ピアノの性能を最大限引き出すために

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知られざるコンサートチューナーの苦労

コンサートチューナーといえば調律師の最高峰ということで調律師としての評価が高いのですが、知られざる苦労があるのでご紹介します

コンサート会場の温度変化が大きい

夜のコンサート向けのピアノは、朝一番で楽器保管庫から舞台に引き出されるのですが、例えば冬場の舞台は冷え切っており調律はたちまち狂ってきますが暖房を入れても暖かくなるのは昼頃になります。更にお昼から演奏者が指慣らしのため当日の曲を一通り演奏をします。その演奏者の指慣らし終わってから本格的な調律を始めますが、会場にお客様が入ってくると会場の音響も湿度も変わってきます。

さらに本番になると熱いスポットライトに照らされたピアノ自体が熱くなり調律も大きく狂ってきます、なので途中の休憩時間に暗くなった舞台で調律の補正が必要になります。

基本的にハンマー整音が禁止されています

音色や響きの好みは演奏者によって異なりますが、演奏者の好みの音色や響きに仕上げる必要があります。しかしハンマーを削ったりハンマーに針を入れることは、ホールの場合は基本的に禁じれられています、それはホールのように毎回、演奏者が変わるたびにハンマー整音を行うと新品のハンマーでも半年も持たなくなり、たちまちハンマー交換が必要になるからです。

ならばどうするか?

調律だけで音色や響きを変える必要があります、一般的には調律なんか誰がやっても同じと考えられていますが、これが名人クラスになるとそうでもなくて、調律により音色や響きを変えることができるそうです。筆者が知ってる調律師で、もう亡くなられましたが川真田 豊文という方がおられます、彼の調律は若いころからすごい評価をされていたようです。

拘束時間が長く、その割に演奏者からあまり評価されない

朝一番から会場に入り、最終的にコンサート終了までの立ち合いが義務づけされますので、調律師からすれば異常に拘束時間が長くなりますし、演奏者からすれば、当然ながら様々な要求が多いのですが、上記の制約がある以上、演奏者の要求に調律師として完璧に答えるのほぼ不可能に近いので、頑張った割に演奏者からの評価は低いものになりがちになります。





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資料をご覧になった方の感想

弦楽器や他の楽器と違うピアノならではの特殊性をご理解頂くためのもので、一旦ピアノの特殊性をご理解頂くとピアノという楽器に対する概念や対処も大きく変わり、これまで以上にピアノと良い関係が築けます。

浜松ピアノ店代表 植田信五 

筆者プロフィール


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植田 信五


ピアノという楽器の特異性と問題点

ピアノはリモートコントロールで打弦する楽器です

ピアノという楽器は鍵盤からアクションを通して打弦するという、いわばリモートコントロールで打弦するという他の楽器にはない特異性を持っています。

しかもその複雑なメカズムは自然素材で構成されている故に、いかなる高級ピアノでもメカニズムの部品に必ず伸縮や歪みを生じます。

せっかくの高級な新品ピアノでも鍵盤を叩く力が、打弦メカニズムの伸縮や歪みで上手く伝わらないと鍵盤も重くて演奏者の意図したようにも弾けず、いわゆる表現力の劣るピアノになり音色も悪くなります。これが中古品ともなるとさらに状態は悪くなります。

この問題を解決するには、展示ピアノも含め納品前に販売店で複雑なメカニズムをひとつひとつを手仕事で修正して擦り合わせ調整をしてやる必要があります。

メーカー自身が調整の重要性を十分に理解していない

私の知る限りではヤマハ、カワイ、スタインウェイの経営者も調整の重要性についての認識が希薄です。しかも調整作業時間は新品で3日、中古品ならその倍以上がかかるので生産性が極めて悪く、別に故障ではないので、特に経営者からみると随分無駄のように見えるようです。


大半のピアノの調整が省かれているのが問題です


なのでメーカー旗艦店の展示場のピアノも調律だけで、納品されるピアノも調律だけで済まされるので、これでは弾けば弾くほどさらに弾き難く表現力が劣るピアノになりますが、メーカーではもっぱらイメージ戦略で販売しているようにしか見えません。唯一例外は国際コンクールの会場に持ち込まれるピアノはメーカー自身による丁寧な調整と整音がなされています。」

自己防衛のために調整の重要性を理解しておく必要があります

同型の高級ピアノでも良く調整されたピアノと調整されていないピアノでは性能的には20~30%の性能差が生じますので、ピアノの性能を大切にお考えの方は、自衛策という観点からもピアノという楽器の特異性と問題点を十分に理解しておく必要があります。

安価なピアノでも丁寧な調整で表現力豊かで魅力的なピアノになります。

今、ヤマハ、カワイはレギュラーシリーズ(安価)のグランドとプレミアムシリーズ(高額)の両タイプを併売していますが、丁寧な整調と整音を施すことで性能的には逆転現象も起こると筆者は考えていますが、丁寧な調整と整音でそのくらい性能に差が出ます。

