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ヤマハグランドピアノの保守点検

溜まっていたブログの更新が遅れて過去の分にアップしました。
遡らないと見れなくなってますのでここでまとめを残しておきます。

先日お客様が来店され、自宅のグランドピアノが不調なので全体の調整をしたいということで2日間(16時間)コースのピアノ保守を行ないました。内容はこちらから。

 

グランドピアノ16時間コース初日目

グランドピアノ16時間コース2日目

グランドピアノ16時間コース3日目

グランドピアノ16時間コース最終日

 

今回行なったメニューは、

1.ハンマー整形
2.バランス・フロントキーピン磨き
3.バランスキーピン位置調整
4.フロントキーピン方向調整
5.バランスキーホール調整
6.フロントキーホールガタつき修理
7.棚板調整
8.鍵盤高さ・傾き・間隔調整
9.白鍵深さ調整
10.弦合わせ(傾き・間隔・走り)調整
11.サポート合わせ調整
12.バックチェック合わせ調整
13.ジャック前後調整
14.ジャック高さ調整
15.ハンマー接近調整
16.ハンマードロップ調整
17.打弦距離調整
18.黒鍵深さ調整
19.ハンマーストップ調整
20.レペティションスプリング調整
21.調律
22.ダンパーかかり調整
23.ダンパー総上げ調整
24.ダンパー踏み込み量調整
25.ダンパーストップレール調整
26.ソステヌート位置調整
27.シフト(ソフト)ペダル踏み込み量調整
28.シフトペダルの整音
29.弦当たり(3弦合わせ)調整
30.ハンマー弾力調整
31.ペダル磨き
32.譜面台クロス貼り替え

 

 

 

コンサートホールではコンサートごとの調律とは別に、毎年2日間の保守点検を行なってピアノを初期設定に戻し快適に弾けるようにしますが、これはコンサートホールのピアノだけに限らず、どのメーカーのピアノにも同じことが必要であるため、ご家庭のピアノにも定期的に2日間は難しくても1日コースの保守をおすすめします。あくまでピアノの性能に関心がある方に限りますが。

因みに中古ピアノの場合は新品と違って、部品の汚れや錆び、そして消耗や劣化などもありますので、商品レベルまでの状態にするにはさらに倍以上の時間がかかりますが、修理がなければ現行部品の状態で2日(16時間)コースの調整を行なうとかなり良い状態まで仕上げることができますので、現在お持ちのピアノが不調で困っている方で今回のような調整に興味・関心のある方は一度ご相談ください。

 

>>>ピアノのコンディションを良くするために必要なこと
  ①全体の調整 ②空調管理

1台1台丁寧な調整を心がけています

三木 淳嗣(委託調律師)


木製インシュレーターの効果報告

普段あまり意識することがないインシュレーターですが、弊社は新品ピアノには基本的に木製(無垢)のインシュレータをお付けしているので、プラスティックとの違いを体感する機会がありません。

先日、木製インシュレーターだけをご購入頂き、プラスティックから木製に履き替えたお客様から貴重な体験レポートを頂きましたのでご紹介したいと思います

木製(無垢)のインシュレーター(アップライト用)
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左が木製、右がプラスティック(表)
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左が木製、右がプラスティック(裏)
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弊社展示ピアノの木製インシュレーター
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今回、プラスティックから履き替えた木製インシュレーターの写真 

ご使用ピアノはスタインウェイDモデルです。
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今回、プラスティックから履き替えた木製インシュレーターの写真 

ご使用ピアノはスタインウェイDモデルです。
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浜松ピアノ店 植田信五様

お世話になっております。インシュレーターをご製作、ご配送頂きまして、ありがとうございました。結果は五重丸です!!!
本当に良かったです。

 ◎一番気になっていた中低域のこもりと、床からの変な共振(?)が全くなくなりました。STEINWAYならではの、このあたりの音の分離がとてもよくなりました。

 ◎低音が、明るい響きになりました。全域にわたって良い意味で軽さが出て、ピアノが若返った感じです。

 ◎演奏している自分によく音が聴こえるようになりました。D型はホール向けの遠鳴りが使命なのだから、自分に聴こえなくてあたりまえと思っていました。

 ◎表現が難しいのですが、弦の長さを感じるというか・・・低域は左の向こうのほうから聴こえ、高域は右の手前から聴こえ、明確に場所がわかる感じで立体的です。音域による時間差もわかります。

 ◎全域にわたり、はっきりしたので、同時に弾いた和音は同時に鳴り、バラシた音はバラけます。当然の事ですが、そういったニュアンスがラクにつけられます。

今までどうしても団子になってしまうトリルの箇所も、一挙に解決です。こうしている「はずなのに」というストレスがなくなり、「した事」は必ずそのように出てきます。(なので当然「してしまった事」もそのとおりに出ます)

