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スタインウェイ・ハンブルグ工場での研修報告

調律師の三木君がスタインウェイのドイツ・ハンブルグ工場の研修に行ったのは今から7年前の2010年の約2週間ですが、その時の経験(思い)が今の技術者としての三木君を育てたようで、あらためてレポートしたいと思います。

ハンブルグのライツホールにて、当時27歳。 

これは聖ミハエル教会にある展望台からハンブルグの街並みを撮ったもの。


この時のスタインウェイのハンブルグ工場研修は、日本から他に30代後半と50代の2人の技術者、計3名が参加したそうで、27際の三木君が最年少ですが、大概は箔をつけに行っただけで終わっているように思います。

私自身も、特に技術や知識について新たにスタインウェイの工場で学ぶものはあまりないように思っていました。

 しかし、彼がハンブルグ工場で学んだものは?

帰国後の三木君からの報告で、彼は正解だと強く思ったのは、精密調整についての意識レベルの向上とその重要性の確信だと思いました。ちなみに過去にハンブルグ研修から帰ってきた人間で、このような趣旨の話を聞いたのは三木君が初めてです。

それは、さすがスタインウェイの工場だけあって、ハンマーの整音一筋10数年とか、同じくアクション調整だけ数十年とかの技術者がいて、彼らから直接、レクチャーを受けるわけですが、さすがにその道一筋、数十年になりますと仕事の精密さが違い、彼らの要求精度は究極のものがあるようです。

作業自体はスタインウェイだからと云って特別のことをやるわけではないのでしょうが、さすがに最高のブランドであるスタインウェイの工場ならではの精密な仕上げと云いますか、技術の質に対する意識レベルの高さは最高かと思います。

 この工場でやっていることは、当たり前のことを当たり前にやっているだけですので、そのような観点からスタインウェイの工場の作業を見ないと、単なる工場見学で終わってしまい、得るものはあまりないように思いました。

以前、HNKで神社を建てる宮大工さんの仕事ぶりを収録した番組を見たことがありますが、一人前の宮大工さんになるには、カンナがけも地道に13年やると薄皮を剥ぐように綺麗に削れるようになるということを棟梁が云っていましたが、まさに宮大工さんの修行と同じ世界のように思います。

しかも、このような基本的な技術は、若くて体力があり、集中力も長く持続する時に、徹底的に体で覚えないとダメなようです。

つまり本当の(一流の)ピアノの職人技術者になるためには、当たり前ですが、基本的な作業が早く、正確にできるように若い内に徹底的に体で覚えて鍛えなければならないということのようです。

ピアノの調律とメンテナンス

お薦めブランド スタインウェイ

 

 

株式会社浜松ピアノ 代表取締役社長

植田 信五


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