アップライトの打弦のメカニズム


グランドピアノの打弦のメカニズム

ピアノは内部に複雑なメカニズムを持ちます

最後の整音で音色も大きく変わります


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資料をご覧になった方の感想

弦楽器や他の楽器と違うピアノならではの特殊性をご理解頂くためのもので、一旦ピアノの特殊性をご理解頂くとピアノという楽器に対する概念や対処も大きく変わり、これまで以上にピアノと良い関係が築けます。

浜松ピアノ店代表 植田信五 

筆者プロフィール


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植田 信五


松尾楽器さんがピアノ業界に残した功績

松尾楽器さんといえばスタインウェイの元日本総代理店であり、60年以上日本のスタインウェイの普及に貢献をされ、全国のホールへのスタインウェイの納入実績やその技術力も業界では高く評価されていましたが、先日、社長の松尾治樹(まつお はるき)さんが胃がんで78歳?で亡くなったという訃報を聞いて、生前に多少の交流があった筆者としては寂しい思いでいます。

ところで松尾楽器さんは、スタインウェイ社から一方的に取引停止を勧告され、やむなく2020年12月一杯でスタインウェイの販売を辞めざるを得なくなり、それに伴い松尾ホール、スタジオも2021年3月で閉められ、残った会社も生前にすべて清算されていたようです。


松尾楽器さんの功績はいろいろあるとは思いますが、大きいのはホールのスタインウェイを1年に一度、2日間をかけた保守点検するという習慣づけ、このことにより調律しかしないヤマハ、カワイに較べホールという現場で圧倒的な性能差が生まれ、それが今のスタインウェイの高評価になりました。もう一つは精密調整ができる技術者を時間とお金をかけて育成したこと、この二つを上げたいと思います。

①ホールのスタインウェイの保守点検

ホールにあるスタインウェイは普段の調律とは別に、1年に一度、保守点検と称し、2日間かけて調整・調律・整音を行う習慣を残しました。ヤマハ、カワイは同様の保守点検の習慣がなく、普段の調律だけのヤマハ、カワイと歴然とした性能差が生まれました、これが現在のスタインウェイの評価を高めた大きな理由だと思います。※いかなるピアノであれ同様の定期的な保守点検を行うと性能が大幅に向上します

ホールのスタインウェイの保守点検風景


②精密調整ができる技術者を育てたこと

元スタインウェイジャパンの調律師で、現在はファツィオリ・ジャパンの調律師である越智さんの話によると、彼は国立音大の調律科を卒業後、最初に松尾楽器さんに入社して、当初はグランドのダンパー調整だけを3ヶ月やらされたそうですが、お金を生まない研修期間を長く取り時間をかけて精密調整ができる技術者を育てたことだと思います。

現在はファツィオリジャパンの越智調律師


メーカーを含め一般的なピアノ販売店は効率重視の即戦力ということで調律学校を卒業後、短期間で有料調律のメンテナンスに出されるので、ちゃんとした調整ができる調律師が育っていません。弊社はここから調整の重要性を学び、弊社から出荷するピアノは全て丁寧な出荷調整を施してからお届けするようになりました。

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弦楽器や他の楽器と違うピアノならではの特殊性をご理解頂くためのもので、一旦ピアノの特殊性をご理解頂くとピアノという楽器に対する概念や対処も大きく変わり、これまで以上にピアノと良い関係が築けます。

浜松ピアノ店代表 植田信五 筆者プロフィール


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間違いだらけのピアノ選び  ~ 目 次 ~

【第一章】大半のピアノが本来の性能を発揮していない

◎ピアノは8千個の部品

◎ピアノはリモートコントロールで打弦する楽器

◎仕上げが整音

◎試弾は調整されたピアノでないと意味がない

◎ピアノはセミオーダーの楽器です

【第二章】調整によるエピソードのお話

◎中古ピアノが高い勉強代に

◎安価でも高級ピアノより魅力的

◎ブランドを信じて購入したが失敗

◎調整が自慢のシゲル・カワイでも不満

◎値段ほど差がない高級ピアノ

◎好みのスタインウェイがなかった

◎丁寧な調整でヤマハでも満足

◎好みのスタインウェイを求めて

◎スタインウェイはトリルができるがヤマハは?

◎ヤマハは温泉に浸かったような音?

◎ピアニストと専属調律師のお話

◎腱鞘炎になって困っている

【第三章】中古ピアノの問題点

◎中古ピアノは安かろう、悪かろうが多い

◎さらなる中古ピアノの問題点

◎古いピアノは楽器としての性能が良いか?

【第四章】調整シーンを写真でご案内

◎グランドピアノの調整作業

◎アップライトの出荷調整作業

【第五章】主に中国で生産される現代のピアノ

◎最近のピアノの生産事情

◎ファースト、セカンド、サードラインという業界用語

◎メードインチャインナ&浜松ピアノ店フィニッシュ

【第六章】日本のピアノ事情

◎毎年減少する日本のピアノ市場

◎余談ですがスタインウェイについて

【第七章】筆者のブランド選びの見解

◎コストパフォーマンスが高いか否か

◎ピアノは素材という考え方

◎メンテナンスについて

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