でピアノを弾かれています。

しかも傘下の先生も何人も抱えてプロダクションをされており、たくさんの葬儀会場と契約しているのですが、最近は献奏の依頼が多く、忙し過ぎて、これ以上に仕事が増えると、もう死にそうなのだそうです。
 
忙しい訳は、葬儀の前日の夜10時以降に曲目が決まるから
   
忙しいのはオーダーが多いことも理由の一つですが、実は演奏する曲目のオーダーが葬式の前日のお通夜が一段落した夜の10時位に、親族が話し合って故人が生前に好きだった曲を決めるそうです。

葬儀の前日の午後10時以降に演奏する曲目のオーダーが決まるので、必然的に楽譜等の準備やそれを葬儀用にアレンジをする必要があるので、どうしてもその作業が夜中になるので大変なのだそうです。

明るく元気の良い曲でも、悲しそうにアレンジして情緒たっぷりに演奏しなければ列席者の共感を得られないので、これがまた大変なようです。
 
昔の懐かしのメロディーがほとんどだそうです
 
どんな曲のリクエストがあるかお聞きますと、「水戸黄門」「鉄道唱歌」「美空ひばりナンバー」「石原裕次郎ナンバー」「仰げば尊し」等、さすがにひと昔前の曲が多く、若い先生など知らない曲も多いのだそうですが、これらの曲を悲しそうにアレンジして、全部ピアノで演奏します。

葬式会場には簡易デジタルピアノを自前で持ち込み演奏するのですが、これも演奏者が自分で運ぶんですが、女性ということもありデジタルピアノでも、結構重くて大変だそうです。

一同、ピアノ演奏に涙するそうです!

でもアナウンスの方が、今一度、故人に最後のお別れをしてください、というシーンで演奏を始めるのだそうですが、会場では演奏が始まると、どっと涙が溢れるのだそうで、ピアノ演奏の効果は抜群だそうです。

これからますます高齢化社会になるので、注文は益々増える傾向にあるようですが、演奏者からすると、本人が生きてる間に早めの曲のオーダーをしておいて欲しいところですが、こればかりは難しいようです。

葬儀生演奏のお仕事
  

株式会社浜松ピアノ 代表取締役社長

植田 信五


只今、店頭でディアパソンGPを出荷調整中です。

納品前のディアパソンD-164Rを店頭で出荷調整中です。

出荷調整中のディアパソンD-164R

弊社では丁寧な出荷調整をしてから納品することを旨としていますが、実のところこれがなかなか大変です。

どう大変なのか?

通常は、浜松の竜洋工場を出荷されたピアノは、全国の販売店の最寄りの倉庫までは運送費はメーカー負担で届けてくれますので、販売店の役割は、その倉庫からお客様宅に納品して、納入調律を施して完了になり、これが納品までの普通の流れです。

弊社の場合は?

倉庫から一旦、店頭に運んで開梱、組み立てをします。

その上で日常業務の空いた時間を利用しながら納品前の精密調整を行いますが、出荷調整は連続の作業でも3日間もかかりますので、日常作業の空いた時間でやるので、普通1週間~10日ほどかかります。

全ての作業(整調・調律・整音)が完了してから、再梱包してからお客様宅にお届けになります。

お届け後は、しばらく(1週間以上)はそのままご自宅でお弾きいただきますとピアノも部屋の環境に馴染んで(いろいろな変化が起こる)きますし、演奏者自身も今まで感じなかった細かい不満点にも気がつきます。

その頃を見計らって納入調整にお邪魔して、演奏者の細かい希望をお聞きして、約半日かけて納入調整(整調・調律・整音)を施して完了となります。

当店でピアノを選ぶメリット

 

 

 

 

株式会社浜松ピアノ 代表取締役社長

植田 信五


スタインウェイ・ハンブルグ工場での研修報告

調律師の三木君がスタインウェイのドイツ・ハンブルグ工場の研修に行ったのは今から7年前の2010年の約2週間ですが、その時の経験(思い)が今の技術者としての三木君を育てたようで、あらためてレポートしたいと思います。

ハンブルグのライツホールにて、当時27歳。 

これは聖ミハエル教会にある展望台からハンブルグの街並みを撮ったもの。


この時のスタインウェイのハンブルグ工場研修は、日本から他に30代後半と50代の2人の技術者、計3名が参加したそうで、27際の三木君が最年少ですが、大概は箔をつけに行っただけで終わっているように思います。

私自身も、特に技術や知識について新たにスタインウェイの工場で学ぶものはあまりないように思っていました。

 しかし、彼がハンブルグ工場で学んだものは?

帰国後の三木君からの報告で、彼は正解だと強く思ったのは、精密調整についての意識レベルの向上とその重要性の確信だと思いました。ちなみに過去にハンブルグ研修から帰ってきた人間で、このような趣旨の話を聞いたのは三木君が初めてです。

それは、さすがスタインウェイの工場だけあって、ハンマーの整音一筋10数年とか、同じくアクション調整だけ数十年とかの技術者がいて、彼らから直接、レクチャーを受けるわけですが、さすがにその道一筋、数十年になりますと仕事の精密さが違い、彼らの要求精度は究極のものがあるようです。

作業自体はスタインウェイだからと云って特別のことをやるわけではないのでしょうが、さすがに最高のブランドであるスタインウェイの工場ならではの精密な仕上げと云いますか、技術の質に対する意識レベルの高さは最高かと思います。

 この工場でやっていることは、当たり前のことを当たり前にやっているだけですので、そのような観点からスタインウェイの工場の作業を見ないと、単なる工場見学で終わってしまい、得るものはあまりないように思いました。

以前、HNKで神社を建てる宮大工さんの仕事ぶりを収録した番組を見たことがありますが、一人前の宮大工さんになるには、カンナがけも地道に13年やると薄皮を剥ぐように綺麗に削れるようになるということを棟梁が云っていましたが、まさに宮大工さんの修行と同じ世界のように思います。

しかも、このような基本的な技術は、若くて体力があり、集中力も長く持続する時に、徹底的に体で覚えないとダメなようです。

つまり本当の(一流の)ピアノの職人技術者になるためには、当たり前ですが、基本的な作業が早く、正確にできるように若い内に徹底的に体で覚えて鍛えなければならないということのようです。

ピアノの調律とメンテナンス

お薦めブランド スタインウェイ

 

 

株式会社浜松ピアノ 代表取締役社長

植田 信五


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