[ ]いつも調整不足のピアノを弾いていると悪い習慣が身につく
調整と調律は全く意味が違います
丁寧に調整されたピアノであれば鍵盤は軽く、大きな音も力まなくても出ますし、トリルも音色の粒が揃って綺麗に出せます。これは調律の有無とは関係がないので、調整の有無をチェックしないと毎年調律をしているから安心とはなりません、なぜなら調律は単に音程を安定させる作業ですから。

調整不足のピアノで身につく悪い習慣
しかし調整不足のピアノをいつも弾いていると、大きな音は力を入れて弾きますし小さな音も出しづらくなるので、演奏者の気持ちを演奏で上手く表現できません。
仕事柄、ピアノのご試弾に立ち会うことが多いのですが、弊社の展示ピアノは丁寧に調整しており上手い下手は別にして、いつも調整不足のピアノを弾いてる方は、大きな音は力一杯鍵盤を叩くので調律もすぐに狂いますし、音も割れてピアノが可哀そうになります。
弊社の展示のピアノを弾いてもらうと鍵盤は軽いし弾き易いので自宅のピアノや教室のピアノと全然違うと仰います、ご自宅のピアノも教室のピアノも調整が不十分なピアノが多いのではと感じます。
たとえばホールのスタインウェイは良く調整されています
良く管理されたホールのスタインウェイは、普段の調律とは別に、一年に一度、2日かけて調整(保守点検)をされるので、軽いタッチでレスポンスが良くなっています。なのでそのようなピアノをいきなり弾くと、当然、力んだ演奏にな魅力的な演奏になりません。
但し調整されたピアノを2時間ほど弾き込むと本来の演奏ができるようになります
人は本能的に良い音を出したいと思っているので、日頃、調整不良のピアノを弾いている人でも、2時間位よく調整されたピアノを弾き続けると、本来の魅力的な演奏が可能になりますが、慣れるまで2時間ほど時間が必要になります。
特にコンクール出場を考えている方には調整が不可欠
コンクール会場にあるピアノは大概は良く調整されたピアノなので、日頃、調整不足のピアノで練習されている方はいざ本番では低い評価になります、その意味で日ごろ弾くピアノは丁寧な調整が不可欠です。

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[ ]ピアノの鍵盤が重くなる原因は複雑です
ピアノは自然素材を使った複雑なメカニズムをもつ楽器ですので、たとえ丁寧に調整(整調・調律・整音)されたピアノでも、環境(特に湿度)によってはその効果が半減することがあります。
今回はその一例をご紹介します。

手の力を限りなく抜いて鍵盤を半音階で弾いていくと、特定の鍵盤が重く感じることがあります。
これは、鍵盤・アクション・ダンパーの3つの内いずれかが原因ですが、今回メンテナンスを行なっていたスタインウェイセミコン(Cモデル)はアクションが原因でした。

湿気によってアクションメカニックの関節部分の赤いクロスが膨張して、その中に入っているピンを締めつけて円滑な動作が出来ていないことが原因です。これを業界用語で「スティック」と言います。
このスティックが、丁寧に調整された状態のピアノの効果を半減させてしまうどころか、最悪の場合、鍵盤さえも上がらなくなってしまうのです。
このスティックを確認するには幾つか方法がありますが、弦を打つハンマーのバウンドで判断することも出来ます。
この動画を見てみると、右のハンマーが降りた時に少しバウンドするのに対し、
一番左のハンマーは、もたついてバウンドしていません。
ブレーキがかかっていて「スティック」の状態です。これが特定の鍵盤を重くしていたのです。


この修理は一旦このピンを抜いて、ピンの周りを覆っている赤いクロスを削り、ピンがスムーズに動く硬さになるよう調整します。
空調管理が出来ていないと新品のピアノでも起こるので、特に湿度管理はピアノにとってとても重要なのです。
※アクションを引き出さなくても譜面台を外して、弦の隙間から見ることが出来ますので、今回ご紹介したハンマーのバウンドを一度確認してみてくださいね。
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