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ピアノ選びの前に知っておくべき単純明快な予備知識とは?

ピアノをいざ買う段階になりますと、なかなか決断できないお客様が目立ちます。高額な品物ですし、(変なピアノを選んで失敗したらどうしよう)と不安な気持ちにもなるのも当然です。
本当に多くの方々がピアノを購入する際の選考基準に悩んでいます

現在はインターネットで沢山の情報が溢れているために、かえって何を根拠に買えば良いのか迷ってしまうのではないでしょうか。

一口にピアノを選ぶ基準と言いましても音、タッチ、価格、サイズ、色、デザイン、材質、ブランド、店、調律師、アフターサービス、などなど少し思い浮かべるだけでもこれだけ挙がります。
その結果、もっとも簡単な基準「価格」「見た目」「ブランド」で安易に決めてしまう場合も・・・。

大半の人に知られていないピアノ選びの単純で明快な予備知識は、”いかなるピアノの性能も調整次第”という事実ですが、これはピアノの性能を語る上で基本中の基本ですが、大半の方にその必要性や重要性が理解されていません。驚くべきことに大手有名メーカーの幹部すら知らない方が大半です。
  
いかなるピアノであれ、丁寧な調整で初めて持てる性能の100%近く発揮するということ、その上で部屋の音響と演奏者の好みに音色やタッチ、響きに合わせた調整や整音が必要なので、ピアノという楽器はイージーオーダーの楽器とも云えます。

この最も基本的なことを押えなければ、いかなる有名な高級ブランドのピアノを選んでも決して真の満足は得られないはずです。

弊社独自の出荷調整の作業工程を動画に短く編集しています
 
 本物志向の消費者がメーカーと店を選別する時代です。
もちろん一般のユーザーは専門家ではありませんから、ピアノの全てを把握することは不可能です。(とくにピアノ内部については、調律師でも一瞥しただけでは判断できないほどデリケートです)

  資料をご覧頂くとピアノという楽器は既製品ではあるけれど、何故イージーオーダーの楽器だということが良くご理解頂けると思います。 

ピアノの性能(音色、タッチ、響き)を大切にお考えの方に
只今、浜松ピアノ店では下記3点の資料を無料進呈しています。


お読み頂くと今迄の既成概念が変わり広い視点からピアノ選びができるようになります。


  本来の調整を知らずにピアノの性能を語ることはできません。
ピアノ愛好家必見の動画です。


同じ曲を異なったピアノで演奏していますので、音色の特徴を簡単に体感できます。




ピアノの性能(音色、タッチ、響き)を大切にお考えの方に
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株式会社浜松ピアノ 代表取締役社長

植田 信五


浜松ピアノ店 Weekly music VOl.8

店頭のヤマハG-5中古品 1979年製 消耗品の弦、ハンマー、フェルト類を新品に交換しています。
ショパン/マズルカ ト短調作品24-1  演奏者 田中節夫

演奏者略歴

桐朋学園大学卒業後、西ドイツ ハノーヴァー国立音楽大学を経て、パリ・エコールノルマルにて演奏家資格を取得、2001年、文化庁派遣で再びパリで3ヶ月間研修する。現在、山陽学園短期大学教授の傍ら各地で演奏活動を行なう。ピティナ正会員 ピティ 審査員

ピアノの性能(タッチ、音色、響き)を大切にお考えの方に
 只今、ピアノ選びで後悔しないために資料を無料進呈しています

株式会社浜松ピアノ 代表取締役社長

植田 信五


浜松ピアノ店の中古ピアノが商品になるまでVOL.5

弊社の中古ピアノが商品になるまでvol.5  

弦が駒から浮いていないか真鍮棒で軽く叩いてしっかり密着させます。
これにより弦の1本うなりが解消されます。(通常弦は1本だけではうなりは発生しません)

 


これから調律です。

まずは49番目のA(ラ)の音を442Hzに合わせてから調律します。
チューナーで測ってみると

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436Hz。

かなり下がっているので、一度下律(粗調律)をします。
1~2Hz程度でしたらそんなに弦を緩めたり引っ張ったりしなくて済むので、
1回の調律で合わせることができますが、6Hzを急に上げる(引っ張る)と
短時間でまた下がって(戻って)くるので下律といって近いところまで全体の弦を引っ張ります。
下律の時間は20~30分程です。

