[ ]脱“スペック偏重”思考のすすめ ~アクションレールを比較~
アクションレールは内部のアクション機構の“背骨”ともいえる存在。
各部品が取り付けられる土台となるため僅かな変化でも音やタッチに関わってきます。従って経年変化しない造りが特に求められる箇所。ここではアップライトピアノのレールの材質を取り上げます。
まずは、ひと昔前まで主流だった木製アクションレールです。
長い年月を経てもレールが反ったり、ねじれたりしないようメーカーは充分な乾燥処理を施さなければならず、ユーザーとしても納品した後適切な温度湿度の管理が問われるデリケートな造りになります。
昔のアクションレールは木製でした。
次は、もはや定番化しているアルミ(金属)製アクションレール。
工業力のあるメーカーにとって均質に効率的に生産できる上、木材と違って温度湿度の変化に強いことがメリットとして挙げられます。
今のアクションレールはアルミ製が普通。
調律師からすると、狂いのない金属製レールはありがたいのですが、錆付いたネジがレール内部で折れたときや、ネジ穴が緩くなって修理が必要なときには、加工作業の容易な木製の方が助けられることも。
最後は参考までに最近のスタインウェイK型のレールをご覧下さい。
バームクーヘンのように薄い板を積層にした素材を用いています。
さらにはレールの下部にも金属製のレールをあてがっていますので、木製、金属製の長所を合わせたハイブリッドな造りと言えます。
スタインウェイK型のレンナー社製レール。
レール下部にある金属板に気付きますか?
材質の違いが音にも影響すると説明する営業マンもいますが、弾き手の立場では好みの音であればどちらでも構わないと思います。
木製にしてもアルミ製にしても、弾きやすく響きの豊かなピアノが気持ち良いことに変わりはないのですから。