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ピアノのタッチが変? 簡単セルフチェック №4

みんなのピアノ選びから抜粋

鍵盤の高さチェック
さて、次は鍵盤の高さです。
当たり前ですが均一に揃っていることが弾きやすいピアノの条件。
技術者は専用の定規を当てながら高さを確認しますが、実は一般の方でも一目で白鍵の凹凸を見破る方法があるのです!
といっても極めて単純、かがんだ体勢で鍵盤レベルに目線を合わせて右上の画像のようなアングルで眺めるだけ。簡単ですよね(笑)

高音から低音を見渡すアングル。白い境界線が均一なら良し。低音側からも確認しましょう。

 
白鍵の高さに段差があるときは境界線の太さにバラツキが生じます。逆にきれいに揃っていたら境界線は均一に。右の場合は中音付近にほんの僅かながら高い鍵盤が…。お分かりになりますか?

白鍵上面から12~13mmが基準。もちろん数値を決めたら同じ高さで揃えなければなりません。
 

黒鍵の高さは各メーカーとも白鍵から12~13mmに設計しています。
このチェックばかりは定規が必要となりますが、黒鍵は白鍵のように並列していないので、多少の誤差なら気にならない方が大半?!

こうした鍵盤の凹凸を直すために、調律師は鍵盤下に色々な厚さのパンチングペーパー(ドーナツ状の紙)を出し入れして調整します。
薄いペーパーは0.03mmから。これまた根気が要る作業です(^^;

鍵盤下の掃除ついでに高さも調整。僅かな紙の厚みで鍵盤のレベルが大きく変わります。


鍵盤を乗せるクッションや土台となる木材(鍵盤筬)が温湿度の影響で膨張・収縮すれば、当然ながら鍵盤の高さも徐々に崩れてきます。
あまりに凹凸している鍵盤は調律師に一度お願いしてみましょう!
「鍵盤の高さ(鍵盤ならし)を調整してください」

みんなのピアノ選び

お薦めブランド ペトロフ

株式会社浜松ピアノ 代表取締役社長

植田 信五


ピアノのタッチが変?簡単セルフチェック №2

みんなのピアノ選びより抜粋

ダンパー掛かりのチェック
弦の上にある黒い物体が音を止めるダンパー、弦の下にある白い物体が音を鳴らすハンマー

ダンパーという装置をご存知でしょうか?弦を叩いて音を鳴らすのがハンマー、その弦の振動を押さえて止音するのがダンパーの役割なのですが、実はピアノの弾き心地にも密接に関わっています
※最高音から20鍵位低い音までにはダンパーはないので注意。
高音は弦長が短いため音の減衰が早いという理由からです。

はじめにダンパーの存在を確認してみましょう。
ひとつ鍵盤を押さえて音を鳴らして下さい。底から少しずつ鍵盤を元の高さまで戻していくと途中で音が消えるポイントがあります。そこがダンパーと弦が接触する位置ですので良く覚えていて下さい。

ダンパーの掛かりが半分の状態。左隣は底に達した鍵盤。
 

では次に通常の状態から鍵盤を慎重に押し下げてみましょう。先程のポイント付近で指先に抵抗を感じませんか?この引っかかる感触こそダンパーの重量が鍵盤に加わる位置、ダンパーの掛かりです。

この「掛かり」のタイミングですが、ピアノによって多少の差はあるものの鍵盤の深さに対しておよそ半分まで変更が可能です。各鍵盤を確認して直ぐに抵抗感がある場合は調整で弾き心地が軽くなります。重くしたいときは掛かりを早めて弾き応えを増すことも出来ます。

調律師はハンマーの頂点から弦までの距離を判断して調整します。メーカーによっては工場でハンマーの側面に目安の印をつける場合も。


弾き心地が気になる方は是非ダンパーもチェックしてみましょう!

※ダンパーの掛かりをリセットする際、調律師は右ペダルの効きを揃える緻密な作業も併せて必要となります。依頼されるときは念のため作業時間と料金について事前に調律師に訊いてみましょう。

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株式会社浜松ピアノ 代表取締役社長

植田 信五


ピアノのタッチが変?簡単セルフチェック №1

みんなのピアノ選びから抜粋

鍵盤の動きチェック

使い込みのない新品ピアノ、そして湿気をおびたピアノは、木やクロスが膨張してスムーズに鍵盤が動かなくなることがあります。
また古いピアノでは、鍵盤と接している金属ピンに汚れや錆が発生して摩擦が大きくなっている可能性があります。

まずは上下の動きからチェックです。
鍵盤を少し持ち上げてみて下さい。おそらく1mmは上がります。
黒鍵はつまんで持ち上げても大丈夫ですよ。
このとき正常ならば手を放しても鍵盤がスーと元の状態に戻ります。
上がったまま降りてこないのは摩擦で動きが鈍っている証拠です。

上下の動きをチェック   


次は左右の遊びのチェックです。
鍵盤を沈めた状態で左右にゆすってみて下さい。指に僅かながらコツコツと感触がある程度の遊びが良しとされています。
左右にゆすっても余裕がないときは、鍵盤の抵抗感が増し、指についてこないような、もったりしたタッチになります。ひどくなると弾いたら鍵盤が下がったまま、なんて状態に…。基本的な調整ですから気になるときは調律師に頼みましょう。湿気対策もお忘れなく。
逆にカタカタと遊びが多過ぎる鍵盤は締まりのないタッチ感に。
使い込まれたピアノに見られる症状で修理が必要な目安となります。
中古ピアノを購入される方は要チェックの項目ですね。

左右の遊びをチェック


※補足(右の画像参照)
鍵盤を弾いたエネルギーは「てこの原理」でアクションに伝わります。
このとき鍵盤の「支点」「力点」では金属製のピンとクロスが触れ合います。この接点での摩擦を最小限に抑えるため、調律師は金属ピンの汚れを除去して滑らかな状態に調整する必要があります。

グランドピアノの鍵盤を外した様子。金属ピンを清潔にします。鍵盤裏側の赤い箇所がフロントブッシングクロスと呼ばれるもの。これが湿気で膨らむと摩擦でタッチが重くなります・・・。


※最近では特殊な潤滑剤(油ではありません)をこの金属ピンに塗る処置が流行しています。すっきりしたタッチになりますしグリッサンドを弾いても指の痛さが軽減するのでプロのピアニストにも好評ですよ。興味ある方は調律師に問い合わせてみてください。
 
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植田 信五


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