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メーカー選びや値引きよりも大事なこととは?

メーカーの経営者を含め皆様に理解して頂きたいのが整調(内部部品の擦り合せ作業)の重要性です。

他の楽器が指やバチで直接、音を出すシンプルな構造なのに比べ、ピアノは音を出す過程が、木材やフェルトと云った自然素材を使った複雑なメカニズムを通して音を出す仕組みです。

そのような理由から、いかに高級な自然素材を使い、精度の高い工作機械を使っても、本当に良いピアノに仕上げるためには複雑な個々の部品の擦り合せ(整調)を人の手によって行うことが必要です。

ただ人の手による細かい部品の擦り合せには、数日単位の手間(時間とコスト)がかかるので、経営者からみると生産性が悪く、今では高額なスタインウェイですら経営方針として5時間程度に制限されており、ヤマハでもCXシリーズで2時間半と云ったところが現実です。
 
大半のピアノがそのまま納品され、メンテナンスも調律だけで済まされていますが、逆に云えば、仮に安価なピアノであっても、出荷段階でこの擦り合せ作業を丁寧に行うと、ピアノなりにですが弾いて気持ちの良いピアノに仕上がるということが云えます。

さらに納入後のメンテナンスもそれに準じた整調を行えば快適なピアノを維持することができます。

もし本当に性能を大切に考えるなら、不足の擦り合せ作業は、現場の販売店でやるしかありませんが、これも値引き優先の販売戦略では、コストがかかるので大概は省かれています。
  
動画で植田が詳しく解説していますのでご覧ください。

前編


後編


弊社独自の出荷調作業を動画でご案内しています


シゲル・カワイ定期メンテナンス

 

 

株式会社浜松ピアノ 代表取締役社長

植田 信五


ピアノの運送費のお話

運送費は地域格差がありますが、市内の1F~1Fのアップライトピアノの移動で1万円5千前後、グランドピアノの場合は梱包料、開梱料含まれるので3万円前後となります。これに2階吊り上げで1万円加算、エレベーターの場合も1万円ほどの加算になります。

但しUPは問題ないですが、GPで奥行き210㎝以上でマンションのエレベーターに乗らない場合は、4階までなら通称ユニックで吊り上げますが、それ以上の階になると大型の特殊クレーンで吊り上げるので高額になります。




倉庫から倉庫までの移動費

案外安いのが倉庫から倉庫への長距離便で、たとえば岡山から東京、或いは鹿児島までの運送費はワンマントラックの路線便を利用するので、アップライトピアノで1万5千前後、グランドピアノでも3万円前後と比較的割安です。
ただし日本海側のように定期の路線便がない地域は高額になります。

ヨーロッパからの輸入ピアノの場合は?

日本である程度コンスタントに売れる輸入ピアノの場合は、まとめて船便でコンテナ単位で輸入するので割安で、1台あたりにすれば1万円以下になりますが、そうでない場合は高額になります。
 
浜松の流通倉庫にコンテナで入荷したペトロフピアノ


1台だけ航空便で輸入するとグランドで総経費込みで30万円前後と高額になり、さらに途中で傷がつかないように厳重な梱包が必要になり何かと大変です。

チェコのプラハ空港から岡山に入荷したペトロフのグランドピアノ

お薦めブランド ペトロフピアノ

 

株式会社浜松ピアノ 代表取締役社長

植田 信五


スタインウェイの新価格(値上げ)が発表されました

スタインウェイの2018年の新価格が各機種数十万円の値上げで発表され、たとえばB-211で旧価格が税込¥14.580.000、新¥15.012.000と云ったところです。

何故、スタインウェイは毎年決まったように数パーセントの値上げになるのか違和感をおぼえたこともありましたが、毎年のことで今では慣れました。

たかだか数パーセントの値上げなので大したことはないとも考えられるのですが10年単位で見ると結構な金額になっています。



なぜ毎年数パーセントの値上げになるのか?

国産メーカーにこのあたりの値上げの事情を聞いてみると、材料費や人件費の値上がりもさることながら、どうやら国内工場の生産台数の減少に原因があるようです。

たとえば月産500台のピアノ工場が20%の減産で月産400台になれば工場の稼働率が20%下がるが、工場の維持管理費は同じなので、単純計算でピアノを20%値上げする必要があります。

それでも価格を据え置こうとすれば、現在は生産台数が多い中国工場から20%以上安い部品や部材を逆輸入すれば価格を据え置くことができます。

そのような背景から国産メーカーは上記のような方法で従来品の値上げを押えつつ、1台あたりの単価を上げるために高級バージョンとして従来品に加えて、新しくヤマハではSXシリーズ、カワイではシゲル・カワイシリーズが発売されていますが、これも一見値上げに見えないだけで実質的な値上げのように思います。

スタインウェイのような高級ピアノは基本的に本国生産(ファースト・ライン)なので部品や部材を安い生産国からの輸入品は使えず、元々高級ブランドなのでヤマハ、カワイのように新しく高級シリーズを作れないので、やむなく同じピアノが毎年数パーセントの値上げになりますが、むしろこの方が分かり易くて好感が持てます。

ただファツィオリのような年産120台という最初から限定少量生産の高級ピアノの場合は上記のような事情はないので、もともと高額ではありますが、スタインウェイのように毎年の値上げはあまりありません。

お薦めブランド スタインウェイ

お薦めブランド ファツィオリ

株式会社浜松ピアノ 代表取締役社長

植田 信五


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