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49Aを445Hzでとり下律をします。


ざっくり下律が終わり img_7029img_7030

 

最初の49A(ラ)を測ってみると・・・ img_7031


予想通り441.8Hzまで下がっていました。
ここから442Hzで改めてとりなおし本調律(調律)です。
 
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調律が終わると次はハンマーの弾力を調整する整音です。

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まずは弦とハンマーの噛み合わせの調整をします。
歯の噛み合わせをイメージしていただくと分かりやすいと思います。
2本(低音部)または3本(中音~高音部)の弦が、同時にハンマーに当たるように削ってレベル(高さ)を合わせるため、一度ハンマーに色をつけます。

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カーボン紙を弦につけ、それをハンマーに移します。
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このように色がついて見やすくなりました。
ちゃんとハンマーのど真ん中に当たっているか再確認もできます。

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ハンマーを弦にあてた状態で弦を1本ずつはじいて音の長さを聴きます。
当然先に早くあたっていると音の長さが短いので、ハンマーのその部分(3本あれば左or真ん中or右)を板ヤスリで削ります。

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写真ではわかりづらいので動画でどうぞ。

image弦あたり調整動画


弦あたり調整が終わり一度全鍵を強く弾いて耳につく音があればチェックします。

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気になるところをチョークで印をつけていきます。

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耳につくような硬い音がたくさんあったのでハンマーに少しずつ針をさして再度確認。
深くさしたり先端付近を軽くさしたりと、針を入れる場所や深さによって音が随分変わりますので隣同士の音色(音質)と同じようになるように慎重に行ないます。

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これで鍵盤・アクション・弦の調整が終わったので、一度テストで弾いてみます。

すると・・

ペダルを踏み、上げた時にきしむような音が出ていました。

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下パネルを外して見てみるとやはり・・・

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この黒いクロスが当たっているところは


ここです。クロスが圧縮されて硬くなっていたので貼り替え。

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これが当たっているところは

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このダボ穴です。

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オスの方にテフロンパウダーを擦り込ませました。
パネルをして再度弾いてみると、先ほどのきしみは消えました。

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次は真ん中のペダルの弱音マフラーの貼り替えです。
よく形がついていますね。
このピアノの元の所有者は、ハンマーの消耗具合とマフラーの消耗具合から見て、弱音ペダルをしたまま弾くことの方が多かったように思います。

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剥がして裁断して貼り替えます。
上から低音、中音、次高音、高音と厚みが違います。
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貼り替え後弱音ペダルの効き具合を調整します。

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鍵盤押えを固定して

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鍵盤蓋を乗せて

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上前板を着けたら、ようやく形になっていました。

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ちなみにこの上前パネルはトーンエスケープ仕様になってます。

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通常のアップライトピアノは上前パネル(板)がフラットになっているため屋根の蓋をしめると後ろからしか音が抜けませんので、屋根をあけない限り音が中でこもってしまいます。
トーンエスケープは上前パネル(板)に隙間があるので、
後ろからだけでなく前からも音が抜けるので少しだけこもった音が解消されます。

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内側から見ると構造がよくわかります。

 

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再度雑音チェックも終わり作業が完了しましたので、音色の確認で田中先生に試弾していただきました。

ヤマハ中古ピアノ YUX 1982年製
ショパン/ワルツ集 嬰ハ短調 作品54-2   演奏者 田中節夫    3分41秒


いかがでしたでしょうか。
 
長くなりましたが、弊社の中古ピアノが入荷して商品になるまでの一連の作業をご紹介しました。
相対的に安価な中古ピアノですが、本来の性能を発揮させるためには、新品以上に面倒な修復や調整作業が必要だということがご理解いただけたかと思います。

ピアノの調整作業というものは、新品であれ中古品であれ省こうとすればほとんど省けます。
省かずに一つ一つの作業を順番に丁寧にやると、いかなるピアノであれ確実に性能(タッチや音色、響き)の良いピアノになります。
 
安価に販売しているピアノのカラクリをご理解いただけた上で、より多くの方に後悔しないピアノ選びをしていただきたいと心から願っています。

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ピアノの性能(音色、タッチ、響き)を大切にお考えの方に

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株式会社浜松ピアノ 代表取締役社長

植田 信五


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