[ ]若い調律師への提言
調律師の仕事が年々減少している
今はデジタルピアノ全盛でアコスティックピアノの販売は年々減少を続けており今ではピアノ全体の10%位ではと思いますが、それに伴い調律師の仕事も減少しています。
しかし現状は年配の調律師が多いので10年、20年先には調律師もほとんどいなくなるのではないでしょうか。これは日本だけでなく世界的な現象のようです。
調律の専門学校を卒業して就職しても辞める人が多い
高い授業料を払いせっかく調律学校を卒業して楽器店に就職しても、1年で調律師を辞めてしまう人が90%以上とも言われています。
理由はいろいろですが、一番大きな問題は将来の展望が見えないことだと思います。
人は将来の明るい展望が見えると目先の少々の苦労は厭わないものだからです。
私見ですが、メーカーを含め大概の調律師の職場環境では、日頃の仕事は調律だけで、本来やるべき鍵盤・アクション・ダンパーの整調をやる習慣がなく、その意味でも調律師としてのスキルアップ(技術向上)が図るチャンスがないので、給与、待遇を含め先が読める人ほど将来を悲観して業界を去っていくのではと推測しています。
ここで云う整調とは?
ピアノのメカニズムの素材は、金属の他に木とフェルト、クロスから出来ており、それらに必ず伸縮や歪みが発生するので、これを調律師の手で鍵盤、アクション、ダンパーの修正と擦り合わせ調整が必要です。
調律の音がわかるまで千台の実績が必要と言われており、それに加えて一通り鍵盤・アクション・ダンパーの調整(25以上項目の調整)やると、手慣れた調律師で新品でも3日(中古品なら倍以上)ほどの手間がかかります。
今はコスト重視で新品の高級ピアノを含めほとんどのピアノの整調が省かれていますが、いかなるピアノであれ丁寧な整調で音色、タッチ、表現力が大きく向上し本来の性能を発揮しますが、この整調の重要性が一般にも業界的にもほとんど理解されていないのが大きな問題です。
今あえて有料調律を希望される方
調律件数の絶対数は年々減少の一途ですが、あえて今、有料調律を希望される方は、ピアノ愛好家の方やコンクールをめざすような人ですが、そのような方はタッチや音色、表現力を大切にされる方が多いので、それには調律だけでは全く不十分で、演奏者の要望に沿った整調や整音に技術的に応えることが必要ですが、現状はそれに応えられる調律師はほとんどなく、いろいろと調律師に細かい注文を出しても「このピアノはこんなものです」で終わっています。
いかに調律の絶対数は大幅に減少してきても、ピアノの精密整調と整音ができる調律師に仕事が集中しますので、若いうちに特に精密調整の技術を体得する必要がありますが、それを満たす職場環境がほとんどないのが現状かと思います。
弊社のメンテナンス風景
演奏者の細かい希望に応えることが出来て、一旦、演奏者から技術的信頼を得ると、今後も末永く有料メンテナンスの依頼を頂けますし、それが口コミでお客様が増えますので将来も安泰です。
これからの調律師は高度な整調と整音技術の習得が必須で、できれば体力や気力、集中力がある若いうちに、高度な精密整調や整音の技術を体得する必要があります。
整調を体得するには日常的に調整をやる必要がある
精密整調や整音技術はいわば職人技の世界ですから、各種研修や検定を受けても決して体得はできません、調整を体得するには日頃から整調作業を繰り返して初めて体得できるものです。
しかしメーカーや販売店には日常業務的に整調作業をやる習慣がない(やらせてもらえない)ので整調を体得する環境がありません。
知っておきたい良い調律師の定義
弊社ではピアノをイージーオーダーの楽器と考えています
逆に言えば整調ができれば調律師としての将来は保証される
ひとたび早くて正確な精密整調ができるようになれば、性能を大切に考えるお客様から必ず支持されるので、こちらから調律の催促の電話も必要なく、むしろお客様の方から催促の電話を頂けますので、いわば行列のできる調律師と云えます。
浜松ピアノ店は日常的に精密整調を、展示ピアノ、出荷調整、メンテナンスで行っています。
只今、浜松ピアノ店はスキルアップをめざす調律師を1名募集中です
※将来、独立、起業を考えている方も大歓迎、弊社の2名の調律師が既に岡山と東京で独立、起業しています。
興味がある方は弊社までお気軽にお問い合わせください。
職場見学も大歓迎です、事前に一報ください。
下記のリンク先もご参照下さい
浜松ピアノ店の中古ピアノが商品になるまでVol.1~Vol.5
ピアノの性能(タッチ、音色、表現力)を大切にお考えの方に
大半のピアノに欠けている調整ですが、丁寧な調整がピアノの性能にとっていかに大切なことか資料で分かりやすく解説をしていますので、ピアノを選ぶ前にぜひ参考にして下さい。
無料進呈していますので、ぜひ、お申込み下さい。
ネット上では公開できない業界の矛盾点や裏話を満載、全44ページのピアノ選びの新しいバイブルです
間違いだらけのピアノ選び ~ 目 次 ~
【第一章】大半のピアノが本来の性能を発揮していない
◎ピアノは8千個の部品◎ピアノはリモートコントロールで打弦する楽器
◎仕上げが整音
◎試弾は調整されたピアノでないと意味がない
◎ピアノはセミオーダーの楽器です
【第二章】調整によるエピソードのお話
◎中古ピアノが高い勉強代に
◎安価でも高級ピアノより魅力的
◎ブランドを信じて購入したが失敗
◎調整が自慢のシゲル・カワイでも不満
◎値段ほど差がない高級ピアノ
◎好みのスタインウェイがなかった
◎丁寧な調整でヤマハでも満足
◎好みのスタインウェイを求めて
◎スタインウェイはトリルができるがヤマハは?
◎ヤマハは温泉に浸かったような音?
◎ピアニストと専属調律師のお話
◎腱鞘炎になって困っている
【第三章】中古ピアノの問題点
◎中古ピアノは安かろう、悪かろうが多い
◎さらなる中古ピアノの問題点
◎古いピアノは楽器としての性能が良いか?
【第四章】調整シーンを写真でご案内
◎グランドピアノの調整作業
◎アップライトの出荷調整作業
【第五章】主に中国で生産される現代のピアノ
◎最近のピアノの生産事情
◎ファースト、セカンド、サードラインという業界用語
◎メードインチャインナ&浜松ピアノ店フィニッシュ
【第六章】日本のピアノ事情
◎毎年減少する日本のピアノ市場
◎余談ですがスタインウェイについて
【第七章】筆者のブランド選びの見解
◎コストパフォーマンスが高いか否か
◎ピアノは素材という考え方
◎メンテナンスについて
グランドピアノの3日間の出荷調整作業を動画でお見せしていますが、丁寧な調整でいかなるピアノであれ性能が大幅に向上することがご理解頂けます。DVD全24分