[ ]出荷調整(プレップ・アップ)という言葉をご存じでしょうか!?
一般には馴染みがない言葉ですが、業界の一部では出荷調整(プレップ・アップ Prep up)、又はプレップという言葉がよく使われますが、これは納品前の準備としての調整のことを意味します。
もちろん展示ピアノも同じような調整(整調・調律・整音)が必要で、そうでなければご試弾の意味が半減します。ピアノの選び方とその問題点
どこまでやるかでコストと性能が大きく異なりますが、一通りやるには手慣れた技術者でもアップライトで2日(16時間)グランドで3日間(24時間)かかります、もちろん手抜きをすればもっと簡単ですが。
このようなことを申し上げると、実は高く売るための方便として使われている(宣伝)と解釈される方も多いのですが、しかしこれを丁寧にやると同じピアノでも性能(タッチ、音色、響き)が大きく向上します。
紙面の関係でここでは、新品ピアノに最初に行う鍵盤調整をご紹介します。
鍵盤調整は単純な作業ですが、手慣れた技術者で1日の作業時間になりますが、鍵盤調整をするだけでも、ずいぶん弾きやすいピアノになることが写真からでもご理解頂けると思います。
バランスキーピンとプロントキーピンを磨くことから始めます。
フロントキーピンの方向を一定になるように調整します。
バランスキーピンの位置を揃えます。
キーホールの掃除(特に新品ピアノは木屑が出ます)
鍵盤がスムースに上下するようにクロス調整をします
鍵盤の高さが一定になるように調整します
鍵盤の深さが一定になるように調整します
定期のメンテナンスでも同様のことを簡単にやります。
調整をしたと言葉で云うのは簡単ですが、正式にやると鍵盤調整だけでこれだけの手間(まる1日)がかかります、そして次が複雑な構造を持つアクション調整やダンパー調整、そして調律を済ませてからハンマーの堅さと形を整え88鍵全ての音色の粒を揃える整音作業を行いますが、一通りやると3日(中古品ならその約倍)の作業時間が必要なのが正式な出荷調整です。
厄介なのはグランドピアノで、グランドはメーカーから梱包されて倉庫に入庫しますが、これを調整できる場所で開梱・組立(弊社では1F店頭)しなけばならず、完了後に再び梱包してから納品しなけれななりませんが、これらの開梱・梱包だけでもかなりのコストアップになります。
浜松ピアノ店では、高級・安価・中古・新品に関わらず弊社から納品する全てのピアノにこのような出荷調整を行い、納入後の納入調整、以降の定期のメンテナンスでも約半日をかけて整調・調律・整音を行なっているのが最大の特徴です。
このように申し上げるとピアノを高く売るための方便だと思われる方も現実には多いのですが、一旦、出荷調整や同様のメンテナンスの重要性を理解すると、昔の弊社がそうであったように、ピアノ愛好家の方ならもう後戻りはできなくなるはずです。
ピアノという楽器はこのように面倒な楽器なのですが、同じピアノでも大きく性能が向上しますので、少しピアノをお弾きになる方ならその違いが簡単に体感頂けると思います。
弊社では、できるだけ多くの方にこれらの整調の重要性をご理解頂きたいと願っています。