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ピアノと調律師の関係を知れば、もっとピアノがわかる

高級ピアノであればあるほど無垢の木やフェルト類の自然素材が多く、その複雑なメカニズムの構成部材に必ず伸縮や歪みが出るので、これらの修正と擦り合わせ調整をして、最終的に音色やタッチを演奏者好みに仕上げてくれる調律師が必要です。

ピアノはイージーオーダーの楽器という概念


弦楽器は構造がシンプルで演奏者の指や腕で直接演奏するので条件が違いますが、ピアノの場合は、いかな名器を名演奏者が演奏しても整調・調律・整音が不十分ならば、特にクラシックの場合は演奏者が意図した演奏ができないので聴くに堪えない演奏になるのは間違いありません。

専属調律師のお話

ピアノにはそのような事情があるので、故、中村紘子さんは、自宅のピアノはもちろん全国ツアーには、調律師の故、鶴田昭弘氏と契約してましたし、内田光子さんが来日された時やブーニンはファツィオリ・ジャパンの越智氏を指名されていました。

多くのホールはスタインウェイなので地元の調律師で十分と思われるかも知れませんが、同じスタインウェイでも音色やタッチの特性は調整や整音次第なので、全国ツアーをするようなピアニストは、演奏者の好みを理解してそれを正確に具現化してくれる調律師と専属契約を結ぶピアニストもおられます。

ピアノをブランドイメージだけで選ぶと失敗する

そのような事情からブランドイメージだけでピアノを選んでも満足のいくピアノを見つけるのは難しいという話ですが、そのあたりがピアノ選びの問題点ではないでしょうか。

NHKの「もう一つのショパンコンクール」で裏方である調律師の苦労が取り上げられていましたが、個々のピアノの性能を演奏者が満足する性能特性を引き出すのは調律師次第のように思います。



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資料をご覧になった方の感想

弦楽器や他の楽器と違うピアノならではの特殊性をご理解頂くためのもので、一旦ピアノの特殊性をご理解頂くとピアノという楽器に対する概念や対処も大きく変わり、これまで以上にピアノと良い関係が築けます。

浜松ピアノ店代表 植田信五 筆者プロフィール


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株式会社浜松ピアノ 代表取締役社長

植田 信五


古い弦楽器は高評価なのに、なぜ古いピアノは低評価なのか?

復元した1967年製のヤマハ(旧、日本楽器)U1 です

この時代のヤマハは黒の塗装を剥ぐと下から綺麗な木目が出てきますので(今のヤマハは不可)、ライトウォルナットの艶消しの木目に仕上げ、脚も猫脚に変えました。



外装もここまで仕上げたので、内部の消耗部品もハンマーはドイツのアベルの高級ハンマーに、弦もドイツのレスロー弦、低音の巻き線はドイツのデーゲンという一流品に交換しました、後は鍵盤の鉛調整が完了すれば完成です、ここまで来るのに空いた時間を利用して仕上げているので、もう延べ半年の作業時間になります。

平凡なヤマハの1967製の古いピアノをここまで仕上げることは非常に稀ですが、古いピアノは消耗部品を交換すると以前にも増して性能的にも魅力的になるということを身近なヤマハで実証するために今回は敢えてやっています。

弦楽器もピアノも主材料は木材ですが、木材は鉄やプラスティックと違い年数を経過すると固く強固になる特性があり鳴りが良くなり、その特性で古い弦楽器の評価が高いわけです。

古いピアノの評価が低いわけ

ピアノが同様に評価されないのは、構造がシンプルで今も昔も構造が同じの弦楽器と違い、ピアノは内部に複雑な構造の消耗部品が多く、打弦の仕組みも今の方(1960年以降)が改良されて弾き易く優れていること、さらに手間をかけて消耗部品を交換しても内部に膠の接着面が無数にあるのでさすがに100年ものになるとトラブルになり易いことがあります。

それでも築後1300年の奈良の法隆寺が今でも健在なように、木材は年数経過で強固で固くなる特性上、楽器とすれば古い方が鳴りが良くなるという魅力を持っています。

ですから適度に古いピアノの消耗品を交換して丁寧に調整してやると手間(コスト)はかかりますが、今のピアノよりも鳴りが良く魅力的なピアノになります。

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ピアノ業界が抱える中国の景気後退と為替の問題

中国の大幅な景気後退

ピアノの最大市場である中国景気の大幅後退で、一説によると中国でのピアノ販売が90%減まで落ち込んでいること、これは安価な中古ピアノだけでなく、富裕層が購入する高級ピアノまで中国でのピアノ販売が大幅に落ち込んでいるとのこと。

それは高級ピアノの代名詞であるスタインウェイも同じでハンブルグ工場も一週間も操業をお休みしたそうですがヤマハ、カワイも同じ事情のようです。

円安と極端な元安(為替問題)

円安の影響が特に大きいのがヨーロッパからの輸入ピアノで、円はドルだけでなくユーロに対しても大幅な円安で、今の為替レートだと日本に輸入するヨーロッパ製ピアノは、日本での販売価格を大幅に値上げをしないとそろそろ限界のようです。

ただ現在の日本製ピアノは部材を含めて中国からの輸入が大半なので、極端な元安もあり今のところ円安の影響は少ないように思います。






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