 ◎鍵盤の感触が硬くなったというか、アクションがぐっとひきしまった感じです。これは驚きです。

 というわけで、ウチのD型は、先日オーバーホールしたのですが、ハンマーはそのままです。この年代の楽器の太く豪快な鳴りは健在なのですが、独特のこもり(ピアノに顔を近づけて聴くと全然大丈夫なのに、演奏する位置だと気になる)と、アクションのどこかぬめっとした感じがどうしてもとれなかったのです、これが一挙に解決しました。
後略

確かにきちんとした木製のインシュレーターを履くと、それなりに効果はあるのですがここまでの効果があるとは私の想像以上でした。

 たかがインシュレーターと言ってしまえばそれまでですが、インシュレーターもここまで効果があるとすれば、おろそかにできませんね

ちなみにインシュレーターのお値段ですが、プラスティックのものが1セット¥800~、木製が¥10.000前後~なので、もしこれだけだけの効果があるとすれば、試してみていいかも知れませんね。

ピアノの調律とメンテナンス

ピアノの選び方とその問題点

 

 

 

株式会社浜松ピアノ 代表取締役社長

植田 信五


グランドピアノ16時間コース最終日

ヤマハG3の16時間コース最終日です。これまでの内容はこちらから↓

・グランドピアノ16時間コース初日目
・グランドピアノ16時間コース2日目
・グランドピアノ16時間コース3日目

 

 

弦の振動を止める役割のダンパー。
鍵盤・アクションの調整が終わったら次はダンパーのかかり(始動)と総上げの調整です。

少しだけ今回のダンパー作業風景を動画に撮ってみたのでこちらをご覧ください。
(もっと詳しく知りたい方はこちらの→動画で解説してます)

 

次はダンパーペダルの踏み込み量の調整とダンパーをストップさせるバーの高さの調整をしました(写真が撮れてませんでした)

 

次はソステヌートペダルの調整です。
ソステヌートのバー(ロッド)の前後と高さの位置調整をしました。
ソステヌートペダルの仕組みと使い方は先日動画をアップしていますので詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

 

 

 

次はシフト(ソフト)ペダルの踏み込み量の調整です。
右の拍子木のストッパーネジを出したり引っ込めたりして動く量を調整します。
一番左の弦がギリギリ外れるくらいの量で調整しています。

 

弦が当たっているポジションを把握するためにカーボン紙を使ってハンマーに色を付けます。
シフトペダルを踏んでも効きが悪い時は、ハンマーに針を刺してソフトな音を作ります。

 

 

 

次はハンマーと弦の噛み合わせの調整です。
ハンマーを弦に付けた状態で弦を1本ずつ弾き(はじき)3本(または2本)の弦に同時に当たるようにハンマーを薄っすら削って高さを調整します。
同時に当たらないときれいに発音することができません。この調整で整音の8割が完了します。

 

 

最後に音の硬さを揃えるために硬い音だけをピックアップしてハンマーの肩の部分に針を刺して硬さを調整します。

 

 

 

音色の確認が終わったのでペダルも磨きました。

 

 

 

本日のメニューは、

①ダンパーかかり調整
②ダンパー総上げ調整
③ダンパー踏み込み量調整
④ダンパーストップレール調整
⑤ソステヌート位置調整
⑥シフト(ソフト)ペダル踏み込み量調整
⑦シフト(ソフト)ペダルの整音
⑧弦あたり(3弦合わせ)調整
⑨ハンマー弾力調整
⑩ペダル磨き
⑪譜面台クロス貼り替え

でした。とりあえず全体をざっと調整することができました。

細かいところをいえば、ダンパーをダンパーアクションごと解体してワイヤーを磨いたりクロスの硬さを調整したり、ペダルを解体して錆びを取ったり磨いたりともっとやることはありますが、16時間ではとても時間が足りないので今後のメンテナンスの際に少しずつ行なうことになりました。今回はお客様のご要望を優先し、それに沿ったメニューを時間内で調整して行ないました。

 

結果は、大変満足いただきさらに帰宅後メールで

「弾いた時の音の気持ちよさは勿論、和音を弾いて音が減衰した頃にそっとペダルを離した時の音の綺麗さ。レッスンが楽しくなります」と喜びのメールをいただきました。嬉しいですね。ありがとうございました。

 

 

>>>ピアノのコンディションを良くするために必要なこと

  ①全体の調整 ②空調管理

 

1台1台丁寧な調整を心がけています

三木 淳嗣(委託調律師)


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