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タッチが重いピアノの原因と対策

鍵盤(タッチ)が重くなる大きな要因は、ムービングパーツが汚れていたり錆びて(主に鍵盤まわり)ブレーキがかかった状態であったり、アクション等の調整不足でロスが大きく、本来の力で弾いてもピアノが十分に反応してくれないためです。

鍵盤の重さは個人の好みもありますが、ダウンとアップのバランスの上に成り立っており、どれが正解と云うのは難しいのですが、鍵盤が重いと云われる場合は上記のムービングパーツの調整不良のことがほとんどではないでしょうか。

たとえば正常なスタインウェイの鍵盤(タッチ)の重さ(タッチ)はS-155~B211までは47gの重さで鍵盤が下がり(ダウン)、20gの重さで上がる(アップ)セミコンとフルコンサートピアノはダウンが低音部が52g~高音部47gに設定されています。

ウェイト調整のために鍵盤に埋められた鉛(スタインウェイ)


鍵盤のダウンとアップのバランスを考えると、他社のピアノもタッチの重さは大きくは変らないので、もしご自宅のピアノのタッチが明らかに重いと感じられる場合は一度ダウンとアップを測定してもらい、標準より重い場合は丁寧な調整をすることで解消するはずです。
下記のブログで詳しくご案内していますのでご参照下さい。

ピアノを1日調整してみませんか!

ただし消耗品であるハンマー交換をした場合は、オリジナルと微妙に重さが異なるので、できれば全ての整調をした上で鍵盤のタッチが均等になるように鉛調整するのが理想的です。

ちなみに量産ピアノの場合は、一律に鉛を入れるので鍵盤ごとに重さのバラツキが出ますが、一鍵ごとに鉛調整をするとより均一なタッチ(重さ)になります。

ヤマハGPのハンマー交換時の写真ですが、錘を使って何グラムで鍵盤が下がり、何グラムで鍵盤が上がってくるかというアップとダウンを調べているところですが、これから全ての鍵盤のダウンを48g、アップを20gに統一するための作業をします。


 
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株式会社浜松ピアノ 代表取締役社長

植田 信五


ピアノを1日調整してみませんか!

先日10年前に自宅用に新品で購入したスタインウェイのDモデル(フルコンサートピアノ)を下取りに、ファツィオリの同モデルに買い替えたいというご相談を受けました。

何がご不満ですか?とお聞きすると、人生最後のピアノと考えスタインウェイの最高峰Dモデルを購入したが10年で「飽いた」のだそうです。

人間の欲求(願望)は限りないのでこれも当然なのですが、飽いて買い替えを考える前に一度試して頂きたいのがピアノの1日調整です。

「もう飽いた」というピアノでも、1日調整だけでも大きく性能(音色もタッチ)が向上しますので惚れ直すかも知れません。
 
現状では、ほとんどのピアノが調整不十分で使用されているので、せめて1日かけて調整をするだけでも快適で魅力的なピアノに変身するはずです。

弊社の定期メンテナンスの様子です

全ての土台になる鍵盤まわりの調整から始めます。
単純作業の連続で手間がかかる作業ですが、やれば確実に弾いて気持ちの良いピアノに仕上がります。
 
グランドピアノは鍵盤とアクションは筬(おさ)に載せられているのでこのように引き出すことができます。

棚板調整 棚板と筬の隙間の適正化作業

下の写真の筬の中央に見える丸い金属が、筬とピアノの棚板(本体)の支えになっていて、筬と棚板の隙間を調整するネジ(下の写真の矢印)がベッティングスクリューと呼ばれるネジで隙間を適正に調整します。

この隙間が適正でないと打弦時に力が上手く伝わりません。
棚板(ピアノ本体)と筬は互いに伸縮があるので、絶えず調整が必要です。


 バランスキーピンとフロントキーピンも鍵盤がスムースに動くように定期的に磨く必要があります。




 

バランスキーピンの並び調整
 
 

フロントキーピンの傾きと並び調整

 
鍵盤バランスホールの調整。

鍵盤の深さ調整

鍵盤の高さ調整

傾いている鍵盤の調整


全ての土台になる鍵盤調整をザックリとですがご紹介しました。

鍵盤調整は手慣れた調律師でもまる1日の作業時間が必要になりますが、鍵盤調整だけでも弾いて気持ちが良いピアノになることがご理解頂けると思います。

新品ピアノでも納品前に行うのが出荷調整ですが、やはり土台の鍵盤の調整から始めて、次はその上に載っているアクション等の動的なメカニカル部分の調整に入ります。

既にご使用のピアノでも、1日の作業だけでもその効果が体感頂けますので、もし現在お使いのピアノに何かご不満がある方には、このような1日調整をお薦めします。

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株式会社浜松ピアノ 代表取締役社長

植田 信五


 ピアノの大きさと巻き線(低音弦)の太さの関係

小さなピアノほど低音部の巻き線が太くなりますが、これは張力が同じとすると短い弦長で低い音を出す場合は弦は太くなるという理由です。

これは高さ116cmの小型アップライトピアノの低音部の巻き線の写真です。


これは奥行き188cmのグランドピアノの低音部の巻き線ですが、これくらいピアノの大きさが違うと、巻き線弦太さもかなり違ってきます。


同じ設計のピアノであれば、小さなピアノほど低音部の巻き線が太くなり、大きなピアノほど同じ巻き線でも細くなるということ、結果として、太い巻き線はボアンとした音になりやすく、細い巻き線を使った大きなピアノは、同じ低音でもクリアーな低音が出ると云われています

これもメーカーにより、設計の違いより弦の張力設計も違うので、良し悪しは何とも云えないのですが、基本的に張力の強いピアノは弦全体が太く、張力の弱いピアノは弦全体が細くなる傾向があります。

コンサートで定番のスタインウェイフルコンサートピアノ(奥行き270㎝)高音や中音域の弦長は普通のピアノとさほど変わりませんが、特に低音域の巻き線が長いことがわかります。


メーカーの設計思想により、張力の強いピアノと張力の緩いピアノがありますが、張力を強く設計されているピアノは相対的に弦が太く、張力の緩いピアノは弦が細くなりますが、そのあたりの兼ね合いでも、個性ある魅力的なピアノ作りを設計者は考えるのだと思います。

多くの方がピアノを購入する際の選考基準に悩まれていますので、弊社では、ピアノ選びで後悔しないための資料を無料進呈しています。

 

株式会社浜松ピアノ 代表取締役社長

植田 信五


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